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ベスト・オブ・バッドフィンガー

今年の7月31日に発売されたCDJournal別冊の”…and The Beatles" シリーズの第三弾はBadfinger。

Bandfingerは故松村雄策さん、そして”No Matter What”をCoverしたJerryfishの影響で公式全アルバムとBiograhy本の”Without You-The Tragic Story of Badfinger”を持っているほど一時は熱狂したBandだ。

このため今回はMook本の購入を見送ろうかなあと思っていたのだが、内容を見てから判断しようと、行く先々で本屋さんに行く度に同書を探すこと約1ヶ月。

ついに豊田市の紀伊国屋ジュンク堂で見つけ、パラパラ見ると松村さんの遺稿集をまとめている米田さんの書き下ろし部分があったので結局即購入。

このMook本を機会に、久しぶりにBadfinger関連のアルバム群を聴いてみると、今更ながら彼らの楽曲が素晴らしい。私が公式アルバムを買い集めていたのは米国在住時代の2007年までだが、その後もPete HamやTom Evans、Joey Mollandと言った元メンバーの未発表テイクをまとめたアルバムが幾つか出されており、それらにもBadfingerらしい佳曲がある。

Joey Mollandが参加したNatural Gasという準(?)Super Groupは1976年に発表された頃に日本でも協力なPromotionがあった記憶はあるが、改めてその音源を聴くと、これがまた良い。そのメンバーでもあったJoey Mollandは91年以降三度”Badfinger”名義で来日演奏している。

CDJournal別冊Mookには、Apple Recordを離れてからWarner Brothersで発表された”Bad Finger”と”Wish You Were Here”をProduceしたChris ThomasのInterviewや元メンバーだったBob JacksonのInterviewが掲載されておりこれらがまた興味深い。

そして前述の米田さんの書き下ろしには松村さんを中心とした人たちによるBadfingerのCD化プロジェクトが触れられている。90年に”The Best of Bad Finger Volume II" が発売され、そしてApple Record時代のアルバム群が発売されるのは95年以降だったが、それ以前の86年頃から松村さんはCD化を望んでいた訳だ。

そう言えばどこかに松村さんが作り上げたBest of BadfingerのCassett Tapeの曲順があったな、と思い出し、調べてみると、手元にある松村さんの著書「リザード・キングの墓」に1987年6月作成のPlaylistを見つけたので、早速Apple Musicで作成してみた。

こんなに簡単にPlaylistが作ることができるようになるとは昔はとても想像できなかったが、これが現代テクノロジーの恩恵なのは間違い無い。

それにしてもこのバンドほど才能に恵まれながらも悲劇に終わったバンドは他に知らない。曲のライティング、ライブでの演奏力、コーラス力のどれをとっても一流だったにも関わらず、PoorなManagement力と契約のゴタゴタの結果、メンバーの二人が自殺で終わってしまった。

以前にも書いたが、97年に発売された”BBC In Concert 1972-3”での演奏は思いの外Hardで演奏力の高さが垣間見れる名作だと思う。

そして、私にとってはまだ正式アルバム群が発売される前の”The Best of Bad Finger Volume II"を聴いていた頃が実は一番このバンドに熱があったかもしれない。Warner時代の楽曲のみではあったが相当聴き込んだ記憶がある。

NilsonがCoverした”Without You”や”No Matter What”など彼らの楽曲は他のMusiciansのCoverで有名になった感はあるが、もし彼らのOriginalのアルバムを聴いたことが無いようなら、それらの素晴らしさにも是非触れて欲しい。

松村さんがJoey MollandとのInterviewのタイトルを「這いつくばって泣いてでも、生きているべきなんだ」とし、さらには「僕を作った66枚のレコード」所収「ノー・ダイス」の項の最終行に「最後に、ジョーイへ。君だけは長生きしてくれよな」と書いたことに触れておきたい。

それにしても、松村さんほどBadfingerを愛し続けていた人を私は他には知らない。


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