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心霊写真は死んでいない

心霊写真とは、霊やエクトプラズム、死神、神仏などが写り込んでいると主張される写真のこと。(wikipediaより引用)

1990〜2000年代を多感な小中学生として過ごした私にとって、心霊写真は身近な存在だ。『奇跡体験!アンビリバボー』や『USO!?ジャパン』、夏には心霊写真や動画だけで特番が組まれることもあり、幼いころからオカルトに傾倒していた私は、もれなく荒い画質の写真にぼんやり写る顔や光の玉に熱狂していた。

しかし、携帯電話にカメラ機能がつき、それらが次第に高性能化。Photoshopなど、それこそ魔法のような画像加工ができるようになった昨今、心霊写真の大半は「偽物」「作り物」扱いとされるようになった。TV特番なども苦情が来たり何だりで数が極端に少なくなり、心霊写真というジャンルはオカルト界隈から消えていった…………かに思われた。

どっこい、心霊写真は「生きている」のである。
世紀末オカルト世代の大衆的な楽しみであった心霊写真は、令和の現代、より魑魅魍魎が跋扈する世界となったYouTubeにその住処を得たのだ。

ここで一つのチャンネルを紹介する。(リンク先参照)

家賃の安い部屋』、何度見てもインパクトのあるチャンネル名だ。
(「家賃の安い部屋ってヤバい部屋なのでは?」というトークから命名されている)

これは「日本全国の心霊スポットをレポートしてホラーポータルサイトを作る」という目標を掲げたホラーエンタメ番組チャンネル『ゾゾゾ』から派生したサブチャンネルである。主に視聴者から投稿された心霊写真を紹介し、メインパーソナリティ・長尾くんのトボけた独特の味わい深いトークに加え、動画一本が約10分程度なので休憩時間などにも見やすいのが特徴。現在、心霊系Youtuber界隈でトップレベルのメインチャンネル『ゾゾゾ』と同じく人気を博している。

この『家賃の安い部屋』、毎回心霊写真が2枚紹介されるのだが……出るわ出るわ、あの大オカルト時代に遜色ない、いやむしろカメラの技術が発達した時代だからこその「何故これが撮れた?」という恐ろしい写真が驚くほど出てくるのだ。アルバムにしまわれていた古い写真、以前使っていた携帯のフォルダに入っていた写真など中には古いものも出てくるのだが、TVと違うのは、それが視聴者から直に届いているということである。

新鮮な果物が食べたい人にフルーツケーキを提供するのは野暮、かつ不要のサービスだ。YouTubeは新鮮な果物を新鮮なままで、大袈裟なリアクションも再現ドラマもなしに心霊写真の提供を可能にした、心霊系の新たなプラットフォームとして確立したのである。

大衆的なオカルトが淘汰されたが、令和のホラー・オカルトは姿を変えて生き延びている。それが私には、とても嬉しい。「これは友達から聞いた話だけど」「絶対に言っちゃだめだよ」といった枕詞とともに共有される“こわいもの”。インターネットという広大な放課後のなかには、まだまだ知らない化け物が眠っているに違いない。

最後に、今回取り上げた『家賃の安い部屋』から私のお気に入りの回を紹介する。(以下リンク参照)こちらに出てくる2枚目の海岸の写真。わかりやすい心霊写真ではない、むしろ何なのかわからないという、ひたすら「嫌な感じ」の写真は目に焼き付いて離れない逸品だ。存分に嫌な気分になってみてほしい。

【心霊写真】見てほしい2枚の写真

※今回は心霊系Youtubeをあくまでリアルとして取り上げたが、私はこれがフェイクであっても構わない。いや、むしろフェイクは多いだろうとは思っている。心霊系の楽しみとしてはそれが一番健全だし、何よりそれが正真正銘のホンモノだったらお得だからである。

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