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夜更のパレード

近頃、息子が新しいフェーズに突入し、こちらもその対応に追われる日々です。決めた時間割も柔軟に変えていかざるを得ません。


でもなんだろう、やっぱり昨年から今年前半のような切羽詰まった感じはしないんですよね。なんとかなるだろうと思っている。こんなにあれこれ全部こなそうとしたら、逆にうまくいかない仕事も出てくるはずなのですが、それはもう仕方がない。できることだけ残っていくだろうと思っています。努力も心地良く。楽しみながらでも目一杯できるところを見つけて、笑いながら四苦八苦しています。


さて。何回か前の投稿で、軋んでいる案件について書きました。一方で、順番を入れ替えて、軋んでいないところを使って考えた案件がありました。その、軋んでないところで考えた案件を依頼者にお渡ししたところ、少し軌道に乗って参りました。おかげでもう少しちゃんと書くことになりそうです。いずれ報告できるかもしれません。


それにしても…。


このままでは、後から考えたものが追い越して行ってしまいそうです。困りました。いや、いいんですけどね、書けるんだから。でもなあ、先に取り組んでるものをどうにか突破させたい。すんごいとりくんでるんだから。もう、すんごい。むう…。


「もくろみ」、あるいはたくらみやくわだてなんて言う時もありますが、それが行き届いていないのではないかと言う疑い。それとも、「グッときたところ」が埋もれているのではないかと言う疑い。それから「キャラクター」。


「キャラクター」が、自由に動けるだけの情報やイメージを載せきれていないのかもしれない。という疑いを持っています。


この件に関してはまた別に日にちゃんと作業をする予定なので今日は掘り下げませんが、別の件を引っ張り出してきて、思い出しながらキャラクターのことを考えてみます。


先日、Team Unsuiの『パレード』という作品を上演し、無事に誰も脱落することなく、千秋楽を終えることができました。あの作品。見てない方もいるでしょう。この先は、そういう方にはあまり面白くないかもしれません。


少し行間を開けます。







『パレード』には、16人の登場人物が出てきます。けっこう多いですよね。16人。それが、2つの異なる世界に、8人ずつ登場するのですが。


これ、最初の企画会議はリモート会議でした。雲水のメンバーのうち、小野賢章くんは別の仕事で何度もお会いしていましたが、他の出演予定のお二人、岸本くんと早乙女くんとはこの時点でまだ直接お会いしたことがありません。なのに、秋なにやります?というところからお話ししなければいけない。


これはなかなか大変です。しかもリモートということは、そう、あの非常事態宣言の頃にようやく企画が動き出したということなのですから、さらに大変です。5ヶ月後には上演できる状態になっていないといけない。劇場と3人のメンバー以外、まだなにも決まっていないというのに。


ただこれは致し方のないことです。あの混乱の中、誰もが、やる?やらない?と吹き荒ぶ風を読み続け、怯え続けていた中で、やる!の方向に舵を切り、少しでも前に進めるには、とにかく信憑性のある情報がまとまる時を待つしかなかった。そうすると、何かを作ろうと思うにはギリギリのタイミングを選ぶしかなかったのです。


初めてのリモート会議。彼らと挨拶を交わし、やがてアイデア出しの時間に入りました。いくつかの案が出ました。昨年の公演からここまでの間に何度か彼らだけで話し合ったこともあるらしく、そこで出たアイデアなども話していただきました。だけどなかなかまとまりません。そりゃあそうです。やれないかもしれないと思いながら考える発案にはリアリティが足りない。どこかフワフワした会話が続きます。


そこで、ちょっと風向きを変えようと、私から、好きなこととかある?趣味とか。という、他愛ない質問を投げてみました。そこで出てきたのが、「ゲーム」でした。あと「麻雀」ね。


それを聞いたときに、なんとなく卓を囲んでゲームをしている彼らが想像できました。そして、リモートのあの分割画面に並ぶ彼らの絵を見ていると、最悪、配信のみという企画になったとしても、彼らがゲームをしているというモチーフなら、このリモートのような画面でも何か皆さんにお届けできるのではないかと思えてきました。


そこで私からとっさに出てきたのが『モノポリー』というボードゲームでした。「人生ゲーム」ではなかったのは、私が彼らに、等身大の若者たちだけでなく、どこか遠い世界の誰かを演じても面白いのではないかという期待感があったからです。


『モノポリー』の中の世界ということにして、そのプレイヤーが登場人物として出てくるというのはどう?


そう提案すると、みんな(まだよくわかっていないなりに(笑))やってみようという姿勢を見せてくれました。おかげですぐに、『富の優劣を競って、したたかに、あるいは無様に争う若者たち(でも実はボードゲーム)』。というイメージが出来上がったのです。


1回目のリモート会議でここまで進んだことがラッキーでした。オリジナルの場合、この最初のモチーフ探しが本当に大変なので。特に今回は、よその企画にお呼ばれしてきている身。彼らの持ち味を消すような作品にはしたくありませんでした。でも、先の『富の優劣を競って、したたかに、あるいは無様に争う若者たち(でも実はボードゲーム)』というフレーズに、すぐに「グッとくる」ことができた。そこひとつとっても、良い出会いだったのだなあと思います。


さあ、ではそこからどう膨らませていくと、あの16人のキャラクターが生まれるのかと言うと、


ああ、夜が更けてしまいました。それはまたの機会に。


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