見出し画像

”Walk on the Wilde Side” Archiveシリーズ#8 "No Direction Home/Sympathy For the Devil”

米国在住中の2005年から10年近く”Walk on the Wild Side”というタイトルで書いていたBlogのArchiveシリーズ第8弾は"No Direction Home/Sympathy For the Devil"。最初の投稿は2005年10月11日。

**********************************************************************************

今日10月10日はコロンバス・デーでお休み。朝早く目が覚めたので、PBSでやっていたマーティンスコシッジ監督のドキュメンタリー映画「ノー・ダイレクション・ホーム」を見た(放送は9/26、27)。

熱心なボブ・ディランのファンの方には申し訳ないが、どれだけ貴重な映像が含まれているか自分にはよくわからない。少なくとも、有名な「ユダ」という野次に”I don't believe you. Liar!”と応酬する部分が最後にちゃんと含まれていることはわかった(その後にもっと大きな音をだそうぜ、とバンドをけしかけている)し、途中のインタビューに出てくるのはあの"The Freewheelin'"のアルバムジャケットの女性で、本当に楽しそうに当時を振り返っているのが微笑ましい。

周りに出てくるミュージシャンの若い姿も面白い。ニューヨーク時代の説明に出ているマリア・マルダーにはびっくりしたし、ボブが何をしようが我関せずと楽屋でつまらなそうに爪をいじっているロビー・ロバートソンは彼らしい。

映画を通じて、この人は本当に真面目な人だと感じた。海外でのインタビューで「時代の寵児としての役割」について再三質問されるのに「自分にはわからない」と返事をしたり、カメラマンにサングラスのテンプルをくわえてくれと注文されて(勝手に何らかのイメージを作っていたのだろう)そのカメラマンに自分でくわえたらどうだとつっかかる部分も面白かった。

マスコミに対して特に受けを狙ったりする人ではなく、真面目に憤慨している。相当マスコミ受けを狙っていたと言われるジョンレノンとは大分違う。そういうジョンも好きだけど。

ストーンズの「シンパシー・フォー・ザ・デビル(別名ワン・プラス・ワン、どっちが本名だかよくわからない)」の方は映画としては退屈だが、音楽的にはあの曲がどういう経緯をたどって最終アレンジになったかがわかって興味深い。

最初はニッキー・ホプキンスのゴスペル調のオルガンで静かに始まっていたのが、途中からパーカッション主体になって行く。よく動くブライアン・ジョーンズが見られる貴重な映画だと言われているようだが、残念ながらもうほとんど音楽的には貢献しているようには思えない。

一方、ミック・ジャガーは相当この曲に対して意欲的だったのか確信的で、なかなか煮詰まらないアレンジにも辛抱強い。歌詞の内容に相当ヒットする自信があったのだろうか。

途中でキース・リチャードが引くアルペジオを聴いていて、トラフィックの「ミスター・ファンタジー」に似た弾き方をしているのに気が付いた。「ミスター・ファンタジー」は67年に発表されており、この映画が68年なので時系列にもちょうど合う。もしかするとミックの頭には最初はあの曲が根っこにあったのかもしれない。

実はこの曲は、あのアフロ・ビートのアレンジも良いが、ライブ「ゲット・ヤー・ヤーヤーズ・アウト」のバージョンが好きで本当に何度も聴いていたことがある。

キース・ジャガーもミック・テイラーも各々のギターソロがあって相当長いのだが、これがどちらも素晴らしくて飽きない。「ミスター・ファンタジー」と同様、シンプルなコード進行でもその繰り返しで十分良い曲ができることを証明している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?