ゲーム企画の話 その1

時期的に新入社員は研修に奮闘している頃かと思います。
若人たちよ、如何お過ごしでしょうか?

自分が新卒の時はとにかく恐れずに先輩や同期の仲間たちと話をしまくっていたと思います。だって右も左もわからんでしたから聞くしかないなと。
PVとかCTRとか調べても、今みたいに出てこないんですよ情報が。

2007年新卒の僕は、元々"ゲーム"ではなく、広くモバイル系で入った人間で、当時はスペックや通信インフラが大分マシになって、モバイルコンテンツが充実し始めた頃でした。
Web2.0と呼ばれて、ブログやSNSなど双方向性コンテンツが流行り、モバイル検索エンジンや、個体識別番号が公開され個々にセグメントされた広告配信などアドテクが日本でも発達し始めた頃ですね。

まぁこんな昔話はさておき

SNS→広告→ゲーム→ブログ→ゲームみたいなことを、色々従事してきて、かつ経営層に直接プレゼンする機会も多々ある恵まれた(?)中で企画を通してきた僕なりのノウハウを自戒の意味も含めて晒したいと思います。

先にお伝えしておくと、現時点で僕がすごく実績のある人物というわけではないので、「なるほどね!」くらいに思ってもらえたら幸甚です。
「違うな...」と思ったらそっとページを閉じるといいと思います。既に上の情報だけで1,2分程は人生無駄にしています。

前置きはこれくらいにして、とりあえず一発目なので入り口のところを書いてみようと思います。
【ゲーム企画書って?】
大枠として2つの情報に分かれています。共通する情報もあります。

1. 事業的な価値
2. プロダクトの価値(ゲームの中身)

これなにが言いたいかというと、皆さんがよく作りたがる「おもしろ"そう"なゲーム企画」だけでは判断されてないことがある、ということです。
明らかに見る人が見て、どう考えても面白くない、市場が狭すぎる、方針と合わない、予算がないなどでもない限りは、詰め込んだ想いを曲げずにブラッシュアップしたら通る確度は上がります。
自分がやりたいことなんて数万人もやりたいってことの方が多いです。←これを尖らせるとコンセプトやターゲットになります。だからペルソナは自分自身だとよく言われます。

【事業的な価値】
主に経営層が見たい情報ですね。
いくらかかっていくら売れるの?その根拠は?
3年分の収支計画出して!BEPは!?
或いは企業的にそれをやる価値は?などメリットやデメリット、リスクなどなど問われます。
根拠として市場トレンドや競合タイトルやIPの実績などを数字出して比較することも多いですが、「ワイはド新規でIP作りたいんや!参考になるものがないんじゃー!」って企画はアピールしにくいですよね(そんな企画も大抵ボツります...)

多数の事業やっている経営層が必ずしもゲームに詳しいわけではないですからね、2のゲームの面白さをいくらアピールしても「ふーん、ワシにはわからんけど面白いのかね?」となるわけです。

要するにゲームのことだけ考えてゲームの面白さだけをプレゼンしたい企画者が多い中でこの辺りの情報を引っ張ってこないと経営層は判断しにくいのです。
「うっせー、中身で判断しろや!」って言いたくなりますが、お酒の席まで我慢しましょう。

【ゲームの中身】
現場寄りなプランナー達が作る企画書といったらこれが多いです。
僕のところにもちょくちょくゲームの概要をひたすらに綴った大作パワポのプレゼンされることあるんですが、9割はごめんなさいです。

(よくある企画書の事例)
コンセプト:至高の戦略オートバトル
ターゲット:20代後半~30代後半男性
プラットフォーム:App Store、Google Play
セールスポイント:豪華クリエイター陣!キャラデザ●●、シナリオ●●、サウンド●●、豪華声優陣!
システム:バトル、クエスト、育成、レイド、マルチ、PvP、hogehoge
マネタイズ:ガチャっす!

総ページ数50pの大作!残念ながら40pくらい無駄なことが多いですね。
作れば売れてた時代はこんなでも数億出たんですけど、今はそうでもないし、その前提だったらそれこそこんな分厚い企画書は不要です。

個々のポイントは後日投稿するとして、コンセプトが本当にこれならこの企画で大事なことはレイドでもPvPでも豪華声優陣でもないはずです。
きっとあなたは「オートの手軽さは残したいんだけど、放置感がイヤ!戦略的で簡単なゲームにしたい!」と従来のオート放置系バトルゲームに対して思ってたはずで、それがコアゲームになるはずです。
このゲームが成功するための大事なエッセンスであること以外は"あるよ"くらいに慎ましく書いておいて、詳細はゲーム概要にでも書いておきましょう。

それとこれは僕の持論ですが、企画は新発明をする必要はありません。
古き良きでもいいですし、システムおざなりでもIP乗せだけでもいいわけです(本当はよくないです。ちゃんと掛け算して成功確度を上げましょう)
大事なことは、ゲームを通してユーザーに"どんな体験をさせてあげることができ、それにどういった価値があるのか"です。

ユーザーが求めているものを僕はニーズとは呼ばずに"課題"と呼ぶことが多いです。本人も気づいていない需要を模索する時代なのですよ。
顕在的、潜在的な課題を見つけて、その解決策がこの企画のセールスポイントになるはずです。
"新しさ"とは価値のある体験の1つと捉えています。

昨今は色々なゲームが世に出ていて、今まであまりゲームをしてこない人々までその審美眼が養われ、プレイ経験が豊富になってきました。
なので、システムだけ似せたゲームに"価値"はなく、"ハイクオリティ"、"豪華制作陣"なんかはもはや当たり前になってしまって、そこに課題はないわけですね。(作り手の課題は山盛りです)

語弊がないように一応ですが、1だけだと「何作るの?」ってなりますけど、2だけではダメということでもないです。
会社や企画を見る人によります。
その場合は1の部分をプロデューサーなり経営層なりが既に判断してトップダウンしているパターンが多い気がします。
こんな企画考えて、と。

今回は色々と余談も多いので、肝心な話はほとんど触れてないのですが、まずはこの2点!意識してみてください。

1. 事業的な価値
 → 採算合うのか?その根拠は?
 → デメリットやリスクを背負うだけの大義名分がこの企画にあるのか?
2. プロダクトの価値
 → これは(潜在的、顕在的に)求められていて、そこにお金を払うのか?


次回はもう少し具体的に掘り下げていきましょう。
続きはまた今度

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