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相続と不動産の初歩の初歩

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“相続”や“不動産”と聞くと、そういった仕事をしている人か実際に親から不動産や現金を相続された人やこれから相続対策をしようとしている年配の人以外はきっと、こんな風に思っているんじ…
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事前の相続対策では感情と勘定のバランスを取る

最近の大学病院の個室は、入院患者に配慮して設計されているのか、高級ワンルームマンションさながらの内装が施されている。 天井を眺めながら、秋山 忠司(あきやま ただし)は先日の今後のことを話し合った家族会議のことを思い返していた。 今年81歳になった忠司には、10歳年下の妻、佳子(よしこ)と3人の子供たちがいる。 今回の入院で、医者と妻の佳子のやり取りを始め、子供たちの振る舞いから、忠司は自分自身がそう長くはないことを悟っていた。 そのため、今後のこと、つまり相続のことを

何故?相続対策では不動産の相続対策が重要なのか?

大学病院の帰り道、秋山 忠司(あきやま ただし)の思考はいま住んでいる自宅と自らが最近始めたアパート経営のことで一杯になっていた。 今年、81歳になる忠司はこの数週間ほど体調が優れずに寝付きも悪かった。食欲も無く、頻繁に目眩や立ちくらみがする。 健康には気をつけていたのだが、81歳ともなれば、身体にガタが来ていてもおかしくはない。 近所のクリニックを受診した後、大学病院への紹介状を書いてもらい、大学病院で精密検査を受けて今日はその結果を聞いた帰り道だった。 妻の佳子(

相続対策をする前に知っておくべき相続の現状

12年間勤めたウェブシステム開発会社を1年前に円満退職した奥村 大樹(おくむら だいき)はフリーランスのウェブ制作者となり、忙しい日々を送っていた。 クライアントも多様な業種に渡り、中でも税理士や司法書士など士業の方のウェブサイト制作のご依頼を頂くことが多くなった。 そんな士業の方々のウェブサイトを制作していくうちに、大樹はある共通のことに気づく。 それが、税理士の先生も、司法書士の先生も、不動産鑑定士の先生も大樹とお取引のある全ての士業の方々が、“相続”に関する事柄を

一軒の実家を3人兄弟で相続する時に気をつけること

10時30分、スマホの画面で時間を確認した斉藤 健太(さいとう けんた)はそのまま、Gmailのアプリをタップして開いた。 受信トレイに届いていたメールは5通、そのうち3通は以前買ったネット通販のセールスメールで、残りの2通のうち1通を健太は開いた。 「この度はご縁が無かったということで…」 お決まりの不採用の通知だ。 この半年ほど健太は就職活動に励んでいた。 新型コロナウィルス感染症の影響でそれまで勤めていた居酒屋チェーンの人員整理で解雇されたのだ。 「45歳から