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新しい可能性を共につくる「対話」①誰もが「よかれ」とがんばっている世の中で

この前、私の家の時計が壊れてしまいました。これには困ったのですが、近所の電気屋さんで、元どおりに直してもらうことができました。この困りごとには、「もとのすがた」という唯一の正しい答えがあります。専門家に任せたらなんとかなるというのは、本当にありがたいことです。

しかし、いまの社会が直面している諸問題には、決まった答えがないものがたくさんあります。たとえば、まちづくりでは、あるエリアを商業施設にするのか、公園にするのか。政策では、経済対策か、ウィルスの感染防止か。もはや専門家やリーダーたちも何が正しいかを知りません。そもそもベストの解答はないのです。

そんな時、私たちは誰かに「何が正しいか」を教わるのでなく、自分たちで「なにを大切にしたいか」を考え、選ぶことができます。それがなければ、私たちの暮らしや働きへの納得感や「自分ごと感」は、薄れてしまうでのはないでしょうか。自分の人生なのに、自分の仕事なのに、自分の家、自分のまちなのに、まるで自分のものでは無いように感じるかもしれません。

誰もが「よかれ」とがんばっている世の中で

ただ、こうした問題に対応していくことは、難しいと感じる方は少なくないはずです。答えのない中でどういう道を選んでいくか(意思決定)は、自分ひとりでも難しいものです。まして、それを他人とやっていくというのは、さらに難しいですよね。

なぜなら、私たちはそれぞれに異なる「大切なこと」を持っているからです。また、誰もが「よかれ」とかんばっています。少なくとも、私がこれまで会ってきた人々の中で「わざわざ何かを悪くしよう」としている人は、一人もいなかったと思います。

だからこそ、私たちはお互いに指をさしてしまうこともあります。それどころか、私たちは自分の正義のためなら人を殺すことさえできてしまいます。共存や共生、包摂を語るのは簡単ですが、それを実際に実現するには、あまりに社会は複雑だと感じることがあります。

こんな探求を進めたい方へ

私自身は、「考え方が違う人が、わざわざ一緒にいる必要はない」というスタンスでいます。短い人生を気持ちよく生きていくために「適切な距離をとる」のは、共存のための大切な実践だと思っています。それに、より大切なものに集中するために「諦められるものは、さっさと手放した方がいい」とも思っています。

それでも、もしあなたが「諦めきれないことがある」のならば、「大切なことを大切にするために、 1人じゃどうにもならないことを、みんなでなんとかしたい」と思うのならば、次のような探求に招かれているのではないでしょうか。

どうしたら、異なる考えを持つ私たちは「お互いに指をさし合う」ではなく、「ありたい姿に向かって共に指をさす」ようになれるでしょうか。

また、今、私たちの社会では、さまざまな分断や格差が広がり、つい大きな声を持つ人にとっての「よかれ」ばかりが優先されがちです。

どうしたら、私たちの地域で、社会的・経済的にランクが高い人ばかりでなく、ひとりひとりが声が大切にされ、誰もがより力を発揮しやすくなるでしょうか。

さらに言えば、大きな声は、過去からやってくることも多いものです。未来の声は小さくなりがちです。

どうしたら私たちの組織や地域で、「ふつうはさあ」「"みんな"そうしてるよ」「そうやってきたんだよ」などの、過去の延長線上にある「べき論」や同調圧力を超えて、心から「こうありたいな」という姿へと近づいていけるでしょうか。

もしそんな探求に招かれている人は、この先に一緒に進めればと思います。

対話へのおさそい

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私も上のような探求に招かれている一人です。私の場合、その応答として、「対話」という手法を使って、主に自治体やNPO、大学、企業などと協力して、様々な取り組みを行っています。テーマは福祉、環境保全、防災、若者支援、生物多様性、多文化共生など命や暮らしに関わるもの。舞台は、ほとんど日本の地方・地域です。

これまで「対話」ということについて話したり、書いたりすると「は?」という反応をもらうことが多かったです。喉が乾いていないと思っている人に、飲み物を差し出しても押し付けがましかったなと。

しかし、最近、なにやら時代の要請なのか、「おそらく対話なるものが必要だ」という声や問い合わせをもらうことが増えてきました。

そこで、まずはここに入門編として、これまでの実践から学んだことや、先人たちに教えてもらったことを、ちょっとずつ残していこうと思ってこれを書いています。私は一回書きはじめるとつい5000字くらい書いちゃうのですが、一回1500字くらいにになるように・・、。

これからお話しすることが正解と言うわけではありません。これを「セーブデータ」にして、ご自身の冒険を進める手がかりになったら嬉しいなと思っています。

それでは、ちょっとずつはじめます。よかったら、私とお散歩しながら話すつもりで、ご一緒してくださいね。

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