ビオトープの命の源、水管理について
絶賛2024/10/14に実施するビオトープの観察会に向けて準備を進めています。
今回はその中でも、重要視したビオトープの水管理について触れてみます。
水管理が大変なビオトープ
休耕田を使ったビオトープは水についてはさほど心配がないと思われがちですが、私たちが管理しているビオトープがある場所は、標高400メートルにあり傾斜地に面しています。そのため平野部の水田と違って水は横を通る沢から直接引いています。
沢から用水路が引けてるといいのですが、この水田はちょっと複雑な作りになっていて、沢は一度田んぼの下を通って自然の沢から、3面護岸の用水路に変わってしまいます。田んぼの下に落ちる前に水を引き込む必要があります。
水回りの解説動画はこちらです。
沢から水を引く場合に気をつけないといけないのは、パイプの詰まりです。雨が降り続くと砂利や枝が、ときにはサワガニがパイプに入ったりして詰まってしまうことがあります。パイプが詰まると水が通らなくなって水が止まります。
パイプ詰まりにすぐに気付けばいいですが、気づくのが遅れてそのまま時間が経ってしまうと、水が徐々に干上がってきてしまいます。ビオトープの水深は深いところで20-30cm程度なので、水が止まってしまうと部分的にしか水が残りません。特に猛暑の夏場に詰まりが起きると、あっという間に水は減っていきます。
水田はビオトープの更に下にあり、水源から離れるため、一層水が詰まる可能性が高く影響も大きいです。また一本の長いパイプで送水しているため、トラブルが合ったときにどこで詰まっているかの問題切り分けがとても難しいです。
この2年は現地に住むWさんがこまめに水源をチェックしに来て直してくれています。代わりに私がトラブルシューティングをやったときもありますが、その問題切り分けは慣れていないと難しく、問題を特定し詰まりを解消するのにかなりの時間がかかります。人の負担を少しでも減らして、水を安定供給したいというニーズがずっと実現されないままでした。
中間にマスを設置するというソリューション
今回、山暮らしのサイトや本を参考に、沢の途中に中間的な取水マスを設置して、そこで砂利が詰まりにくいようにして送水システムを修正してみました。
参考にしたのは、こちらのサイトや本です。
これらを参考に作ったのが、以下の動画のような中間の取水マスです。
西村JOYで、排水用のプラスチックのマスを購入し、そこに穴を開けて塩ビパイプを差し込みました。塩ビパイプの加工や工作は以前やったことがあり比較的に楽にできましたが、水を取り込むための沢に埋め込むパイプの加工が、水の流れを確認しながら行う必要がありました。また一時的には稼働していても、しばらくたつとゴミが詰まっていたりするため、設置してから1月近く経過しますが、試験運用が続いている感じです。
自然と向き合う姿勢を学ぶ
たとえ取水マスをおいても、大雨で沢の上流から岩が崩れてきたら、ひとたまりもありません。自然とは常に変化し続けるものです。人はその変化を防ごうとするのでなく、その変化に対してどれだけ無理なく合わせて変化し続けるかが非常に重要なのです。
「沢から水を引く」という非常に根本的な活動を改めて取り組んでみて、自然に向き合う姿勢というものを実感しました。
ちなみに、ビオトープへは沢水を直接引き込んでいるため、夏場でも比較的水温が低めになっています。より多様な生物を呼ぶためには低水温と、高水温のエリアを意図的に作る必要があります。来年はこの水温の多様性をデザインしていく予定です。
現在は送水距離が近いビオトープにのみこの中間マスを設置しましたが、来年の稲作に向けて、より遠距離の水田に向けての送水システムの改善は来年の田植えまでに行う予定です。