陸自の戦車は全廃すべき
戦車は必要か不要か、議論のあるところですが、ぼくは陸自の戦車は全廃すべきだと思います。
必ずしもぼくは戦車不要論を唱えるわけではありませんが、陸自に関して言えば政治的な判断で戦車は全廃すべきです。それは陸自に当事者能力がないために、戦車部隊の縮小や部隊の再編を自らできる能力がないからです。
変革を促す外部からのショック療法が必要です。
世の軍オタさんたちは「戦車不要論」と聞くと脊髄反射して烈火の如く怒ります。ですが彼らの言動はたいてい元ハズレの感情論に過ぎません。
財務省が戦車の有益性を辛辣に指摘した真の意味
https://toyokeizai.net/articles/-/587274?display=b
>防衛装備の必要性に関する説明責任(P17)
>○ ⼀部の防衛装備に関して、環境変化への対応や費⽤対効果の⾯をはじめとして様々な課題を指摘する声もある。
>○ こうした課題を抱える装備品に引き続き依存することが最適と⾔えるのか、また⼤きなコストを投下しなければならないのか、防衛⼒を強化していく上で、その必要性について改めて国⺠に説明を尽くす必要があるのではないか。
>これをめぐって「戦車不要だ」「軍事をわかっていない」という批判が渦巻いている。だが、誤読だし、そもそも資料全体を読んで理解できていないように思える。財務省が述べているポイントを外しているのだ。財務省は、あくまで最近のロシアのウクライナ侵攻などで、明らかになった旧態依然の装備体系を見直すべきではないかと指摘しているだけだからだ。
財務省はウクライナの戦訓から戦車の運用を見直してはどうかというっているだけです。
戦車は不要だとひとことも述べていないのに、財務省が戦車不要だと言った!と大騒ぎして激昂し、「反論」していた頭のおかしい軍オタの如何に多かったことか。
基本彼らは戦車が好きなだけで、国防に見識があるわけではない。
入れ込んでいるのが地下アイドルか戦車の違いだけです。
単に好きか嫌いの感情論です。
アイドルも人間だから排泄するよねと事実を指摘したら、●●ちゃんはうんこなんてしない、謝れと息巻くようなものです。
だから国防上戦車の必要性があるか、優先順位は高いのは低いのか、どのように運用するのか、装備体系はどうするのか合理的な判断ができません。
それで財務省の悪口を言えば自分が利口に思えてくるのでしょう。頭が悪いにもほどがあります。実は財務省の防衛担当者の主計官の中でも10式開発を支持していた人もいて、ぼくと大激論になったこともあります。財務省としては限られた予算を有効に使って欲しいという視点でものを見るわけですが、大好きな戦車をいっぱい買って欲しい軍オタには予算の制限や優先順位は理解できません。
統一教会の信者が文鮮明の問題点を理解できないのと同じです。
陸自には装備体系を整える当事者能力がありません。
ですから象徴的な意味もあって戦車を全廃すべきです。我が国の国防において戦車の必要性は圧倒的に優先順位が低い。にも関わらず陸自は戦車を偏愛していてまともなリフォームができていない。
既にクズということが周目の一致するところのOH-1やFFOS、FFRS、旧式化して役に立たないAH-1Sの部隊さえも解散すらできない。役に立たない部隊を維持して予算と人員を無駄に浪費しています。
そのくせ最新式のAMVにネットワーク機能を付加せず、音声無線機だけを搭載する。もう21世紀も四半世紀ですよ。
この先川重にまともなヘリが開発、生産できるわけでもないにボーイングの2倍の金を払ってチヌーク漫然と調達して疑問すら抱くことがなく、民間ヘリより速度がかなり遅いUH-2もこれまた値段が2倍になっても漫然と調達している。陸自にまともに装備体系を揃える能力はありません。
そもそも陸自に戦車部隊や機甲部隊を運用する当事者の能力はない。74式戦車は戦時に国鉄の貨車で輸送する「設定」だったがそんな事ができる権限も、法的な根拠もなかった。
空想の設定にあわせて戦車を開発したわけです。
そもそも最盛期のソ連ですら北海道に揚陸してくる能力はなく、そのような作戦計画も存在しなかった。現在の中国だってそうです。
日本本土に揚陸するのであれば、まず日米の空海戦力を撃滅する必要があります。それが果たして可能なのか。無理です。
仮に師団単位の機甲部隊が揚陸するのであれば、航空優勢は相手にあり、なおかつドローンでも圧倒的な優位な人民解放軍の前では機甲部隊は一方的に虐殺されるだけです。
そんなことよりも、中国の弾道弾による飽和攻撃のほうがよほど現実的な脅威です。ところが3自衛隊とも充分な迎撃用のミサイルを保有していません。
90式戦車にしても他国は55トンから60トンの第三世代戦車を装備しているのに、ひとり僅か50トンです。防御力が劣っていると疑うのが常識でしょう。ところが軍オタさんたちは我が国の優れた装甲板をもって実現したのだと胸をはります。ですが、鋼鉄製にしろ複合装甲にしろ外国のほうが優れています。こういう根拠ないまるでカルト宗教のようなテクノナショナリズムは有害なだけです。
他国では毎年のように新製品が改良がなされて、更に実戦の戦訓もフィードバックされて開発がなされて、市場では激しい性能、品質、価格競争が行われている。30年に一度の開発で、中隊規模の演習で使うことが目的の国産装備がかなうわけがない。
10式に至っては44トンと更に少ない。他国の3.5世代戦車は60~70トンです。いくら新規に開発したと言っても15~25トンも軽くて、同レベルの防御力があるわけないでしょう。
10式は内地で使えるように軽量化したといいますが、では陸自は内地で使えない90式を開発し、調達したことになります。それについての釈明が防衛省からはありません。
それに44トンの戦車じゃないと内地で戦えないならば、よその国が上陸してきても戦車の運用は無理ですよね。ということになる。
そして10式を調達しても歩兵戦闘車はじめて機甲部隊で使う他の装甲車両はほとんど更新もされず、近代化もされてこなかった。しかも73式装甲車の後継に装輪の96式を入れたりしている。つまり機甲部隊のパッケージ、装備体系、運用をまともに考えて実現する能力が陸幕にはなかったということです。
機甲部隊を運用する能力がない組織が戦車を調達する必要ないでしょう。
個人的には将来の国防の環境や軍事技術の発展がどう転ぶのかわからない、だから機甲部隊の運用ノウハウを維持できる最低限の部隊を維持すればいいと思っています。だからせいぜい100両もあればいい。
ですが、そもそも機甲部隊運用能力ないわけですから、戦車があっても使いこなせない。
現状ゴジラがでたときにしか役に立たない。他の機甲部隊の装備は旧式で放置されたまま、で連携できず、ネットワーク機能も整備されていない。怪獣に対する火力しか期待できないでしょう。
であれば保有する戦車は全部モスボールして、戦車部隊は全廃。隊員は他に転籍させればいい。どこの部隊も充足率は極めて低いわけですから。必要になったら現役復帰させればいい。どうせ移動砲台ぐらいしかに使えないでしょう。
それと富士学校に研究用に残しておけばいい。どうしても戦車ごっこがしたいならば16式MCVで代用すればいいでしょう。所詮ごっこですから。
そのかわり2~3個旅団程度の先進国レベルの機械化部隊を編成すればいい。陸幕にはできないでしょうから米軍に指導してもらえばいい、あるいは英軍でもいいでしょう。
Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
「軍オタ」が歪める防衛議論(前編)
https://japan-indepth.jp/?p=84282
軍オタが歪める防衛議論(後編)
https://japan-indepth.jp/?p=84315
European Security & Defenceに寄稿しました。
https://euro-sd.com/2024/09/major-news/40266/jgsdf-calls-for-numerous-afvs/
東京新聞にコメントしました。
兵器向け部品の値段「見積り高めでも通る」 防衛予算増額で受注業者の利益かさ上げ 「ばらまき」と指摘も
https://www.tokyo-np.co.jp/article/352551
月刊ZAITENに寄稿しました。
https://www.zaiten.co.jp/latest/
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態
https://toyokeizai.net/articles/-/774627
月刊軍事研究8月号に防衛省、自衛隊に航空医学の専門医がいないことを書きました。
軍事研究 2024年 08 月号 [雑誌]
Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
「敵に手の内をさらさない」という防衛省、自衛隊の「敵」は国会と納税者か
https://japan-indepth.jp/?p=83101
新聞各紙 残念な防衛関連の未検証記事
https://japan-indepth.jp/?p=82844
日本の報道の自由度が低いのは記者クラブのせい
https://japan-indepth.jp/?p=82748
次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695
次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない
やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
https://toyokeizai.net/articles/-/744651
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