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レット・イット・ブリード

忘れられない曲がある。今から20年以上も昔の事だ。

仲間と集まり騒いでた夏休みの夜。突然、海に行こうと言ってはみたものの、賛同者は一人。車も免許もないので、自転車で海を目指す事となった。

同伴者の友人と行先を館山へと決め、一路、ママチャリにて発つ。

後に知るのだが、出発地から館山までは100㎞超の道のりで、当然、気軽に到達できる距離ではなかった。

しかし、皆に言った手前、途中でやめる訳にもいかない。一心不乱にペダルを漕ぎ続けた。

夜が明け、真夏の日差しとアスファルトの地熱は、想像以上に体力と気力を消耗させていったが、そんな自分らを奮い立たせてくれたのが、カーステレオ宜しく、ママチャリのカゴに放り込み、道中、流し続けていたラジカセだった。

カセットには、ローリングストーンズ「レット・イット・ブリード 」
~we all need someone we can bleed on
(誰にもみな夢中になれる何かが必要さ)

口ずさみながら、なんとか館山に到着した。

人の世に熱あれ、人間(じんかん)に光りあれ。