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ベートーヴェン全交響曲連続演奏会

今年はコロナで帰省できないので、この年末年始をどう過ごすか苦慮していた。クラシック音楽ファンとして、年末は第九を聴きに行くことが多いのだが、今年は出遅れてしまっていた(なお、声を出さないのでクラシックコンサートでコロナに感染することはない)。

そんな中、ベートーヴェン全交響曲連続演奏会という狂ったような企画を発見した。毎年やっていることは知っていたが、年末は帰省しているためスルーしてきた。今年は行ける。

しかし、私のようなクラシック音楽ファンでも、ベートーヴェンの全交響曲を一日で聴きとおすのはかなり躊躇する。なにしろ第九だけでも十分なボリュームなのだ。

振るのもすごい。演奏するのもすごい。じゃあ、こっちも頑張って聴こうじゃないの!と思った私は、思わずチケット購入ボタンを押してしまった。

感想は事後にアップする予定であるが、備忘のために、各曲の聴き所を書いておく。

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・第1番・第2番

若書きと言われることもあるが、むしろフレッシュさが良い。ハイドンやモーツアルトなどの古典派の影響が残っている印象がある。中期以降に出てくる「苦悩」などの感情は忘れ、純粋に音楽を楽しむぐらいでよい

・第3番 エロイカ

ナポレオンに献呈しようとして取りやめて英雄と名付けたというエピソードがある。これは市民革命は信奉するが、帝政は否定するというベートーヴェンの政治的志向を表している。

第2楽章が葬送行進曲と呼ばれる緩徐楽章の名曲。私としてはマーラーの第5番第4楽章、第3番第6楽章と並ぶ。ここで寝ないのが大事

・第4番

存在感は劣るが、「2人の北欧神話の巨人(第3番と第5番のこと)の間にはさまれたギリシアの乙女」と言われる名曲。

カルロスクライバーの名盤が存在するが、CDの帯には「ここでカルロス火を吹いた!」というセリフがあった。火を吹くくらいエキサイティングな曲である。

・第5番 運命

「ジャジャジャジャーン」である。天下の名曲。若いころにこの曲を最後まで聴きとおす機会に恵まれると、クラシック音楽ファンになれる(と思う)。最後まで聴きとおすことが肝要である。最後まで聴くと猛烈な感動を覚える。

ベートーヴェンの音楽の一典型である「苦悩から歓喜へ」というテーマがもっとも現れた曲である。ジャジャジャジャーンは運命に翻弄される人生を描いていて、その運命に悩んだあとに、第4楽章で喜びが訪れるというストーリーである。その展開を思い浮かべながら聴く。

ジャジャジャジャーンが重要で、このフレーズ(「動機」という)が曲全編にわたって出てくる。どこに出てくるかを注意しながら聴くとよい。

この動機は有名で、これ以降、「運命の動機」と呼ばれ随所に使われた。メンデルスゾーンの結婚行進曲「タタタターン」など。

・第6番 田園

この曲は情景を思い浮かべながら聴くとよい。

ベートーヴェンは耳を悪くした後、よく森を散歩したと聞く。心優しいベートーヴェンおじさんと一緒に森を散歩しているシーンを頭に描きながら聴くようにしたい。

・第7番

のだめカンタービレの主題曲となった名曲。極めてエキサイティングである。

ここはひとつ、現代最高のイケメンである玉木宏になりきって聴いてみたい

聞くところによると、のだめの最終回にこの曲を演奏するのだが、玉木宏は6回撮りなおして、6回とも同じところで涙を流したらしい。俳優ってすごい。ただのイケメンではありません。

・第8番

正直よく知らないので割愛。

・第9番 合唱

ベルリンの壁崩壊など人類の歴史的シーンにおいて演奏されてきた不朽の名曲。

この曲も「苦悩から歓喜へ」をテーマにしている。第4楽章に、第1楽章から第3楽章までの苦悩のフレーズが出てきて、それを低弦がかき消す。その後歓喜のフレーズが出てくると、「これだ!これだ!」と言わんばかりにヴァイオリンが奏でる。まさに文学である

そのストーリーを思い浮かべながら聴くとよいだろう。

長大な曲なので(ましてこの日は全曲聴くため)、第3楽章は寝てもよい。以前家人と行ったときは、第3楽章は寝てもよい、その代わり1,2,4はちゃんと聴くようにと言っておいたが、見事に第1楽章から第3楽章まで寝ていた。お金の無駄である。

ちなみに小林研一郎の第九を聴くのは二回目。前回は大阪で聴いた。最後に合唱団で蛍の光を歌ってくれたが、今回はどうなるだろうか。

(合唱団はこの曲しか出てこないが、オケはそれまで8曲の交響曲を演奏してきているので、直前の楽屋は疲労困憊組とイケイケ組が混在しているに違いない。不思議な現象である。)

『人の生涯は、ときに小説に似ている。主題がある。』(竜馬がゆく) 私の人生の主題は、自分の能力を世に問い、評価してもらって社会に貢献することです。 本noteは自分の考えをより多くの人に知ってもらうために書いています。 少しでも皆様のご参考になれば幸いです。