見出し画像

書籍でスクープをとりにいく

ボイシーが好きでまたまたボイシーネタだけど、今日も書かずにいられない話を聴いた。翻訳家の土方奈美さんの番組にて。

ゲストである編集者を招いての対談だったんだけど、その編集者さんが驚異のベストセラー編集者だったのだ。『ビジョナリー・カンパニー』に『ハードシングス』に『ファクトフルネス』、さらに今気になってた『世界失敗製品図鑑』と手がけた書籍のでかさといったら! これは心して聴かねばならぬよね。

一番インパクトがあったのは、タイトルのとおり、書籍でスクープを狙いにいくという話。土方さんと同じく、この編集者の方も記者出身であるらしく、「スクープの後追いはカッコ悪い」という意識があるという。通常、編集者はマーケットからテーマを決めていくことも多いけれど、この方は自分の問題意識から生まれたテーマを追いかけ、掘り下げ、カタチにしていくようなのだ。

これこれこれこれ!と私は拍手喝采した。

だって新卒で出版社に入ったとき、上司から「二匹目のどじょうを狙え」と言われて、あまりに悲しかったんだもの。人気のテーマ、人気の著者、人気のタイトル付けをよく「リサーチ」し、うまく「編集」するのが編集者の仕事だと。ものすごく抵抗感があったし、まだ半分子どもの私は大人への不信感すら覚えた。

そうして30代になった頃、「ああ、あの頃は私も青臭かったな。売れる本をつくることが何より大事なんだ」なんて達観したつもりでいたけれど、やっぱりそうじゃない。本のほんとうの価値は、新しい知との出会いなのだから。「ああ出会えてよかった」と心から思える、そんな本だから売れるのだよね。そして、そんな本だからがんばって売るのだ。

いい仕事をしているお二人に強く背中を押してもらえた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?