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餃子屋と高級レストラン、本当の本当はどっちが儲かるのか

餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるのか?

という本が以前話題になった

レストラン経営ばかりではなく、会計学的にも、またマーケティングの観点からもとても勉強になる素晴らしい作品であった

結論から言うと餃子屋の方が儲かる

その本の中では決定づけられていた

つい最近雑誌の特集で高級レストランのコース料理それぞれのお皿の食材原価をオープンにした特集が話題になった


話題になった理由はその原価率の低さ

である

まあぼくのような飲食業界の人間からすると驚くべき情報はなく、至極真っ当な数字
つまりレストラン経営上、適正な食材コストであったのだが


一般の方々


いわゆるレストランを利用するお客様目線から見ると

原価率25パーセントとか30パーセントというのは信じられない

いや、もうぼったくりなんじゃないかとか言う人まで現れたので

彼らにとってはとても驚くべき真実だったのかもしれない

技術料だと言う読者もいたし、家賃や人件費が乗っかっているからレストラン価格というのは”雰囲気コスト”をのせた価格だと言う人もいた

レストラン運営において最難関コストは人件費である

そして家賃、さらに光熱費などの一般管理費、食材費と続く

レストラン経営とはつまり、人件費削減(というか適正化)との戦いである

だからまあ長時間労働とか、修行と称した理不尽な労働環境がいまだに蔓延っているのです

当然ながら高級店になればなるほど人件費は上がる

それは手間のかかった料理を作るために、そして抜かりのないサービスをするために多くの人員を、それも技術の高い経験値の高い、つまりコストの高い人を多く雇わなくてはならないからだ

そういう意味では餃子屋とか唐揚げ屋とか牛丼屋の方が人件費はかからない

人に限らず店舗設計における工費も、カトラリーやインテリアも、装花や食材に至るまで

カジュアルなお店ほど必要コストは低く、利益率は高い

当然である

しかし

近年それが変わってきたのです

先日の吉野家ホールディングスの厳しい決算からも分かる通り

安価な料理を提供するファーストフード店や、居酒屋チェーンは軒並み苦戦を強いられている

当然、

それは当然だ

安かった人件費も安かった食材費も右肩上がり

ハンバーガーの原価が1円上がれば、牛丼の原価が1円上がれば、全体で数十億円の純利益が吹っ飛ぶ

このコスト増、右肩上がりの時代では

もはや値上げか客数増しか純利益の補填は叶わない

そして、値上げも客数増も皆さんの想像通り難しい時代である

そんな中、

一部の超高級レストランが高収益構造を維持しているのです

これはレストラン運営に携わる者ならばもはや周知の事実

一番儲かるレストラン形態です

で、この形態こそが今の時代とにかく流行りに流行っている

まあ好きか嫌いかは別として

とにかく流行っている

客も多く、予約困難
そう、皆さんのいま思い浮かべたお店たちです

カウンターのみ8席
ランチ営業なしディナーのみ
週に一度日曜日は定休日
予約は半年先まで一杯

こんな高級店

いまね、巷に溢れかえってますよ、予約困難な高級店

これらは皆席数が8から12席
ほとんどの店がカウンターのみ

料理はおまかせ3万円コース1種類のみ

ってやつ

思い浮かびますよね
グルメサイトの高得点、人気ランキングでもトップクラスはほぼそういったお店

これらのお店はその席数の少なさから満席率は高く予約困難
困難であるからこそ予約は集中していくからほぼ日々満席

だいたい一日ディナーのみで2回転

料理が3万円としても客単価は4万円は超えるから1日70万円からの売り上げになる

高い店は2回転で安定的に毎日毎日150万円は売ります、夜だけで

定休日を設定した状況で従業員の公休日は4回は確保できる

お昼の時間帯はじっくりと仕込みに当てることができるし、ディナーの営業は2回転させたとしても次の日のランチ営業はないわけですからお客様にゆったりと楽しんでいただける

従業員にとってもお客様にとってもいいこと尽くめです

そして、夜だけで月商3000万円を超えるわけです
この3000万円という数字がどれほど高いものなのかは飲食店経営を知っている人ならば分かると思います
(だいたい都心の5.60席の超多忙な居酒屋さんで800万円から1000万円を目標にしています。飲食店儲からないでしょ?笑)

この営業スタイルは人員はかからず、人への精神的肉体的負担は少ない。
季節で変わるおまかせコース1本だから食材のコストコントロールも簡単

満席続きだからサービスオペレーションも安定して、食材ロスも少ない

お寿司屋さんもそうですけど、今は皆こぞって10席のみのカウンターレストランを開業していく

味がわからない人が、予約困難で人気があるというネットの情報に踊らされて喜んで3万円、4万円落としていく

つまり
こういう超高級予約困難店を意図的に作り出す方が”容易な”時代になってしまった


まあ全ての店がそうではないです
実際に素晴らしい店も多い

きちんと仕事している店であれば、当然人件費も抑えられているし(研修生も集まる)、その分良い食材をお客様に還元している

そうでない偽物も多いのが真実です

まあ情報に踊らされすぎないように

きちんと仕事しているお店か、高級店予約困難店、紹介制や会員制を装った偽物か

きちんと見分ける目が必要ですね

それにしてもカジュアル店、チェーン店、ファーストフード店は厳しい時代に突入ですね

あ、それと本にあるような高級フレンチ
いわゆるグランメゾンは一番儲かりません

シェフや経営者が名を売って企業のコンサルティングとかイベントや講演会、外で純利益を稼ぐしかない

ダイニングに豪華なテーブル席が配置されたグランメゾンはね、、

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