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週末は、ゆったりとストーリーを旅する。参加者に聞いた「ちか旅」の楽しみ方8選

「なんか同じような人ばかりと話していると、視野も心もどんどん狭くなっちゃうでしょう?」私の実家の母が、つぶやいていました。

新型コロナの影響で接触がしづらくなり、オンラインミーティングツールが一気に普及しました。これまでになく、オンラインでの関わりが増え、「人感情の機微」のようなものが感じづらくなっているように思います。

また、価値観の多様化がした今、一人ひとりにそれぞれ正しさがあります。そこで、自分にとって正しいことを相手にぶつけ、ロジックで説得しても、通じ合うことができないのが、今の世の中ではないでしょうか。

このように分断されやすい今の環境の中で、私たちはどうやって人とかかわっていけばいいのでしょうか?

■ストーリーテリング

むかしむかし、あるところに・・。

しかしなんと・・・。実は・・。その結果!

こうした、エピソードを描写的に語るような話し方を、ストーリーテリングと言います。具体的な例は、これまでのちか旅アーカイブをご覧ください。

不思議なことに、ストーリーなら人は、より好奇心を持って聴き合い、お互いの意味を共有しやすくなります。(むしろ、ストーリーを通じて、人は意味づけをしていると言えるのですが、ここでは深入りは避けます)

そこで、月に一回ほど、「物語を語る」というコミュニケーションを生活習慣にとりいれたい人とつながりたいと思いました。私たちは群馬ローカルを起点にしていますが、各地で、同じような取組が勝手に広がったらいいなと思いオンラインでも展開しています。

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手探りで小さくはじめてから、およそ1年経ちました。

私たちは、どんな風にちか旅を楽しんできたか。先日、これまで参加者で歩みをふりかえりました。この記事は、その声を集めて紡いで、「ちか旅の楽しみ方8選」にしたものです。

ひとときのココロの旅としてお楽しみください。

あなたの好きな旅先はどこですか?

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さまざまな選択肢がありますね。

国内の温泉、海外の絶景といった「場所」。あるいは、おいしい料理、ガラス細工などの「モノ」。

私たちのお気に入りの旅先は、「人の物語|ライフストーリー」です。

私たちの社会には、さまざまなに異なる人々がいます。職業、世代、性別、生まれ育った環境。その違いは、実は「自分が知らないこと・新しいことに触れてみる可能性」ではなかったでしょうか。

そう思い始めたとき、普段ならあまり出会わないような人とランダムに出会い、人が生きてきた物語を聞いてみることは、なんだかステキな「旅」に見えてきました。

■ちか旅のはじまり

ちか旅は、対面のイベントとして始まりました。

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赤城山古民家IRORI場

週末にのんびりと近所に集まります。風に揺られて、きもちいい感じ。静かな湖のほとり、山あいに流れる雲、田んぼに映る夕日。いい雰囲気の古民家。

①多様な人と出会える

参加者は、できる限り、異業種、多世代で、ランダムな出会いがあるようにしています。普段なら会わないような人と、予期せずに出会うこと=「旅」は、自ずと多様性と触れることになります。

②ありのままの暮らしを味わう

さて、集まったあとは、地元の人のリアルな暮らし、観光客向けではではなくて、地域の人の生活文化をストーリーを味わいながら、散策します。

このことなら任せて!という「意外なプロ」に出会うこともしばしばです。魚の捌きかた、写真の撮り方、敏感肌でもかぶれない下着選び、思春期の娘との関わり方。ついつい、相談ごとがはじまることもしばしばです。

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富岡中心市街地と路地裏

好奇心を持って散歩してみると、「これなんだ?」。ググってみると、かなり考えさせられる歴史を持った物事にも出会います。

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中之条町、おろかもの之碑

③ありのままの自分と会える

ふだん自分が置かれている立場や肩書きを一旦、横に置いてみるように、お誘いしています。んーっと伸びをしてから、ひとりの「ふつうの人」になります。

それは、普段背負っている立場や専門性などの「鎧を脱ぐこと」。リラックスできる時間を一緒に過ごすためと思って、できる限りお勧めしています。気持ちのいいものですよ。

④近所の人の、ほんとの話を聞ける

これが、ちか旅のメインです。そこで暮らしている人のライフストーリー/人生という旅のものがたりを味わいます。何かをなしたすごい人や有名人ではなく、近所にいる「ふつうの人」

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episode.2の語り手をやってくださった中之条観光協会・原沢香司さん

SNSなどに蔓延しているような外向けに「映える」ように脚色されたものではない、ありのままのストーリーです。

その体験について、参加者からはこんなコメントがありました。

近所にいる人が、どんな思いで自分の仕事に取り組んでいるか、それを選んだきっかけとかを語ってもらえる機会は初めて。
「自分はこういう人間だ。」とSNSで発信すること容易になった時代。しかし、そこで語られるストーリーは、何だか外向けで脚色されているようにも思う。ありのままのリアルな物語に触れられるのは貴重。

⑤聞くだけではなくて、表現をしてみるチャンスがある

話を聞いたあとは、参加者も互いの自分の人生の実体験を語り合います。

ここで登場するのが、私たちの旅ガイドである「問い」です。たとえば、「ストーリーを聞いて、自分の気持ちが動いたところ/思い出したあなた自身の体験はありますか」「何があったから、語り手は一歩を踏み出せたように聞こえましたか」。

もちろん、無理に話してもらうことはしません。ただ、問いがあるおかげで、「普段は話しベタ・・」という人が、めっちゃ話し始めることが結構あります。

誰かの人生の聞くだけではなく、「自分の想いを言葉でアウトプットしてみる」のがいいかも。
それぞれの経験値をシェアすることでギフトになる。成功談だけではなく、失敗談から学ぶのがいい!

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■みんなで聞き方を気をつけてみるから、やさしい

無理に話さなくてもOK。「この人の言っていることは間違っている」と思っても、何か学ぶことがないかというつもりで、好奇心を持って聞くことをみんなで約束します。

好奇心がコミュニケーションをリードし始めるとと、自ずとそこには「問うこと」「聞くこと」が多くなります。その時に立ち上がってくる空間の中では、わざわざ「大きな声で、誰かを説得する」必要が、そもそもなくなってきます。

終着点を設けず、その人の内面をいったり来たりできるのが、「人を旅する面白さ」だと思う。違う意見をマウントするのをやめて、お互いの話をじっと聞きあうってなんか、新しいきもち良さがあるね

■多様な進入角度

同じ事象でも、どの角度から進入するか。どのような語り方をするかによって、現実の意味は変わっていきます。

僕は先天的に難聴なんです。でも、変な声かけとかを「うるせーな」と思った時は、補聴器を外します。今ノイズキャンセリングイヤホンとか超高く売ってますけど、こっちはとっくに内蔵してますから。

⑥「旅仲間」としてつながる

名残惜しいところですが、「またね!」と別れてイベントとしてのちか旅はおしまい。ただ、その後も、ゆるやかに参加者のフェイスブックグループなどで交流を続けています。これが、「旅仲間」ですね。

普段、別にかわいくもないものに「かわいー」と言ったりしている。それぞれ違ってもいいから、本当に思っていることを言える関係って、いいと思う。
職場では、たしかにに「顔は見えている」のですが、お互いの事情や背景を知らないでいる。「こういう経験したから、あの人がああいうことをいうのも仕方ないな」っておもんばかれますよね。それを知らないと、人を責めがち。それぞれ持っている、事情や背景を知ろうとするのって、大切ですね。
これまでタテワリやヨコワリをつくってきた社会の中で、ななめの関係を紡げる。自分の当たり前とは違うものに触れて、はじめて自分らしさや、自分が社会に提供できる価値に気づくということがある。。
お互いのチャレンジを助けあったり、一緒に新しい遊びをつくってしまえる友達って、最高だよね。あ、それが旅仲間か。

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2019.9.29 最初の「ちか旅」。ここから始まりました。

コロナちゃんのおかげでオンライン化

ノックもせずにコロナちゃんがやってきました。これによって、突如、「非接触」ということが課されました。そこで、ミーティングアプリzoomを使って試行錯誤を続けています。

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■それでもやはり旅だった

こちらも参加された方からのメッセージです。

思った以上に旅だったなと。人と何かを共有する時間は、景色や食べ物やどこへ行ったか以上の体験。おうちにいながらこんな旅ができるとは、正直思わなかった。
外にいる目線から、自分の地域のことを見つめなおしたことで、あたりまえすぎて見逃していた大切なことが見つかりました
有名な人の話はよく聞くけど、身近な人、一般人の人生も物語がある。旅が開いて、最後に閉じる。これは本当に旅かも。

①’ 家の中にいながら、新しい出会いがある

ネット環境とパソコン1台あって、週末の夜に2時間あればいいので、時間と場所の制約が少なくなりました。これで暮らしと旅は、ぐっと近づいたような感じがします。

オンラインになったことで、土の人(群馬県民の方)だけではなくて、風の人(県外の方)がいて、仕事・世代もかなり多様化しました。「ふだん出会わないような人生に、家の中で出会う」という、ありえないことが、実はすぐできてしまうということがわかりました。

⑦他者に影響を与えられる

自分の発言や関わりで、主人公たちの未来が変わってしまう。参加するNetflixみたいな感じ?

私は「人に影響を与えられる」というのは、社会的なイキモノである私たち人間にとって、大切な欲求だと思っています。

オンラインイベント話す有名人にとっては、あなたはジャガイモのなかの1つに過ぎないかもしれません。しかし、あなたの近所では違うはずです。お互いの物語に参加する。実際に、ここで出会ったひとが、課題と解決策をマッチングさせて、共にプロジェクトを動かすという事例も出て来ています。

⑧自分の新たな側面、課題に気づける

参加者の言葉をそのままご紹介します。

地方公務員の話なんて聞いても面白くないんじゃないか?!そんな不安を他所に、皆さんからのポジティブな反応とあたたかい言葉をいただいて、幸せな気持ちに包まれました。
人生を振り返って整理できたし、「生きてきたこと」について褒められました。上っ面ではないものを褒められると嬉しい。年齢や職業が違う人たちが共感してくれて、自分の存在意義を感じました。違う視点から自分を再発見しました。

これをお話ししてくださったのは、公務員の方です。マスメディア的に言えば、公務員ならば、"スーパー公務員"や天下りしたほうが、面白いですよね。しかし、上記は、ちか旅で「ただ、まっとうなだけの話」をしてくださった方の声です。こうした体験は、かけがえないなと思います。

今自分が取り組まないといけない課題が、思わず言葉になってスッキリしました

どうにも先の読めない時代です。今、自分は何に困っているか。既に自分が持っている力や可能性はなにか。今自分がどこにいて、これからどこにいきたいのか。

実はこういうことが、言葉になっていない人は多いのだとわかってきました(私自身も含めて)。これらは、他者にストーリーを聞いてもらうことで、浮かび上がってくることがあります。

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⑨やさしい関係をつくる

匿名性の高いインターネットは、なんでも強烈になっていってしまいます。また、先日、まるでTwitterのようなノリで、レジがもたついていたコンビニの店員に嫌味な文句を言って去っていった人をみました。きっと、その人は店員を「コンビニのレジ打ちマシーン」か何かとして、見ていたのでしょう。

でももし、そのコンビニの店員が、実は「自分の息子の親友」であったり、「大きな交通事故から懸命なリハビリから復帰したばかりの人」だとわかっていたらどうだったでしょうか。

実際のところ、物語を聞いてしまうと、その人に愛着を持たざるを得ないのですよね。

・・・

以上、参加者に聞いた、「ちか旅」のお楽しみポイント9選でした。

(8選のつもりが、9選だった)

あなたはどのポイントが楽しそうだと思いましたか。

「近くの他者」とストーリーテリングを楽しみませんか。今度の週末に、ご一緒できたら嬉しいです。あなたのご参加をお待ちしています。

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