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業務委託のプロダクトマネージャーとして、働く。

プロダクトマネージャーという職種は、多くのケースで正社員の人間が担当する。とはいえ私はフリーランスのプロダクトマネージャー、つまりは業務委託の立場の人間として、いくつかのプロダクトに携わっている。

最近ではbosyuというサービスのプロダクトマネージャーとして、プロダクトの戦略立案、マーケティング、機能の設計、プロジェクトマネジメント、採用、チームビルディングといった役割を、業務委託の立場で行なっている。

私にとっては正社員だろうが業務委託だろうが、それこそアルバイトだろうが、それはあくまでも雇用形態の違いであって、チームにおける役割という面での区別は不要だと考えている。とはいえ、世の中一般ではこのような考え方はマイノリティであり、理解されることは少ない。もっといえば、業務委託のプロダクトマネージャーというと、片手間でプロダクトマネジメントをしているとさえ言われることがある。

実態としてはそのようなことはないし、ある意味においては正社員よりもコミット高く行なっている自負もある。

このnoteでは、業務委託の人間がどのようにしてプロダクトマネージャーの役割を担っているのか、実態はどのような状態なのか、何を考えているのかといったことを記す。

なお、この記事はbosyu Advent Calendar 2019 の19日目の記事として書かれている。

どのような仕事をしているか

現在のbosyuチームは下記のような構成である。よくよく数えてみたら15名もいた。とはいえ、全員がフルタイムというわけではなく、パートタイムで手伝ってくれている人が1/3くらいいる。彼らのリソースを活用し、最適な配置を行い、方向性を示した上で、bosyuというプロダクトが勝つためにできることの全てをやることが自分の役割となっている。

・エンジニア:7名
・デザイナ:3名
・CS:2名
・ビジネスサイド:3名(自分含む)

その役割の中では、上述のように採用やチームビルディングといった領域もあれば、いわゆるプロジェクトマネジメントなどの領域もある。面接や面談には普通に私が出てくるし、今期のチームの方針をどうしようかといったことも日々考えている。この辺りは、フルタイムでプロダクトマネージャーをやっている人間と何も変わらない。

とはいえbosyuチームに関わる時間は週3日程度であり、残りの時間では自身が中心となって運営しているプロダクトのメンテナンスをしていたり、他社のお手伝いをしていたりする。その点では、ある種の普通のフリーランス的な働き方をしている。

フリーランスのプロダクトマネージャーができあがるまで

私自身はフリーランスになりたくてなったわけではなく、就職先が見つからなかったために仕方なくフリーランスになってしまった身ではある。その昔は、会社員の立場で事業責任者兼プロダクトマネージャーをやっていたり、事業開発の責任者をやっていたり、プロジェクトマネージャーをやっていたりしていた。

これといって働きたい会社もなく、熱心に口説かれた会社もなく、フラフラしているうちに仕事が舞い込んできてしまい、フリーランスとして生計を立てることになってしまった。その時に自分が唯一できたことは、プロダクトを作ること、そしてプロダクトを育てることだけでしかなくて、そのタイミングでそれらの役割を求めていた人たちとマッチし、フリーランスのプロダクトマネージャーが生まれた。

それゆえに、私自身が希望してこのような立場になったわけではなく、自然の流れと自分のスキルセットがたまたまマッチしていたこともあり、たまたま運良くこのような立場で働いていくこととなったのであった。

会社員時代との違い、もどかしさ、そしてその後の話

会社員時代もプロダクトマネージャーをやっていたが、当時の方がプロダクトに対して自由に使えるお金や人的リソースも多かったのは事実である。これはもちろん会社のフェーズの違いでもあるのだが、ある程度好き勝手やらせていただいていたこともあり、これといった不自由さもなかった。

とはいえその中でも会社員とフリーランスで違っていたことは、やりたくない仕事に対して明確にNoが言えたことと、やりたくない仕事だったとしてもNoと言えないことが増えたという矛盾した感情であった。

仕事を請ける請けないといったことを迷っている段階であれば、明確にNoといえるという特典を持つフリーランスではあるが、一度関わってしまったクライアントに対しては、明確にNoが言えないという矛盾した感情を持つのが通常であった。もちろんここでNoと言える人がいることは事実だが、私の場合はそれが言えずに、やりたくもない仕事に対しても、彼らを応援したいだとか、関わってきたからには勝ってほしいといった気持ちから、何かしらの支援をすることが多かった。

そんな自分に対してもどかしさを感じていたし、もっといえば、彼らを勝たせられないことに対して自分の無力さも常に感じていたし、それゆれに会社員時代以上に不自由さも感じていた。

とはいえそのような感情も、いつの間にかなくなっていた。雑にいえば、自分が良いと思えるプロダクトに対して、自分のできる範囲でのフルコミットをするという関わり方を見つけたからであった。

業務委託だからできること、できないこと

「業務委託という関わり方だと出来ないことがある」といった世の中一般が抱える問いは、幻想である。これが私がここ3年ほどフリーランスのプロダクトマネージャーをやってきた結論である。

線引きをしてしまったのは自分たちであるし、相手が勝手に引いてしまった線を超えられなかったのも自分たちの責任である。この事実を受け入れてからは、社員以上にコミットすること、自分が持てる手段を全て使ってプロダクトを勝たせることに力を注ぐようになった。

業務委託だから、正社員だから、そんな区別はやはりどっちでもよくて、その役割に向いている人がプロダクトマネージャーをやれば良いというシンプルな答えになった。

つまり現状で言えば、業務範囲を決めることもなく全方位戦っていくし、社員だろうが業務委託のメンバーだろうが、必要とあれば何かしらの指示をし、そして教えを請う。ただそれだけであって、雇用形態や稼働時間なんてものに、特に意味はないという思いを強くしている。

働きたい人、働きたくない人

このような考えで仕事をしていることもあり、雇用形態を無駄に区別したり、社外/社内ということを大切にしたい人とは非常に相性が悪い状態となっている。彼らの考えることもわかるので、その思考が悪いとは思わない。が、自分とは合わない。

誰を採用すべきか、チームをどうすべきかを頼ってくれる人がいる中で、Slackの特定の部屋しか見ることができなかったり、必要と思われるファイルの閲覧すら許されないような状況、特定のテスト環境へのアクセスが許されないような環境で仕事をしていくことは、今の私にはとてもハードルが高いし、そのような職場を魅力的だとは一切思わない。

オープンであること、そしてそれに対して自分の力を精一杯注ぐこと。その両者のバランスが取れる状態でありたいなと思っている。

プロダクトが勝つためにできること、そしてそうありたいと思う姿、勝ちたいと思うチーム

業務委託だから、アルバイトだから、正社員だから、といったことは、良いプロダクトを作っていくためには不要な感情だ。そのような感情を持ってプロダクトを作ることは、プロダクトの可能性を狭めるだけであって、何の意義もない。プロダクトが勝つためにできることをシンプルに考え、雇用形態といった旧態依然とした考え方とは早めに袂を分かつべきであると考えているし、もっとシンプルに勝つために何ができるか、その上で自分の役割はどうあるべきか、チームはどうあるべきかを考えるべきだと思っている。

そのような形でシンプルにコトに向かい、プロダクトの成長だけを願うようなチームは素敵だと思っているし、そのようなチームが増えてほしいと、業務委託としてプロダクトに関わる道を選んだ身としては常日頃から願っている。


まいにちのご飯代として、よろしくお願いします。