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『社会科学のための統計学入門:実例からていねいに学ぶ』のご案内

『社会科学のための統計学入門:実例からていねいに学ぶ』

2022年6月23日に,これまで担当してきた統計学の授業をまとめた統計学のテキスト『社会科学のための統計学入門:実例からていねいに学ぶ』が講談社から出版されます.説明も兼ねて「はじめに」から抜粋します.

本書の内容
 本書は社会科学における統計学を実例とともに紹介・説明する本です.本書は,私が2017 年から教えてきた授業,具体的には東京工業大学文系教養科目「統計学A, B, C,文系エッセンス:統計学」や学習院大学法学部政治学科「社会統計学I, II」での内容を一冊にまとめたものです.また,研究上の経験や東工大でおこなった講演の内容も盛り込んでいます.
 本書には,社会科学における統計学の理解・実践に必要なベーシックな知識がすべて入っています.また,本書は社会調査士A, B, C, D, E 科目の一部をカバーしています.
 本書における説明のスタンスは以下の4 点です.多くの人が興味を持って,実践的・理論的な統計学の知を学べるように工夫しました.
 ・できるだけ実際のデータを用いる
 ・実際の社会現象・社会問題を軸にする
 ・手を動かせるところは,動かして理解する
 ・数学的な側面だけではなく,結果の解釈にも重点を置く

本書が想定する読者
 本書は以下のような読者を想定しています.
・社会科学における統計学を学びたい方
・社会のできごとを題材として統計学を学びたい方
・統計学を使って社会を分析したい方
・統計学の基礎をきっちり学びたい方
・自分が学んだ統計学を見直しながら,ほかに何ができるかを知りたい自
然科学系の大学生
・社会を見通すために数学がどう生かされるか知りたい高校生

本書「はじめに」より抜粋

目次

 Chapter 0 イントロダクション 社会科学と統計学
Part I コア
 Chapter 1 データを集める 社会調査
 Chapter 2 データをまとめる 記述統計
 Chapter 3 関連を捉える クロス表と相関係数
 Chapter 4 関連を疑う 疑似相関と変数の統制
 Chapter 5 データから推測する 推定
 Chapter 6 データから確かめる 検定
Part II 理論
 Chapter 7 コイントスで社会を見る 離散変数と二項分布
 Chapter 8 集まったデータを表現する 連続変数と正規分布
 Chapter 9 推定が満たすべき条件 不偏性とバイアス
Part III 手法
 Chapter 10 社会の下流化は起こっているか 平均・比率の差の検定
 Chapter 11 継承される格差を検討する 移動表とカイ二乗検定
 Chapter 12 世界の男性の家事事情 分散分析
 Chapter 13 年収と年齢の関係 t分布と相関係数の検定
 Chapter 14 ワイン評論家を出し抜く方法 回帰分析
Part IV 終わりに
 Chapter 15 統計学の応用とこれから ビッグデータとベイズ統計学

本書で目指したもの

ここでは「はじめに」で書ききれなかった本書のねらいを述べます.

入門から応用へ一本の道筋

本書は社会科学(社会学,経済学,心理学,政治学 etc)において基礎となる統計学を解説しています.入門的内容から,他の分析手法を学ぶことの土台になるような内容も含まれています.統計学の入り口から応用の入り口へと案内する一つの道を提供します.

データの収集から分析まで

社会科学において,社会調査はデータを集める重要なプロセスです.また,社会調査は分析手法にも関連します.どのようにデータを集めたか,どのように調査対象者に質問をしたのか,ということを踏まえて,分析も考えなくてはなりません.しかし,多くの統計学のテキストでは,データを集めるプロセスは触れません.そこで本書では,社会調査の内容も含めました.収集から分析まで,続けて学ぶことができます.

書店やオンライン書店で販売予定

各書店やオンライン通販で販売されますのでよろしくお願いします!


2022/06/19 補足

補足として,数式の一部に登場するネイピア$${e}$$についての記事を書きました.