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ゼロイチも大事だけど、オペレーションを侮ることなかれ

先月、オープンして1年もたたない、京都のクラフトビール専門店へ行ってきました。

ある店舗での体験

古い町屋をリノベーションした素敵な建物、ビール造りへの想いがつまったストーリー、色んなテイストを飲み比べできる自家製クラフトビール、ビールとのマリアージュを楽しめる地元産の食材を使った創作料理。そして、それらの世界観が伝わるホームページが仕上がっていて、予約サイトも使いやすく、プロモーションまで抜かりなく設計されているなあという好印象で、ようやく訪れる機会があり、楽しみに向かいました。

お店に到着し、待っている間にビールの醸造樽を眺めたりしてワクワク感も上昇。いざ座席に案内され、ようやくビールの説明が聞けると期待していたら、店員さんが来て、注文の仕方、季節のオススメはこれとこれ、座席は2時間制であること、などを笑顔もなくスラスラと話され、あとはメニューを読んで分からなかったら聞いてねとばかりに早々と去られてしまいました。

んー、もったいない。この座席に座るまでの体験は素晴らしいものだったのに、現場の店員までその魂が込められていないようでした。期待していたのは、クラフトビールについての豆知識やここでしか味わえないものは何か、好みに応じたおススメなど、来店前にくすぐられた探求心を満たす情報でした。せっかく来たけれど、リノベーションされた空間の雰囲気を味わい、あとは普通に食事をして帰路につきました。特に混雑していたわけではないのに、2時間制だからとわざわざラストオーダーを告げにきたのもマニュアル対応的で残念な気持ちになりました。

神は細部に宿る

私自身、小さな施設の運営に携わっているからか、こういった店舗オペレーションが人一倍気になってしまうのは職業病だと認識しています。こういった体験をすると、企画してローンチするまでの部門と実運用する部門が異なっていたのだろうか、マニュアルがどこまで定義されていて、現場にどのくらい裁量が与えられているのだろうか、スタッフ教育はどのくらい重視されていたのだろうか、など想像してしまいます。

いくら素晴らしい企画やコンセプトを生み出しても、実際に体現して運用することは手間がかかることで、そこを軽視すると、せっかくの企画が台無しになると言っても過言ではありません。逆に、平凡な企画でも、運用の工夫次第でいくらでも顧客体験を向上させることができます。神は細部に宿る。ユーザーに体験を届けるラストワンマイルまで同じ様に力をかけ続けることが重要だなと改めて思いました。

サブスクリプション型ビジネスが増える今

ゼロからイチを生み出すことが尊ばれる風潮がありますが、オペレーションを疎かにしてはイチを継続できません。また最近は、いろんな業種・業態でサブスクリプション型のビジネスモデルが増えています。何かモノやサービスを購入した/体験した時点でお金を払うのではなく、あるサービスを受ける前提で利用期間に応じて料金を支払うモデルです。古くは雑誌の定期購読や頒布会のようなものが該当しますが、最近では、居酒屋などの飲食店、コーディネートされた洋服、住居に自動車など多岐に広がり、大阪でもスモールビジネスで取り入れられる例が増えてきました。以下はフードロスの課題解決と絡めた面白いビジネスの例。定額制の外食サービスです。


こうしたサブスクリプション型のビジネスでは、顧客のリピート率を上げることがキーになりますし、消費者からすればある程度どんな体験ができそうか期待をかけて前払いすることになります。店舗接客に限らず、サービスを利用する全てのプロセスを最初から抜かりなく設計しておくことが、今後ますますキーになりそうですね。オペレーションを侮ることなかれ。

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