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庭仕事の攻防

 寝ぼけ眼で布団の上に座り、お布団あげんとね…とぼんやりとしていた。夫がやってきた。朝から庭に水など撒いている。夫、今日は早起きじゃんと思っていたが、彼の発した言葉はこうだった。

🅰「母さん、あそこをゴミ置き場にせんで!」
🅱「はい?」
🅰「あそこにゴミを置いとるやろ。あそこをゴミ置き場にせんで!」
かなり厳しい言い方である。
🅱「私昨日掃除したんよ。そこに集めとかんと どうするん。一体どこに置けー言うん」
🅰「芝生のないところにおいて。あそこは日が当たらんけん、芝生がなかなか出てこんの」
🅱「やけ、芝生のないとこってどこなん?石のところにおいたら風で飛んでしまうんよ。今日ゴミ出しよ」


 もともとその場所をゴミ置き場にしていたのはそっちでしょ。自分が切った枝や取った草をあそこに積上げとったやん。それって2週間を超えて積上げとったよね。片付けたのはあんたじゃないよね。庭師さんよね。それなのにその大きな態度は何なん。感じ悪すぎる。

 昨日私は 通路を邪魔していたソテツの葉を切り、玄関周りの落ち葉など掃き集めていた。まあ確かに言われなければゴミ出しを忘れるかもしれないが。   

 言わしてもらえば私は何十年も庭木を切ってきた。そして必ず次のゴミ出し日には出してきたんだ。庭木の後始末を一度もやったことのないあんたに言われる筋合いはない。ムカムカする。腹が立つ。何言っとんじゃあいつは。ちょっとやったらすぐそれをマウントに使おうとする。だいたいやったことないけん、ちょっとやったらエラそうに言うんよ。家の手入れは当然主人の仕事やろ。
🅱「あぁん」

 夫が出かけても怒っている私。その後、囚われとるなーと気づく。言い返したり、理論的にやり返そうとすること自体がどうも違う。
怒りに集中。次から次にと関連することが思い出されるが、イヤイヤと戻る。3分もするともっと集中出来なくなり、ソファから立ち上がる。
自分で言った通りゴミを集める。刈った葉や枝を袋に入れる。ついでに気になっていた、石灯籠キットの軽いものを包んでゴミ袋に入れる。(粗大ごみセンターに問い合わせるとゴミ袋に入れて捨ててもいいと言われたのだ)

 ゴミ出しが終わると 木に絡まっている蔓が届かんで切れんのよと夫が言っていたなぁ。この辺り、根っこは木の根元にあるんだから根本を注意深く刈ったらいいやん。木のてっぺんに顔出す蔓も同じ地面に根っこはあるんだから。と、いくつか根本の蔓を切っておいた。

 部屋に入り ふと台所の引き出し、使用頻度が低いのに、同じグループだから、茶托やシロップ、お茶パックなど入れていた。それを入れ替えようと引き出しを半分出した途端、気づいてしまった。


 「げっ私は、このために夫にクレームをつけさせた?」
このままでもなんとか暮らせる。面倒くさがりの私は、私にハッパをかけるお役目を夫にやらせた?

 それで恩着せがましく、威張りながら、うるさいなぁと大きな態度で、ふてくされた顔で夫を見送って、実はゴミの始末をちゃんとやる。切った蔓は夫に見つからないよう木の下に突っ込んでおいた。夫、片付けろ。切っといてやったぞ、である。

 普段、エラそうに夫に文句言わないけれど、腹の中ではこんなにエラい。参ったか!
気づかずに後始末やっとけよ!

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