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普通種の減少、共に生きること、ケアテイカーとウェルビーイング

https://www.nacsj.or.jp/media/2024/10/42010/

日本自然保護協会の里地調査の報告書が公表されました。

この結果にちょっと驚きました。

チョウ類では評価対象種(103種)のうち約3分の1(34種)が、鳥類では評価対象種(106種)のうち約15%(16種)が、「10年あたり30%以上の減少率」であり、個体数が急減していることが確認された。これらの数値は、環境省の絶滅危惧種の判定基準を満たしうる値であった。この中には、チョウ類ではオオムラサキ・イチモンジセセリ・ヒカゲチョウ・アカタテハ、鳥類ではセグロセキレイ・ホトトギス・スズメなど、身近な場所でみられる「普通種」が多数含まれていた。今回減少傾向が示された多くの生物種は、最新の環境省レッドリストには掲載されていない「普通種」だった。

『モニタリングサイト1000里地調査2005-2022年度 とりまとめ報告書』より

この結果の衝撃は相当なものでした。スズメのような普通種すらどんどん減っているという現実なのです。希少種はもともと少ないのでいてくれるだけでありがたいし、保全しようとうする動機づけも得やすいです。一方、普通種は沢山いるのが普通であり、「いる」ことに満足してしまいがちですが、普通種は単にいるだけでなく一定の数が生息できている豊かさをもつ、普通種を支える環境が重要です。普通種が「目に見えて減って」しまったらどんな影響があるのか想像がつきません。普通種を見るときは「みかける」だけでなく「」にも着目しないといけないのだと痛感しました。

内子の湿地ビオトープには、この報告書で名前が上がっている、ヘイケボタル、カヤネズミ、ニホンアカガエル、ヤマアカガエルも生息しているので、リアリティを持って報告書を読みました。湿地は護岸工事による氾濫原の減少、水田の放棄により劣化が進む領域なので、人の手が介在しないと保全は難しいと思います。

とはいえ、里山に人が住み、昔ながらの生活をしていた時代にこれから戻るのは、現実的ではないでしょう。現在は松山から通って作業をしたり、地元に住むWさんにお手伝い頂きながらかろうじて保っていますが、このやり方はサステナブルではありません。地元周辺に住まう人、特に若い人との関わりを作って一緒に保全活動を進めていく必要があるのだと痛感します。更に単に保全だけでなく、保全活動が人の利益にも繋がらないと継続するのは困難でしょう

そういう意味で「里山共生デザイン」という名前にある「共に生きる」という意味と実現が重要になるのは間違いないです。

自然・世界における人間の役割は、観測・感じた結果から「自分の意志」で行動を起こし、自然・大地の調和を保つ役割があると考えています。この役割はトム・ブラウンJrの『ヴィジョン』という書籍の中で「ケア・テイカー」と名付けられています。

ケア・テイカーである私たちは、世界の調和の乱れを感じ取り、そこを調和に向かうべく行動を起こす役割と力があります。

世界の調和とは、自分自身という自然の調和とも不可分です。自分が不調和なのに、外の世界の調和を取り続けることはできません。自然の調和を取り続けるためには、自分自身の調和も取り続ける必要があります。「自分自身の調和」が最重要です。

常に自分自身が調和のとれた「いい状態」(ウェルビーイング)を保ちながら、自分の外の世界もウェルビーイングにしていきたいものです。


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