ベネフィットから逆算する

商いは商品(製品・サービス)で成り立っている。

商品開発でよくやってしまう誤りは、

できることをする。

メーカーでよくやってしまう。

壁用建材を製造する技術があるから、壁に使う建材を作ろう。
作ったあとで、「さて、これは誰が欲しがってくれるだろう」「どこに市場があるだろう」と探す。

違う。

電灯を作れるから、電灯作っちゃいました。さて、どうやって売りましょう。

美味しいケーキを焼けるから、焼きました・・・

何度も言うように、「顧客」というのは幻想に過ぎない。名詞としては存在するが、あくまでそれは「言葉がある」というだけで、商いに必要なのは「関係」である。ではその「関係」は何で結ぶかというと「必要」が接着剤になる。

ニーズとウォンツ。
「うう、腹が・・・」トイレに駆け込む。この場合のトイレはニーズに基づいて「必要とされる提供価値(ベネフィット)を形にしたもの」だ。

2022年の現在であれば「無事セーフ、良かったよかった」おしりを洗って、終わり。ところが1982年時点では「おしりを洗う」という生活習慣がそもそも存在しなかった。ウォシュレットを開発したTOTOが苦労したのは「おしりを洗う」という行動を「ニーズ」へと転換させることだった。「おしりを洗いたい」という「たい」を輪郭のくっきりした「ウォンツ」として可視化する必要があった。

そこで秀逸なコピー「おしりだって、洗ってほしい。」を世の中に提案、いまや無くてはならない「ニーズ」へと昇華している。
「用を済ませたら、洗う」という「関係」が生まれた。


明治はチョコレートで実績があった。
そこでカカオ多めの「チョコレート効果」を開発、発売した。ところが、苦くて、当時の「チョコレートは甘い」という社会常識に反し、売れなかった。製造している工場の人すら、食べなかった(笑)パッケージ変えたりコピー変えたりいろいろやったが、なんと16年もの間、さっぱり売れなかった。16年といえば、生まれた赤ちゃんが高校生になる年月である。

明治のウェブサイトより拝借しました

カカオの発酵方法などに工夫を加え味も変え、何より時代が追いついた。「チョコレートを食べて健康に」このウォンツを満たすブランドとして「ニーズ」へと転換したのだ。ここも、「関係」が生まれている。

できることをする

は商品開発ではない。

欲しくなるベネフィットから逆算する。

そのためには、外に飛び出さないとわからない。

ということで、今日も、外に出まーす!!

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