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【沖縄アニメ】「白い砂のアクアトープ」第1話 感想とりいそぎ


2か月前にnoteを書いた「白い砂のアクアトープ」がついに始まりました!!!

ネットで唯一地上波同時放送がされるABEMAで観ました。


(放送・配信情報は公式サイト↑をチェック)



1話の感想を一言でいえば「沖縄!!!!!!」でした。

以下、4年間しか沖縄に住んでいなかった元県民が知ったかぶりでマウントをとりまくります。ごちゅういください




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いやもう本当に、映るカットの美術がいちいちめちゃくちゃ沖縄で(沖縄なので当たり前)ビビりました。ずっと「あーーーーーーーーーーーーー」と叫びながら観てました。


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だいたいどこのビーチにもある日よけスペース。沖縄県民は海へ入らずにここでバーベキューをし、酒を飲み、バレーボールかサッカーボールで遊ぶ。



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このカットもめっちゃ叫んだ。画面左上、畑と民家が坂の下から海まで続く風景がほんとうに沖縄



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いつもの国際通り。内地のひと(観光客)にとっての沖縄の顔


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からの市場本通り入口。左側が坂になってるところに猛烈な懐かしさを覚えました。


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Google Mapでもたしかに坂になっています。お店はめちゃくちゃ入れ替わりが激しいので異なっていますね。



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で、市場本通りに入っていってT字路にあるオリジナルTシャツ屋さんのところですね。



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アニメではこのあと風夏が道端の怪しい占い師に声をかけられますが、あそこの狭~~い店幅も非常にわかりみが深い。市場本通りをこのまま歩いていったところにある、「日本一狭い本屋」こと古本屋ウララには頻繁に訪れていました。

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閉まっているときの様子はホントにアニメの占い館みたい……というか左隣の店の感じからしても本当にモデル説あるな

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スクショとってませんでしたが、那覇バスターミナルのカットもめっちゃ懐かしかったです。2階に県立図書館があるところ!!!


ゆいレール(沖縄唯一の電車, モノレール)もサラッと出てきましたが、わたしが1話で最も沖縄感を感じたのはバスの車窓です。

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これこれ!!!

サトウキビ畑……にしてはちょっと低い気もしますが、この草が雑多に生えている畑と電柱とその向こうの山並み、本当になつかしい。



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あとこのカットもなかなかすごい。舞台が南城市ということで、ニライ橋カナイ橋なのかな?

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舞台が南城市というのはこのカットでわかります。安座真港・斎場御嶽(世界遺産)の標識。安座真港には久高島へ渡るために何度も立ち寄りました。


とすると、このあとのビーチはあざまサンサンビーチですね。

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(画像はgoogle mapから取ってきたものです)


サンサンビーチの画像漁ってたら冒頭のブランコもあった。

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なんならこの後出てくる「がまがま水族館」入り口もちょっと似てない?

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ちなみに、この水族館のモデルはてっきり美ら海水族館かと思っていましたが、どうやら豊見城市(南城市のおとなり)に昨年オープンした「DMMかりゆし水族館」らしいです。(でも入り口はぜんぜん違いました)

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2020年5月オープンってどうりで知らないわけだ。っていうかDMMが出資してるの!?・・・そういえばこの「白い砂のアクアトープ」もDMMが協力していたような・・・

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・・・あっ(察し)


本作の闇(?)に触れてしまったところで、そろそろ沖縄マウントはやめましょうか。後半パートは水族館の中に入ってしまい、沖縄の風景美術ボードが少なかったですし。



あ、そうそう……


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で、これ「凪のあすから」第1話冒頭のオマージュですよね?篠原監督。

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めちゃくちゃテンションあがりました。沖縄要素と凪あす(篠原監督)要素でもうお腹いっぱい





沖縄方言(うちなーぐち)について

占い師の女性の喋り方がさいしょ東南アジアっぽいなと思い、「海外の人に扮していれば客に神秘的っぽさを感じてもらえて占いを信じてもらいやすいのかな……だからそのためのキャラ作りなのかな?」とか考えたが、どうやら普通にうちなんちゅで沖縄方言としてやっていたっぽい??

これ(に限らず1話に出てきた沖縄人キャラの声の演技)、じぶんは全然うちなーぐちに聞こえなかったんですが、生粋のうちなんちゅ的にはどう聞こえているのだろうか。

アニメで方言が出てくると、たとえ方言指導が入っていても、声優が現地の人でない限りは現地の人が聞いて違和感を覚える方言になってしまう、というのはあるあるですが、これもそうなのかな。

こないだ福井県出身の人にアニメ「ちはやふる」の綿谷新の福井弁は上手いのかきいたんですが、「上手いけど『福井出身じゃないひとが福井弁を真似ている』どまりで、やっぱり違和感がある」と言っていました。

Twitterで軽く検索した限り、わりと好評っぽい??

というか、方言指導をしている沖縄県出身の声優儀武ゆう子さんが占い師役でした。ってことはあれは本物のうちなーぐちってことで、わたしが完全に沖縄方言エアプであることを晒してしまいました。



ということで、ようやく話の内容に言及します。


といっても1話はメイン二人が出会うところまでなので、ほとんどプロローグのような現時点で話の評価はできません。

あと、2クールあるのびっくりしました。1クールだと思ってた。都落ち主人公といいP.A.お仕事シリーズといい2クールといいがまがま水族館のチュパカブラ王国みといい、やっぱりサクラクエストでは……?

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なんというか、1話を観たかぎり、2クールもやることある?というのが素朴な印象です。風夏の元アイドル絡みの確執やくくるの2枚の母子手帳の件などがあるくらいで、あとはまがま水族館復興(あるいはどこかの王国/温泉旅館のように廃業)までのストーリーが軸でしょう。それに市役所お姉さんなどのサブキャラのストーリーが絡んでくる感じか。

正直、本作はそこまでドラスティックな脚本の展開はせずに、1話のように沖縄の圧倒的な映像美を見せながらのんびりほのぼのと進行していくと予想します。いえ、予想というよりこれは願望です。2クールもやることなくていいから、沖縄の美術ボードをなるべく多く供給してくれればそれだけでわたしにとっては神アニメです。そうであってくれ!


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ガジュマルの木陰しか勝たん😂



沖縄の風景を丁寧に描いたアニメといえば『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』という神作品があります。

そもそも「のんのんびより」という作品自体が田舎の日常風景をテーマにしているうえで、「非日常(=劇場版)としての田舎」に沖縄という地を選び、そこで出会う現地の少女との交流を描くなかで田舎=日常の相対化を完璧におこなった点、そしてれんちょんの風景スケッチというギミックによって両者の交歓を見事に果たした点をわたしは評価してオールタイムベスト映画だと思っているわけですが、「白い砂のアクアトープ」においてこうした田舎(の相対化)の観点を持ち込んでみることは可能でしょうか。

はい可能です。本作第1話では、主人公の片方が夢だったアイドルを諦めて東京から実家の岩手(盛岡)に帰ろうとするも、地元の人々に再会してもてなされるのがイヤで突発的に沖縄へ飛んでしまう……そんな様子が物語の起点として描かれました。

ここで注目すべきは、もちろん風夏が岩手出身であることです。「都落ちして沖縄へ流れつく」というあらすじから、わたしはてっきり風夏が東京出身(でなくともせめて関東出身)かと思っていました。

しかし、岩手。東京からすれば田舎です。つまり、彼女はたんに都会(東京)から田舎(沖縄)へ流れたのではなく、盛岡→都会→沖縄と、東京を経由して田舎から別の田舎へと移動しているのです。(「サクラクエスト」の木春由乃も田舎の港町出身でした)

しかし、ひとくちで「田舎」といっても盛岡と沖縄はぜんぜん違います。客観的にも違う──国際通りがいかに観光客だらけか!──し、風夏の主観的にも違う。かたや「絶対に帰りたくない場所」で、かたや「なんとなく逃避行先に選んでしまった場所」です。

つまり、もしも風夏が沖縄出身で、アイドルに憧れて上京して夢破れたとしたら、沖縄こそが「絶対に帰りたくない場所」で、今度は北へ──岩手あたりにでも逃げるかもしれません。

こう考えると、風夏にとって、また本作において、「沖縄」はそれほど特別な場所ではないのでしょうか。たまたま駅で沖縄のポスターが目に入っただけで、じつは別の「田舎」と交換可能な場所なのでしょうか。もしそうだとすれば、本作(1話時点)の田舎の扱い方は「劇場版のんのんびよりばけーしょん」に似たものだと位置づけられます。それは、まさに2つの田舎が風夏にとって「帰りたくない場所 / 逃避先」という真逆の存在として立ち上がっていることに端的に表れています。自分にとっての「帰りたくない場所=田舎」は、あの子にとっては「離れたくない場所=田舎」かもしれない。田舎性、日常性とは人によって変わるもの。田舎の相対化。

でも、そうではありません。

「白い砂のアクアトープ」では1話から、沖縄の固有性を強調する要素を入れてきました。それは占い師の女性が話す「いちゃりばちょーでー」(一期一会)的な精神性であり、そして後半、がまがま水族館で風夏が体験した不思議な光景を引き起こすという「きじむなー」、そして現世と異界の境界である「ガマ」という土着的な信仰対象です。

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「つり球」を連想したけどありふれた演出ではある

そもそも沖縄のなかでも南城市を舞台に選んだのも、世界遺産にして沖縄本島最大の聖地「斉場御嶽」、そして”神の島”こと「久高島」があるからなのかもしれません。

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また、本島の南端に位置する南城市にはガマが多く残っていることも関係しているでしょう。

つまり、1話から感じるのは、本作は「のんのんびよりばけーしょん」のように定番観光地としての沖縄を描くのではなく、土着信仰の色濃い特別な場としての沖縄に迫るアニメではないか、ということです。もちろん、ほかの地域にだって固有の土着的な信仰はあるでしょう。しかし、沖縄ならではの要素を作品に深く取り込んでしまえば、もう交換可能な田舎ではなくなります。くくるはきじむなーやガマが身近にある環境で育ってきたからこそ、地元を愛してずっと離れずにいようと思っているのでしょうし。

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砂浜で一夜明けたらサンゴの文様に囲まれていた、というこのシーンも、そういうきじむなー的不思議体験の一環ってことでいいんですよね……?
※余談ですが、沖縄の砂浜×早朝×土着信仰といえば、沖縄出身の芥川賞作家、目取真 俊(めどるま しゅん)の川端賞受賞作「魂込め(まぶいぐみ)」を思い出します。

くくるの持っていた2枚の母子手帳(生まれなかった/幼くしてなくなってしまった双子の姉妹?)に関しても、死者との触れ合い的な意味で目取真作品っぽい。目取真俊はガチで良いので全人類読め


さて、「白い砂のアクアトープ」は土着信仰を取り上げることで、「沖縄」を普遍的な田舎ではなく固有の場として描き出すアニメではないか、という話でした。

言ってしまえば、このような青春群像アニメにおいて「すこしフシギ」要素は非常に使い勝手がいい装置です。ハルヒや新海作品を例に出さずとも、同じP.A.の作品に限っても「凪のあすから」「グラスリップ」「色づく世界の明日から」など枚挙にいとまがありません。

そのような、手軽に青春ファンタジーが作れる都合のいい装置として沖縄固有の土着信仰を用いるのだとすれば、それは非常に危ういことです。どの地域の文化でも手軽に盗用するのは非難されるべきことですが、沖縄はそれに加えて、先の大戦での甚大な禍根と、今なお続く文化的・経済的・精神的・政治的な被差別があるためです。このような現実を都合よく見ないふりをして、売れる娯楽作品にするためにその文化の表層だけを盗用するのはあまりにグロテスクです。

しかし、少なくとも1話時点ではこの心配は無用そうでした。というのも、主人公の女子高生くくるの口から、沖縄戦について軽く触れられていたのです。

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くくるがガマを説明するときのセリフは、一度しか聞いてないうろ覚えですが大意は「戦争では悲惨なことが起こった場所だったけれど、昔は現世と異界をつなぐものと考えられていたんだよ」みたいな感じでした。

これがとても良かった。沖縄が避けては通れない戦禍の記憶についてちゃんと、でも一言だけサラッと触れて、さらにすぐ次の言葉「昔は──」で、戦争を飛び越えてもっと大きな歴史スケールを眼差す感覚がとても頼もしい。

現代人からすれば第二次世界大戦だって生まれる前に起こった「昔」のことであり、そして沖縄のガマといえばまずは凄惨な大量虐殺の場として後世に語り継がれているわけですが(隣の糸満市にある平和記念公園やひめゆりの塔を一度でも訪れれば忘れられません)、でも本来のガマには信仰的な意味合いがある。それを、とってつけたような老人キャラではなく、沖縄で生まれ育ち地元を愛する少女の口から1話の時点で語らせる点がとても信頼/期待できると感じました。

もちろん、このトーンのアニメでがっつり戦争体験や政治的問題に言及があるとは思っていませんが、それでも第1話から、あまり深入りし過ぎず、でも大切な点はちゃんと抑えておくこのバランス感覚がとても上手いと思いました。



えーと、なんだかやけに壮大な話になってしまいましたが、1話の雑感想を述べてるのでした。ほかに言い残したことないかな。

メイン二人が若い女性ということで百合作品として期待する向きもあるようですが、普通に男性も出てきてますし、そこまでガッツリ百合要素はないでしょう……というか、ヘテロ恋愛路線になる可能性もじゅうぶんにあると思います。シリーズ構成が「月がきれい」や「色づく世界の明日から」の柿原さんですし。百合オタクの皆様におかれましては、そうした覚悟をしたうえで本作を視聴してほしいものです。あとで文句を言っても知ーらない

それから、これはnoteのテキスト入力が文字のサイズを小さくできれば最小にして書くことですが、主人公役の伊藤美来さんはやっぱりそんなに上手くな……ゲフンゲフン。慣れない方言であることを除いても上手くゴホンゴホン

「お前が館長なのかーい!」とは当然思いましたが、そう思わせるための脚本なのでそれ以上言うことはないです。


こんなところでしょうか。「とりいそぎ」のハズが数時間かけて5000字以上語ってしまった……

まぁ、そんなに肩に力を入れずに2クールじっくりと追いかけていきたいです。



まだ1話みてないひとはこちら。ネットサービスでの配信は1週間遅れになるようです。




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芋けんぴついてますよ

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