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デザイナーこそ英語を学ぶことはとても重要。

日本で育ち英語が理解できなくてもデザイナーの仕事は十分にある、英語は出来たら良いなと考えているが、継続するには明確な動機がない、そのように考えるデザイナーは多いと思う。何より私がそのような社会人生活を送っていたので、仕事をしながら自己学習を続けるのは大変だった思い出がある。

私はイギリスの大学院ロイヤルカレッジオブアートでサービスデザインを学んだ後、サービスデザイナーとして活動している。留学を決意する前の日本では自身が学びたかったデザインの基礎(本質的にWHYの視点から物事を掘り下げる作業を指す)、デザイン思考を学べる場所が限られており、色々悩んでいたら消去法的に留学が選択肢に挙がってきた経緯がある。そしてそこから英語の猛勉強を始め、紆余曲折ありながら海外で経験を積んできたのだが、何より英語を習得したことによるデザイナーとしての情報量が飛躍的に上がったことにメリットを感じている。

今回は具体的に英語によってどのようなメリットがデザイナーの私自身に生まれたか、そしてなぜ英語習得がデザイナーにとって必要かをまとめておきたい。補足ですが、私がこのブログ内で定義している”デザイナー"は主にサービスデザイン、UXデザイナー、ストラテジスト、リサーチャー等、戦略系のデザインを行う方達を想定している。

最後に、英語が十分に理解できなくともサポートしてくれるツール達を少しだけ紹介する。

21世紀のデザイン業界は英語で回っている。

多くのデザイナーが情報収集の主なチャンネルとして活用しているものがGoogle検索である。分かりやすいところで最近トレンド化している言葉の”デザイン思考”を日英それぞれで検索した時の結果画面が下記である。

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一見同じような情報が上がってくるように見えるし、定義等を調べる際には大きな違いは感じないように感じる。しかし、検索結果をみてみると日本語検索が54,700,000Hitに対し、英語では1,120,000,000とおよそ20倍の情報量の差がある。日本語圏でもデザイン思考は定着していることもあり、それなりに情報を得ることは出来るが、デザイン業界に関してはこのような概念や新しい定義が日本から発信されている事例はまだ少ない。

素早く情報にアクセスし、新しいメソッドにトライするという意味で英語の一次情報に素早くアクセスできるだけでも、デザイナーとしてアドバンテージが生まれると個人的に感じている。実際に、英語圏の記事でかなり詳細な内容を書いている記事が日本以上に多く、それらをただ取り入れるだけでも実になることは多い。

日本語圏でデザインを習得しようとした時に、翻訳された本も多数あるが、業界で大きく話題になったものだけしか翻訳されていないという実情もある。そのような状況で、例えば翻訳された本の参考文献から更に内容を深掘りできると情報量も増えるし、より詳細を知ることができるのでオススメである。

デザインに関する英語論文の内容の豊富さ。

一般のGoogle検索とは別で、論文検索で大変便利なGoogleScholarがある。ご存知ない方に説明しておくと、世に出ている論文のみを専門的に検索できるGoogle内に存在する検索機能である。アカデミックにいた頃にとてもお世話になり、今でも専門領域に関することはGoogle Scholarで調べるようにしている。先ほどと同じように”デザイン思考”で検索してみると、一般検索以上に差があることが分かる。

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検索結果は一般のGoogle検索以上に大きな差があり、日本語論文で47,100Hitに対して英語論文4,600,000Hitとほぼ100倍近い差がある。これがどう影響してくるかというと、例えばデザイン思考のメソッドを深く掘り下げて議論を組み立てようとすると、日本語論文だけでは議論を組み立て上げるだけの情報が足りない→結果、クリティカルな論文にならず、フィールドワーク等の一時情報がない限り、新しい示唆を提示しにくい状態に陥ってしまう。

もちろんしっかりとした論文を書く場合、英語へのアクセスは必要条件として行なっているケースが多いと想定するが、一般のデザイナーがそこまで行なっているケースはまだ多くないのではないだろうか。なので、論文検索が英語で出来るようになるだけでデザイナーとして大きなアドバンテージになる、少なくとも私にとっては大きなアドバンテージになっている。

日常的に得られる英語の一次情報にも重要な情報が詰まっている。

普段デザイナーの情報収集は論文をじっくり読むというより、日々Twitterやニュースフィードで流れてくる情報から最新トレンドを吸収するのが普通であると思う。現在はテキストメディア以外にも、PodcastやYoutube等、あらゆるメディアでとても有益な情報が有料、無料問わず得られる時代である。このような場合に英語が出来ると日々を情報積み上げにも少しづつだが違いが出てくる。

もちろん現在では記事を読む際、翻訳機能の精度も上がり自動翻訳してくれたりするので、全てを英語で読む必要はなくなっている。しかし、気になった情報を詳細検索する時にある程度英語が読め、打ち込めるだけでアクセスできる情報量はグッと上がるので、完璧ではないにしろ中級レベルになるだけで情報検索の幅が広がる。毎日少しづつでも日課にしていれば、英語は必ず上達するし、情報源にさえアクセス出来れば翻訳機能を駆使して最新の情報を得れるのでリターンはかなり大きいので、こちらもオススメである。

DeepL、Google翻訳をフル活用すれば英語力の不足分はカバーできる。

デザイナーにとって英語がより必要になると書いているが、必要だからといって、完璧で流暢な英語をマスターするのはコストパフォーマンスが悪いと個人的に思っている。私は留学という目的のために習得したが、よほど趣味で英語が好きとかでない限り、実用性を重視した英語習得で良いと思う。

その場合に情報検索が出来る程度の英語をマスターして、読み込みは翻訳機能を使って効率を上げるのが現実的である。実際、そのように情報収集しているデザイナーも多いと思う。最近はとても優秀なツールもあり、これらを使わない手はない。ここではDeepLとGoogleを活用した英語読み込みテクニックを少しだけ紹介する。

DeepLはご存知の方も多いかもしれないが、ドイツ初のサービスでマシンラーニングを活用した自動翻訳サービスである。最近はもっぱらDeepLにお世話になっており、何より日本語に対する精度が異常に高い。グラマーがある程度綺麗に書かれている英文なら、問題ないレベルで日本語に変換してくれる。無料版だと文字制約はあるが、章ごとに区切って翻訳していけば問題なく利用できる。

ちなみに私の友人達も英語論文作成の際に、日本語で一旦論文を仕上げてから英訳してという利用方法も行なっている。実際、英訳された文章をチェックしたが、かなり綺麗に英訳してくれているので、少し手直しするだけで英語論文が完成してしまう。本当に便利な世の中になったものだなと感心してしまう。

こちらのサイトでは、PDFファイルをGoogle Driveを併用しながらテキスト変換して翻訳するテクニックを公開しているので、PDF翻訳でつまづいた時に参考にしてほしい。

終わりに。

今、私は日本に帰国してサービスデザイナーとして活動しているが、コロナ禍ということも相まっているとはいえ、ロンドンにいた頃に比べ日々のインプットが減ってきているなと感じる。やはり、デザイン文化が成熟しているロンドンにいると、日々の生活の中で比較的簡単に情報にアクセスできていたが、今は制限もあるためそれもやりにくい。

物理的な距離で身を置けないのはしょうがないが、今はオンラインでの情報量も飛躍的に伸びているので、意識的に海外トレンドをキャッチアップしようと努力している。まだまだデザイン業界は海外から学ぶことが多いので、私も含め一人でも多くの方がデザイン業界の最新情報に英語を通じて触れてくれることで業界自体の知見も溜まっていくと思う。

最後に、おすすめの海外情報サイトやポッドキャスト等も時間がある時に紹介したいと思うので、興味ある方はコメントでもいいねでもいただけると嬉しいです。




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