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【読書感想文】平熱のまま、この世界に熱狂したい

先日、久しぶりに子どもたちがいない休日がありまして、コメダ珈琲でコーヒー飲みながら、一気に読みました。

休日の朝から本を読める。なんて贅沢な過ごし方。(ぬくぬくとしながら読んだ、と言いたいところだったけど、換気がしっかりされていたので、凍えながら読んだ。)

すごくよかった。すごく共感した。

僕は、この本を通して、宮崎さんが伝えてくれる二つのメッセージに、とても共感します。
そのメッセージとは

①この世界って、いいものだ
②この世界がいいものだ、というのは、僕たちが、どういう意志をもってこの世界を認識するかで決められるものなんだ

ということ。

著者の意図は、読んでいてかなり最初の方から感じることができたし、これはあとがきで宮崎さんもはっきりと書いていることだった。自分の読解力に感心した。正確に言うと、①は、「この世界も、あながち悪いものではないかも」という表現だったりする。(この違いがすごく大事だと思うけれど、僕はやっぱり、悪くないというより、いい、という気持ちでいるので、そこは実際違うのかもしれない)

宮崎さんは、それを、「弱さ」の話をすることによって伝えてくれているのが、本当にすごい。一方で、このすごさを語るのも難しい。僕は宮崎さんほど、自分の弱さに向き合えていないから。

そもそも、弱さって何のことなんだろう?弱さに向き合う宮崎さんの文章が、世界のいいものである、ということをを体現しているってどういうことなんだろう?

弱さについて化学にたとえて考てみえる

困ったときは、化学にたとえて考えるとヒントがもらえることがあります。

ここで議論したい「弱さ」はstrong/weakというよりも、stable/unstableに近い。つまり、化合物で言うと、「安定性が低い」という言葉に置き換えることができそうです。強酸、弱酸、という話とはちょっと違う。

ただ、研究室や会社の研究所で、単に「この化合物は安定性が低い」という発言をしてしまうと、みんなからツッコミを受けることになります。化合物の安定性というのは、絶対的に決められるものではなく、相対的に決まるものなので、「どういう条件下でどういう反応をしやすい」ということとセットで語らないと、説明にならないです。

もう少し細かく考えてみると、"なにかと反応しやすい"、という不安定さと、たとえば、タンパク質の高次構造が高温でdenaturationしやすい、みたいな、"化合物が単独で元とは違う状態になってしまう"、という不安定さがあります。

宮崎さんがこの本の中で向き合っている弱さは、前者の"何かと反応しやすい"という弱さなのかもしれません。

何かと反応する、ということは、自分と相手がいる話で、裏を返せば、相手にも何らかの影響を及ぼす、ということだから、こんなにも心に響くのかもしれない。

「弱さに向き合うのがすごい」みたいにこの本の良さを説明してしまうと、なんだか言い足りていない感じがしてしまって、むりやり化学の言葉で説明しようとしてみたけど、けっこう難しかった・・・

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