『櫻の蕾が花開くまで。弐』
3日目の朝。
みんなより少し早めに寝た私は早めに目が覚めた。
〇:まだまだ時間あるな…
:そうだ。
私は身支度を整え玄関の外にある木に向かった。
〇:えーっと、ここに足かけて…よっと。
木によじ登り座って外の景色を眺める。
小学生の頃から朝のこの癖は抜けない。
多分、危ないからやっちゃダメなんだろうけど…(笑)
外の景色を眺めていると体操の時間が近づき
メンバー達が外へと出てきた。
村:えぇ!〇〇ちゃん何してるの!危ないよ!
〇:あ、村井ちゃんおはよ〜。
村:降りなよ!マネージャーさん来たら怒られるよ!
〇:それもそうだね。よいしょっと。
:あ、見てみて。いい写真じゃないコレ?
村:いい写真だけど。危ないでしょ!
〇:まぁ落ちてないから大丈夫じゃん?
村:もー。怪我しても知らないよ!
〇:あ、ゆーづおはよー。
中:今なんか〇〇ちゃん木から飛び降りなかった??
:私寝ぼけてる???
〇:そうだよ。ゆーづが寝ぼけてるんだよ。
中:いーや!絶対木の上にいた!(笑)
〇:さぁ…?(笑)
皆、ダンスの事で頭はいっぱいいっぱいだけど
こーゆー時間は笑顔が絶え間なく溢れている。
3日目のレッスン前、先生から連絡があった。
今日は1Aから固めて行く事。
最終日の発表会でお会いする予定だった
TAKAHIRO先生が急遽明日来てくださるらしい。
更に今日からボイトレも始まる。
ダンスは凄く楽しいし自信があるが
歌は自信もないし楽しめる自信が全くない…
純葉は〇〇らしく楽しんでって言ってくれたけど…
レッスン中、田中先生に呼ばれたことがあった。
田:〇〇ちゃんちょっといい?
〇:はい?
田:〇〇ちゃん振り覚えが早いしとても良いんだけど。
〇:はい、ありがとうございます。
田:ダンスに必死になり過ぎな所がある。
:ダンサーさんとは違うからね。それは分かってね。
〇:はい。わかりました。気をつけます。
前世から合わせれば約30年。
馬鹿の一つ覚えでダンスばかりやってきた私にとって
歌いながら踊ることはかなりハードルが高い。
レッスンはどんどんと進んで行き。
あっという間にC班のラストダンスの時間になった。
美羽ちゃんが凄く先生に褒められていた。
なぜか私まで凄く嬉しい気持ちになった。
美羽ちゃんはここまで出来て何故か自信が無いらしい。
私なんて自信過剰なくらいなのに。ダンスにおいては。
その日、レッスンが終わりいつも通りちょっと自主練でもしようかなと思っていたら何故かすぐに食堂へ呼び出された。
小:あ、〇〇ちゃん。ここ空いてるよ。
〇:あ、ありがと。疲れたね今日も…
そこで私たちが言われたことは……
今日の晩御飯をみんなで
スタッフさんの分まで全員分作るということ。
軽く私は絶望した。
包丁すら持った事ない私が果たしてできるのか…
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ス:料理は得意ですか?
〇:いや…全く……
:サラダくらいなら作れますけど…
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作る料理は麻婆豆腐とハンバーグに決定した。
ここからは買い物組と調理組に分かれる。
私はもちろん買い物組に入れて貰った。
理子ちゃんと美羽ちゃん、ゆーづ、麗奈と私の5人。
美:合挽肉買わないと。
〇:ひき肉って全部一緒??
小:〇〇ちゃんほんとに言ってる…?
〇:え?違うの?!
小:美羽と理子ちゃんは分かってるよね?
美:ひき肉と合挽肉は何が違うの?
遠:コクコク。
小:嘘でしょ…
麗奈ちゃんには前途多難な買い物が浮かんでるみたいだった。
美:〇〇ちゃんの家ってさつまいも入ってた?
〇:お味噌汁に??
美:そうそう。
〇:いや…入ってなかったかな。
:ジャガイモは入ってたよ!
遠:あ、そうだ。ジャガイモ買ってないよ。
〇:危ない危ない。せっかくメモ貰ったのに。
美:さつまいもじゃだめかな?
〇:まぁ…芋だしいいんじゃない?
遠:んふふふ。じゃあジャガイモやめてさつまいもね。
美:え、ほんと?いいのかな?
〇:大丈夫でしょ!
:多分璃花ちゃんが美味しくしてくれるって(笑)
無事なんとか買い物を終え調理組に合流し
私は愛季とお味噌汁を担当することに。
愛:〇〇ちゃんじゃあコレ切ってくれる?
〇:猫の手ね。猫の手。
愛:手切らないようにね?気をつけんさいよ。
〇:具材切るとかはやるけど…
:味付け全部愛李ちゃんがやってね!!!
愛:はいはい。ほら、次はこれ切ってっちゃ(笑)
苦戦しながらも無事料理は全て完成。
初めてみんなで作り上げた物は格別な味だった。
翌朝。
山:〇〇ちゃん、起きて。お散歩行くよ〜。
〇:んにゅっ…まだ眠いぃ…
愛:もう!ほら起きんさい!
愛季に布団を没収され寒さで布団から飛び起きた。
富士山をバックに写真を撮ったり散歩を楽しんだ。
レッスン最終日。
始まる前にTAKAHIRO先生からお話を頂いた。
レッスンが始まる前、凪紗ちゃんがどうも浮かない顔をしていたので心配で声をかけるとどうも体調を崩してしまったらしい。
大事をとってレッスンはお休み。
TAKAHIRO先生は練習中何も口を挟まられなかった。
C班の発表の後、今日は璃花ちゃんも褒められていた。
やっぱりメンバーが褒められるのは私も嬉しい。
先生方は勿論私のことも誉めてくださった。
言われていた細部までこだわる
という事は出来ていたみたいで、とっても嬉しかった。
レッスンが終わり
TAKAHIRO先生が私達にアドバイスをしてくださった。
横並びで走っていると短距離走になりがちだけど
もっと大事な事は中距離長距離で見て行くことが大事。
二つの物差しを自分の中に持っていることが大切。
TAKAHIRO先生の言葉は凄く力強い物だなと感じた。
お昼からはラストのボイストレーニングがあった。
歌う人以外は歌っている人を本気で応援する。
今回のボイトレの目標はコレだった。
応援されながら歌う事で楽しんで、たとえ失敗しても表現するということの良さを引き出すトレーニングだったらしい。
そして最終日のレッスンを無事に終え。
そこで私達全員にゼッケンが配られた。
不思議とこのゼッケンは私たちに力をくれる気がした。
そして翌日。
遂にやってきたBANの発表会の日。
みんなは朝イチに湖に行ったらしい。
私は…夜遅くまで振り確認をし過ぎて起きられなかった…(笑)
璃:〇〇ちゃん。美羽ちゃん。
〇:ん??
美:…??
璃:練習付き合ってくれてありがとう。
〇:全然!今からが1番大切なんだから!
:自信持ってドーンと行こう♪
美:2人とも頑張ろうね。最後までよろしく。
璃:うん!楽しんでやろう!
〇:あ!それ私のセリフだって!!
この合宿でこの3人の絆はとても深まった気がする。
無事に私たちの発表が終了した。
ミスは0。最高の出来だと私は感じた。
発表終わりにTAKAHIRO先生からコメントを頂く。
T:最後に〇〇。
:〇〇はダンスを心から楽しんでるのが凄く伝わった
:今は3人で踊っていて偶々立ち位置が真ん中だよね
:だけど、周りの2人と目が合う度に微笑んでた。
:自分だけで一杯一杯になっておかしくないのに
:3人で最高のパフォーマンスを
:って気持ちがとても伝わりました。
:後、〇〇は凄くタフなんだね。
:昨日も思ったけど、人一倍体力があるなと感じた。
:今もそんなに息切れしてないし
:その有り余るパワーをコレからどんどん
:櫻坂のパフォーマンスにぶつけてください。
〇:はい!ありがとうございます!
その後、私たちのパフォーマンスはステージに立つ事を100とした時70-50だと言われたが私たちが進歩している事は褒めてくださったし、これからも引き続き支えてくださるとも言ってくださった。
この言葉は私たちにとても大きな大きな自信を植え付けてくれるすごい言葉になった。
こうして合宿は無事に終わった。
合宿を終えて数日後。
私たちにとって初めての撮影があった。
そこで私たちに伝えられた新しい目標。
12人全員でBANをフォーメーション付きで完成させる。
結果次第でMVを作ってくださるかを判断するらしい。
勿論不安はあるが…
不思議と私はこの12人なら余裕だと思った。
だって私達は櫻坂の3期生なのだから。
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