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デュシャン展を観て感じた、既製品の美しさ

マルセル・デュシャンと日本美術(東京国立博物館)

第1部 デュシャン 人と作品
・彼女の独裁者たちによって裸にされた花嫁、さえも(大ガラス)東京版
・自転車の車輪
・泉
・マルセル・デュシャンあるいはローズ・セラヴィの、または、による(トランクの中の箱)
・アネミックシネマ
など

第2部 デュシャンの向こうに日本がみえる。
・竹一重切花入 銘 園城寺
・黒楽茶碗 銘 むかし咄
・平治物語絵巻 六波羅行幸巻
・龍図
・船橋蒔絵硯箱
など

レディメイド、既製品という美術「泉」

レディメイドは、観る人に特別な体験を与えるアート(機械)です。それは、普段自分が見ていた何気ないプロダクトが、仰々しく飾られることで人の目をひき、そこに何があるのか?と考えさせるからです。

デュシャンの代表作「泉」は、既成の男性用小便器にサインを書いて、タイトルをつけただけのシンプルな作品です。しかし、シンプル過ぎるために、人はそこに何かあるのではないかと考えてしまいます。

プロダクト(既製品)に、新たな名前、言葉、場所を用意することで、新しい価値を与えることができる。観る人の思考を動かすことができるアートという名前の機械(機会)が生まれたのだと思います。

持ち運びのできる美術館「トランクの中の箱」

デュシャンは、既製品という大量生産を一点もののアートに変えたレディメイド作品とは逆に、一点もののアートをミニチュアとして複製し、どこでも気軽に楽しめるようにできる作品も作りました。

「トランクの中の箱」という作品は、デュシャンの作品のミニチュアや写真、複製を、革製のトランクに収納して、持ち運びができるようにしたものです。

アートの存在価値観を変え、それを楽しむ方法も変えた。これは、デュシャン自身が複製に価値があると考えたのではないか?と思います。

トランクの中の箱という小さい美術館は、どこでも展示を行えます。それはゲリラ的に路地裏で展示会を開催することも可能であり、いつも知ってる空間が小さい美術館によって姿を変え、いつもの道でもなく、静かな美術館でもない、新たな体験を感じることができるアートになります。

千利休の作った竹の花入「竹一重切花入」

竹一重切花入は、千利休が織田信長の小田原攻めに同行したとき、急にお茶を振る舞うことになったため、急遽近くの竹を利用して作成した作品です。

千利休は、身の回りにあるものを利用することで、そこに美を見出して新たな価値や意味を与えました。それは、竹の花入だけではなく、お茶を入れる茶碗にも現れています。装飾のある凝った高級な茶碗ではなく、黒くてシックな色合いの手製の茶碗(黒楽茶碗 銘 むかし咄)を使っていました。

難しいことをしなくても、シンプルに美しいものは自然にあって、それをどう利用するかで世界を楽しく観ることができる。ということに気づくことができます。

既製品、量産品の美しさに気づく

全体を通して、多くの作品は既製品や量産品(複製品)に美意識や意味を見出すことで生まれたのだと思います。日常生活にあるシンプルな道具にも、新しい視点を持って美しさを感じることができれば、もっと楽しく生活できるのではないでしょうか?

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