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プレミアリーグ第32節アーセナルvsノリッジ・シティ

試合前の予想

アーセナルは前の試合、FAカップ準々決勝でシェフィールド・ユナイテッドとのゲームで勝利しチームとして着々と完成度が高まってきている中でこのゲームを迎えた。一方でノリッジは現在リーグ戦最下位、また24節のトッテナム戦以降得点を挙げることが出来ていないというデータはチームが上手く機能していないことを現していた。試合前の予想としてはアーセナルの複数得点の期待とアーセナルの守備陣がどこまでミス無くやれるかだろうと思った。

※試合前の予想フォーメーション

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結果は4-0でアーセナルの完勝

このゲームは終始アーセナルペースで進んだ。アーセナルは序盤から両WGのオーバメヤン、ネルソンを中心に相手GKの位置までプレスを掛けていき、できるだけ前線でボール奪取をする狙いが明確だった。ポゼッションを得意とするチームではないノリッジはこのアーセナルの守備にとても苦しめられた。これによってアーセナルはハーフライン辺りでボール奪取をする場面が多くそこからショートカウンターに転じるなど効果的な攻撃があった。また、守備陣も大きなミスは無く自滅での失点が心配になる場面は少なかったように思える。

1得点目はまさに"ハマった"といえるシーンであった。相手GKから中盤の選手にショートパスが入った時ムスタフィ、ラカゼット、セバージョスの3人で囲い込み相手は右SBに苦し紛れの横パスを出す。しかしティアニーがその縦のコースを切り相手はGKまで下げるしかない状況となる。結果オーバメヤンが相手GKの判断の遅れを見逃さず奪いきりゴール。アルテタ監督の求めるサッカーを体現したシーンだ。

またアーセナルはCFのラカゼットが両WGよりも低い位置をとり楔に入ることで両WGオーバメヤン、ネルソンのスピードを生かす狙いが明確だった。2得点目はその狙いが見事に得点に現れた。ラカゼットが2ボランチの間まで下りていた中でルイスは左サイドに張っていたティアニーにロングボールを入れることを選択。このパスでゴールに繋がったと言っても過言では無いくらいルイスのロングフィードの上手さを感じた。そしてオーバメヤンが抜け出し攻撃参加でPA内に侵入していたジャカにパス。ジャカの強烈な左足がゴールネットを揺らした。

※アーセナルの攻撃時の基本ポジショニング

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ジャカ、セバージョスの2ボランチ

このゲームにおいてジャカ、セバージョスの2ボランチがチームを上手く機能させたと言える。基本的にどちらも下がって攻撃の構築をしたり前線に顔を出したりする選手である。そのため状況に応じてバランスをとり、守備のリスク管理をしながら攻撃ができていた。アルテタ監督は"もっと中盤の選手が点を取れるとより良いチームになる"とコメントしていた。先程話した2得点目はジャカがスコアラーとなりアルテタ監督の考えが結果に出て非常に満足したのではないだろうか。

おそらくジャカ、ウィロックの組み合わせであればウィロックがより攻撃的にジャカがより守備的になる。このゲームでは後半57分にネルソンに替わってウィロックが投入された。この交代によって3-4-3から3-5-2になりジャカをアンカーに据えてインサイドハーフの位置でウィロック、セバージョスという中盤を厚くする意図があった。ジャカはバランサーとして非常に能力が高いためアンカーの位置の起用も納得出来る。

※ネルソンoutウィロックin後のフォーメーション

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後半20分ベジェリンのボール奪取からジャカに繋ぎオーバメヤンの裏を目掛けてボールが出るが相手DFにカットされてしまう。しかしティアニーのインターセプトでオーバメヤンが抜け出し逆サイドの深い位置にいたラカゼットにクロスボールを上げる。その後ゴール前に入ってきたのはインサイドハーフのウィロックとセバージョスである。最終的にはウィロックのシュートで終わることができ、フォーメーションを変えた狙いが現れた良いシーンであった。この流れから敵陣での相手のミスを見逃さずオーバメヤンが落ち着いてゴールを奪った。

ベジェリン、ティアニーの両WB

3バックのフォーメーションにWBは非常に重要なピースとなる。ベジェリン、ティアニー両者ともSBとしてプレーする機会が多いため守備における心配は少ない。守備時には5バックのようになり5-4-1に近い陣形をつくる。このゲームでは3バックのうち右サイドをムスタフィ/ホールディング、左サイドをコラシナツが務め上手く連携がとれていたようにみえた。攻撃時は時折3バックのサイドの選手が高い位置まで上がっていくシーンがあったが、WBはよりボールをロストする可能性が少ないポジショニングを探しながらうまくサポート出来ていたように思える。先程も話したが後半20分のシーンはベジェリンのボール奪取から始まり、一度は相手にカットされたもののその後ティアニーのインターセプトがありチャンスになった。このようにWBが球際でボール奪取できることで手数を掛けないスピーディーなカウンターアタックに繋ぐことができる。また、両WBはコーナーフラッグ近くの深い位置までポジションをとる場面が多く、特にティアニーからのクロスボールは得点の匂いを感じた。一方でベジェリンはトラップでボールの置く位置が悪かったりや判断が遅くなったりとミスが目立っていた。後半32分ベジェリンに替えてアーセナルデビューとなったセドリックを起用した。彼がピッチに立ってから僅か3分程でCKのこぼれ球を左足で蹴りこみ、これがゴールの右隅に突き刺さった。アルテタ監督は"セドリックは足元の技術が非常にあってチームで1番ゴール前での落ち着きがある"とコメントしていた。今後3バックのフォーメーションにおいてWBでセドリックの起用は非常に楽しみであり、右サイドはベジェリンやセドリック、左サイドはティアニーやサカ、コラシナツなど様々な選手が良い味を出せるのではないかと期待が高まる。

まとめ

オーバメヤンのプレミアリーグでクラブ史上最速50得点という記録やセドリックのアーセナルデビュー戦ゴールなどの結果はチームがよりポジティブに次に繋げられるゲームとなった。過密日程の中で大量得点、そして何よりも無失点で終えることが出来たことは大きい。次節は現在6位のウルブズ戦、その後3位のレスター・シティ戦、9位のトッテナム戦と上位チームとの対戦が続く。前線からのプレスを基本とした守備を継続できるか、これがいちばん重要である。