読者に届いたことが一番うれしい
ブックライターの私は編集者と組んで仕事をしているが、今年早々に依頼された本は初めて「編集も執筆もまるごと」だった。
編集者の存在がこんなにも大きいかと思い知らされた。〆切も私が設定してよかったので、急ぎの仕事にどんどん追い越されていく。私という編集者は私というライターにとてもやさしいのだ。
構成も見出しも文章も私次第。校正者、カメラマン、デザイナー、印刷所とのやりとりも自分。これでいいのか?とたびたび迷子の気分を味わった(もちろんとても勉強になったけどね)。
仕上がりにも、実は自信が持てなかった。ベストは尽くしたつもりだけれど、表紙のインパクトに欠けたかな、写真が少なかったかな、エピソードが足りなかったかな、と未練を残しつつの手離れとなった。
書店やアマゾンで売るタイプの本じゃないので、売れ行きをこの目で見守ることはできない。「何かPRできることがあればします!」とはりきって伝えたものの、「こちらでやるので大丈夫」と言われてしまう。正直、大々的にPRしている様子も見えず、「あれっ、忘れられた本になってない?」と不安だった。
そうしてひと月、ふた月経ち、気づいたらブックレビューがたくさんついていた。わかりやすい、美しい、素晴らしい、バイブルになる、印象的な言葉がある、深い、読み返したい・・・などなど、ありがたき幸せな言葉が並ぶ。
ああ、ちゃんとPRもしてくれていたし、何より読者にちゃんと届いたんだ、と安堵と喜びがこみあげてきた。読者が読んでよかったと思う、これ以上何を求めよう。
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