杞憂

杞憂と申します。 秋田生まれの津軽育ち。東北6県を流転してきた生粋の東北人です。自然と…

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杞憂と申します。 秋田生まれの津軽育ち。東北6県を流転してきた生粋の東北人です。自然と民俗と歴史が好き。 一方で、信州への憧れつよく、近年では信州付近を徘徊して悦にひたっています。 宜しくお願いします。

マガジン

  • 山菜夜話

    山菜について書いています。山菜耽美主義を目指します。

  • 信州についての雑記帳

    信州についてとりとめもなく語った内容のまとめです。

  • 信州から始まる妄想的歴史考察 中世

    便宜上、中世としていますが、源平・南北朝・戦国など広く武家の時代についての雑感についてまとめています。信州の武家の時代は、奥が深いです。

  • 信州から始まる妄想的歴史考察 古代

    歴史を稀有壮大なパズルのように自由に楽しんでいます。 史跡を中心に信州を旅して、感じたこと考えたことなど、脳裏に浮かんだトンデモ話をまとめています。 ざっくりと、神話から古代についてのまとまりです。

最近の記事

父の余命と形見のノート(わたしがnoteを始めた理由)。

少し前に、父を亡くした。 (少し前とは言っても、今年や去年というわけではないけれども。) 余命3ヶ月と医師に告げられて、3ヶ月とあともう少し頑張って、父は息を引き取った。 胃の入り口に、まるで花のような腫瘍が咲き広がり、どうすることも出来ない状況にまで至っていた。 よくもわるくも意地を張りとおして生きてきたという父は、いよいよどうにもならなくなる半月ほど前まで入院せずに、自宅療養で最後まで意地を張りとおした。 わたしが、医師の方から父の余命を告げられたのは、中秋の名月にあた

    • ひとは言葉によって言葉を乗り越えることが出来るか。

      頭の中にわだかまりとして残り続ける負の符号の言葉の存在を打ち消すために、力強く心に響く言葉を求めて生きていた季節が確かにあった。 頭の中にわだかまる負の符号の言葉の存在を打ち消すために必要なのは、取り繕われた正の符号の言葉などではなく、懊悩の果てに紡ぎ出された負の符号の言葉なのではないかと漠然と考えていた。 マイナスの符号の数字に、いくらプラスの符号の数字を掛けあわせても、マイナスの符号は微動だにしない。 マイナスの符号を、プラスの符号に転じる唯一の方法は、同じようにマイナス

      • 人生で忘れることの出来ない(負の)言葉がある。

        「おまえがやったことにしてくれ。」 中学校の学年主任に言われた言葉。 人生において、決して忘れることの出来なくなってしまった、負の言葉。 結局、この言葉を乗り越えることが出来ないままに、人生の大半が過ぎた。 中学校に進学したばかりのころ、学校内では盗難事件が頻発していた。 体育の授業で不在にしている教室に忍び込み、金品を盗むという手口の盗難で、前年度から引き続き多発している事件であった。 新1年生の間では、犯人は3年生の誰々であると知られている公然の秘密であったが、教職員た

        • 土地によって少しずつ異なる、雪の表現がおもしろい。

          太宰治の小説「津軽」や、新沼謙治の「津軽恋女」によって、そこそこ有名になったと思われる、津軽の「七雪」。 粉雪、粒雪、綿雪、粗目(ざらめ)雪、水雪、固雪、氷雪。 「津軽恋女」では、津軽には七つの雪が降るとか、と、歌われているけれども、実は、積もったあとの雪の状態を指す表現も含まれているため、七つの雪すべてが空から降ってくる雪というわけではない。 空から降ってくるのは、粉雪、粒雪、綿雪の三つだけであり、実に、七雪のうちの半分以上、水雪、固雪、ざらめ雪、氷雪は、積雪してしまったあ

        父の余命と形見のノート(わたしがnoteを始めた理由)。

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        • 山菜夜話
          14本
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        • 信州から始まる妄想的歴史考察 中世
          16本
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        記事

          麻雀のオカルト理論は、もっとまじめに深掘りされてもいいんじゃないかと思う。

          麻雀の打ち方は、大きく、オカルト理論派とデジタル理論派に分かれるとか。 デジタル理論とは、人間が陥りがちな希望的観測を排して、確率・効率・期待値に従って、打牌選択をする打ち方のこと。 オカルト理論とは、運(ツキ)の満ち引き、局の流れといった超自然的なものを感知し、およそ理論的とは思えないような打牌選択をする打ち方のことであるという。 オカルト理論的な打ち方では、対子場・順子場など牌の偏り・場の流れを読み取って、それに逆らわずに打ち進める打ち方が有効とも考えられる。 ツイてい

          麻雀のオカルト理論は、もっとまじめに深掘りされてもいいんじゃないかと思う。

          秋田人として、バスケットボールについて漫然と語ってみる。

          秋田人という人種には、生まれたときに、バスケの血が輸血されているのかもしれない。 パリ五輪出場を決めた男子バスケの躍進には、どうにも秋田人の血が騒いでしまったようだ。 遠い昔の秋田県では、野球の次のメジャースポーツと言えば、サッカーではなく、バスケットボールであった。 秋田県に生まれ育った子供たちが選ぶ運動部と言えば、野球部かバスケ部かの「暗黙の二択」であることも多かったように思う。 バスケの名門校・能代工業を有する能代市は、自他ともに認める「バスケの町」であり、能代駅構内

          秋田人として、バスケットボールについて漫然と語ってみる。

          プロレス、強さと笑いが共存してしまう不思議空間。

          強さを求める人と、笑いを求める人とが、同じ場所に集って熱狂することの出来る、カオスな空間。 プロレスって、一体なんなんだろうと常に思う。 プロレスに求めるものは人それぞれ。 強さ、男気、感動、人生観、ストーリー、ギミック、エンタメ、マスクマン、技の美しさ、試合の芸術性、テクニックの応酬、喧嘩ファイト、スポーツマンライクな試合、ノーコンテスト試合、挑発、寡黙な男、演じる能力、饒舌なマイクアピール、…。 身体能力を競う清々しい試合も好まれるけれども、反則行為もまたプロレスファンに

          プロレス、強さと笑いが共存してしまう不思議空間。

          「お薦めのジョジョの部」とかいう議論に乗っかってみる。

          巷では、お薦めの「ジョジョ」の部とかいう議論をたまに見かける。 好きなキャラクターや好きな必殺技についてなら、いろいろな漫画作品で出来るけれども、好きな部(パート)について語れるのは、漫画作品は数あれど「ジョジョの奇妙な冒険」ぐらいのものであろうか。 一時期の「ジョジョ」のインフレ人気も落ち着いてきた印象で、今、「ジョジョ」を語ることについては、やれやれと思われるかもしれないが、「ジョジョ」と一緒に時代を生きてきた者にとっては、やはりなんだかんだで「ジョジョ」のことを考える

          「お薦めのジョジョの部」とかいう議論に乗っかってみる。

          山菜採りと「ピラ」という方言。

          「ゼンマイ、そこのヒラさ、生えてるべ」と、現地の人に言われたとき、「ヒラ」という単語がどういう場所を示していると思いますか? A.たいらな場所 B.崖斜面 さぁ、どっち? 「ヒラ」という単語は、さらに訛って「ピラ」という単語になったりするけれども、北秋田の方言では、崖斜面のことを指している。 父がよく、「そこのピラのゼンマイ」なんて表現を使っていたものである。 わたしの父は、いわゆるマタギの里を擁する秋田の阿仁町の生まれだったから、言われていた当時は、「なんとも奇妙な秋田弁

          山菜採りと「ピラ」という方言。

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【あとがき あるいは まとめ】

          【あとがき あるいは まとめ】 東北地方の人間に、この地域の名産品と言えば何ですか?と尋ねると、水を得た魚のようにお国自慢が始まってしまう傾向があるけれども、同じような問いかけを信州人にしてみると、少し悩んだ素振りを見せたあとに、「信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…」という半ばお決まりのような回答が返ってくる。 そんな拍子抜けするような信州人の発言がもどかしくて、信州人のネガティブな発想を打破してみようとして始められた一連のシリーズではあるけれど、だんだんお国自慢をしな

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【あとがき あるいは まとめ】

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【嗜好飲料】

          【嗜好飲料】 緑茶王国・静岡県に隣接している長野県は、茶栽培の北限である。 三遠南信地区として、静岡県側と一括りに語られることもある、南信州(下伊那)エリアにおいて、チャノキの栽培は北限を迎える。 天竜川沿いの天龍村、飯田市、そして木曽川沿いの南木曽町、木曽町などで、やぶきた品種の栽培が行われていて、天龍村中井侍(なかいさむらい)地区の中井侍銘茶、飯田市遠山郷地区の赤石銘茶、南木曽町田立地区の田立茶などの名前が知られている。 寒暖差によってもたらされる渋味と甘味を持つ煎茶とい

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【嗜好飲料】

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【飲酒文化 後編】

          【飲酒文化 つづき】 ウイスキー蒸留所(ディスティラリー)の建設されている土地は、日本国内に少ないと思われるけれども、贅沢なもので、信州にはウイスキー蒸留所も備わっている。 南アルプスと中央アルプスの間を流れる天竜川沿いに広がる上伊那地域の宮田村には、マルスウイスキー信州蒸留所がある。 限定品のシングルモルトウイスキー「駒ヶ岳」の評価が高い。 マルスウイスキー自体は、鹿児島県に本社のある本坊酒造のウイスキー部門であり、同じく、山梨県には、本坊酒造のワイン部門であるマルスワイン

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【飲酒文化 後編】

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【飲酒文化 中編】

          【飲酒文化 つづき】 信州が、酒どころとしてほかの地域と全く異なる立ち位置を占めているように思うのは、ワイン用ブドウ栽培の歴史であろう。 日本酒のところで言及したように、酒蔵の数は新潟県についで2位、それだけでなく、ワイナリーの数についても、長野県は、山梨県についで2位なのである。 酒類製造における、信州のこのポテンシャルはどうだろう。 日本酒のイメージがそれほど強くない信州が、酒どころとして紹介される場合には、むしろ、ワインのイメージが先行してのものであるかもしれない。 中

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【飲酒文化 中編】

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【飲酒文化 前編】

          信州人に、ここの名産はなんですか?と尋ねると、よく返ってくることの多い「信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…」という表現。 自信のなさからくるものなのか、はたまた自信があるがゆえのゆとりなのか、謙遜なのか。 なかなかお国自慢の始まらない信州人に、東北生まれの自分としては、少々、拍子抜けしてしまう。 ひょっとして、信州人たちは、自分たちのフィールドを護るために、他県人の目からはあえて隠しているのではないか。 そんなような考えも、浮かんでは消える。 信州人が、わざと隠している

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【飲酒文化 前編】

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【フルーツ・ナッツ】

          信州では、北信・東信・中信・南信などの地域ごとの棲み分けが強く、地域の名産品と聞かれても、全県規模では考えない傾向があるように見える。 四つの区分けならまだしもであるが、よく言われるのが、最低10の地域区分。 高社山を中心に広がる飯山市や中野市など豪雪地帯の北信エリア。 善光寺平に広がる長野市を中心とした都市圏・長野エリア。 上田市を中心とした塩田平と小県郡の上小エリア。 浅間高原から八ヶ岳高原に広がる南北佐久郡の佐久エリア。 大町市を中心とする北アルプスに面する大北エリア。

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【フルーツ・ナッツ】

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【野菜・山菜】

          【野菜・山菜】 信州の野菜を取り上げようとしたときには、冒頭にどの野菜を持ってくるか非常に悩むところである。 食の話題をするときに、野菜というものは主役として語られることは少ない食材ではあるものの、信州産の野菜は主役を張れるだけの存在感を持ってそこに在る。 信州が長生きの土地柄となった理由に、信州人が、ほかの県の人たちよりもよく野菜を食べるからであるという理由があるけれども、それもなるほどと頷けることで、信州産の野菜は驚くほどに美味しいと感じてしまう。 豚肉とレタスのしゃぶし

          信州には蕎麦とおやき以外、何もないから…などと、信州人にはよく言われるけれど…。【野菜・山菜】