「株式持ち合い」

第1,255回
おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。

 日本はいままで「株式持ち合い」が多かった。これは、関連会社どうしで株を持ち合うことで、特に海外のハゲタカファンドから敵対的買収(TOB)されないようにしていたという背景がある。
 一方で会社法第308条に、互いに株式を25%ずつ持ち合っている場合は、互いに議決権がなくなる。という「25%ルール」が定められており、「株式の持ち合い」をしているなら、株主総会での議決権がなくなります。金庫株(自社株)と同じ扱いにします。という法律があるのだ。
 25%ずつ持ち合いをしていて、その大株主が議決権を行使してしまうと、少数株主にとっては意見が言えないという、大きな損失につながるので、フェアーではないよね!ということから定められた法律だ。だが、この法律を上手く利用した事例もある。
 2017年12月、日産を支配しようと画策したルノーをけん制するために使用されたのがこの法律です。
 当時、ルノーは日産株の43.4%を持っていたが、日産はルノー株の15%しか持っていなかった。業績悪化時にルノーに助けてもらった事実はあるが、その後は圧倒的に日産の方が業績が良く、業績の悪いルノーをかなり助けてきたという事実がある。
 ルノー側は、フランス政府が過半数の株を持つ国営企業だったため、フランス政府の意向に従わなければならなかった。フランス政府は、日産を100%子会社にしようと企んでいたのだ。そのため、「フロランジュ法」というフランスの法律を成立させ、2年以上株式を保有している株主には2倍の議決権を与える!という乱暴な方法で、日産の議決権を2倍にすることで、フランス政府に有利な決議をしようとしていたのだ。
 ところが、日産側は交渉時にこの会社法第308条を出して、ルノーをけん制したのだ。要するに、当時お金のあった日産はルノーがフロランジュ法を使用するというなら、日産はルノー株を10%買い増ししますよ!と言ったわけだ。そうすると、25%ルールが適応され、ルノーは日産に対して議決権が消滅するのである。それを示され、ルノーは交渉を断念したという経緯がある。
 その後、カルロス・ゴーンの逮捕から脱走事件などがあり、日産もルノーも関係がガタガタになってしまった。だから、2023年に出資比率を15%ずつに合わせた協議は、再出発の意味合いがあったのかもしれませんね。
 「株式の持ち合い」を批判する傾向もありますが、個人的には推奨はしないが、否定もしない。会社ごとにやり方は違ってもいいと思っている。いづれにしても法律をよく読んで、それを武器とした方が強いことは確かなことである。

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

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シンジ

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