見出し画像

Part2 枕をとる事|想像力を利用した忍者の計略

第2回サークル(Shinobi Design Community)で紹介する忍術は「枕をとる事」です。何を言ってるのかさもわからないと思いますが、忍者が使った戦わずに敵に勝つための謀略の秘訣が詰まったのがこの術です。

枕をとる事という術は、用間加条伝目口義という忍術秘伝書に記載されている忍術です。この術の概略は、敵国が攻めてきて戦争状態のあるとき、夜忍者が敵陣に潜入し、敵将軍の枕元に近づきその枕を盗んで帰ります。次の日、使いの者に枕を持たせて敵将軍に「我らが仲間がこれを拾ったので届けに参りました」と言い枕を渡します。敵将軍は驚き、いつ寝首をかかれるかもわからないと思いすぐさま陣を引き国に帰るというものです。

戦わずに敵を撤退させる、策略を練った術が「枕をとる事」です。

枕をとる事

<枕をとる事(現代語訳)>
異国にて、ある夜敵将の枕を盗って帰る。翌朝、使者にその枕を持たせて「昨夜、私たちの仲間が陣前でこの枕を拾ったとので差し上げに参りました。」と言う。すると敵将は大いに驚いて「こんなことができる凄腕の忍者がいるなら、いつ寝首をかかれてもおかしくない」と思い早急に陣を引き撤退するという話がある。

画像1

この話を聞いたある人は「枕を盗って帰るよりも、一刀で刺殺した方がいいのに殺すことは出来なかった。なぜか?それは単に化け物や妖怪の怪しい術だからだ。こんなものは事実ではない作り話だと決まってるのに、人々は恐ろしい話だと言う。」と言った。

画像2

しかし、これは単に忍びの術を知らない無知からおこる誤りである。枕をとる事というのは、反間(敵忍者を仲間にする。)や内間(敵内部の人間を仲間にする。)を使って賄賂により枕を買い取っただけという簡単な謀略である。だから買収した敵内部の人間は、枕を盗んで売ることはできても主君の首を斬るまでのことは(リスク的に)できない。

画像3

主君の枕を盗んだという行為は発覚すれば大悪なので、実行者は口を紡ぎ絶対に現れない。(忍者がやったと将軍が思い続けるうちは怪しまれることがなく、実行者的に都合がいい)味方にとっては大した謀略ではないので、枕を買い取った忍者は主君に作戦の細かい説明をしない。そのため情報が漏れず問題は起こらない。

よって、末代までも「忍者が平然と敵将の寝室に忍び込んで枕を盗っていった。」と語り伝えられる。反間、内間の実用性を「枕をとる事」から学んでおくこと。(謀略の組み立ても、枕をとる事を参考に多視点で行うこと)

画像4

:現代語訳内の()は筆者による補足で、筆者の主観が入っている場合もあります。

枕をとる事では、単に賄賂を使い敵内部の者を買収して謀略を仕掛けることを説いているように思いますが、それ以上に謀略の考え方について教えてくれているのだと私は考えています。

この術から学べることは4つあり、①反間や内間を使う、②謀略の組み立て方、③リスクの取り方、④証拠(後のこと)、についてです。

①反間や内間を使う

まず、①反間や内間を使うですが、反間は敵の忍者を味方の忍者として利用することを言います。反は反するという意味で、間は間者で忍者のこと、味方であったはずの忍者が反するということです。内間は敵内部の人間を間者(忍者)として使う事をいいます。この反間や内間は孫子の兵法書に出てくる忍術です。

ここから先は有料記事(110円)となります。
Shinobi Design Community(サークル)にご参加の方は、毎週金曜更新の有料記事をプレゼントいたします。お気軽にご参加ください!

サークル → https://note.com/kiyo_design/circle

ここから先は

2,838字 / 1画像

¥ 110

🥷忍者の思考と精神を身につけるべく、日々修行を行ってますので見届けてもらえると幸いです。あとお仕事のご依頼もお待ちしております🙇‍♂️。サポートは兵糧(ひょうろう)に使わせていただきます。 WEB:https://shinobi-design-project.com/home