見出し画像

管理職の憂鬱 その2 ~分析的に部下を見てみた~

前回その1(ノンナンバリング)にて、部下が言うことを聞かないという管理職の憂鬱を初体験したことを語りました。厳密に言うと、町内会長なので仕事とは、モチベや職責が違いすぎるのでやや異なります。とはいえ、部下の話を聞くとか、尊重するではなくて、管理職とは部下を分析的に見ることであり、具体的には以下3点だと説明しました。

1、重要度(影響度合)
2、関心方針(目標や方針や重視する主義)
3、実際の行動傾向(落とし込まれるプラン、論理力や能力)

これらの分析を効率よくすすめる方法を体験したので、また整理しておきます。









効率的な方法:新規プランへの考えを聞く

部下を分析するには、部下の振る舞いを観察する必要があります。しかし、仕事ぶりを見るとか。傾聴するとか。面談の場を設けても、あまり効果は薄い気がします。たまたま見つけた効率的な方法とは、前例のない新規プランを、今の業務にプラスするとした場合の相手の意見を聞くことです。(新規事業でも、業務改善案でも、前例のない問題の解決ならなんでもOKです。)

こうすると、1の重要度(いましている仕事に対する意欲)がすぐわかります。既に抱えている仕事やタスクで満足でお腹いっぱいな人は、お手軽で安易な正論の否定(多忙であるとか、資源がないとか)を用いて、やらない方が良い理由(やりたくない理由)をアピールします。あるいは、仕事以外に女遊びとか趣味とか子育てとか介護とか、夢中になるものがある人は、仕事は最小限でいいと、同様にやりたくない理由を露骨に表現します。発言が後ろ向きか前向きかで、その人の仕事の姿勢(重要度)が容易に判断できます。稀に慎重・熟考・悲観主義者タイプで、後ろ向きにみえがちな発言をする人もいます。しかし、それは話している時の態度やその意見を深堀して観察すれば、すぐ見分けがつきます。

次に、新規アイディアの具体的なプランを聞くことで、2、関心方針(目標や方針や重視する主義)、3、実際の行動傾向も見えてきます。この人は何を大事にして行動しようとするのか。大事にした上で、どういう具体的で論理的で包括的なアイディアが出てくるのかを観察しましょう。リスク管理や、メリットデメリット、具体的な道のり等々もそれとなく聞いてみると良いと思います。具体的なプランから、その人の知見の広さ。そこで生じる問題を見据えているか。主張の仕方から論理力や問題処理能力もすぐにわかります。

少し話は変わりますが、新リーダーは、部下との面談を設けるべきとか。全員との面談を頻繁に設けたから円滑に進んだみたいなリーダーシップ事例を聞いたことがあります。上記のような中身が伴えば、部下を分析することができるので、この手の話は真だと思います。逆に言えば、真理(部下を分析する)を理解せずに、ただだらだら話しても、あまり効果はない気がします。






部下パターンの分類と対処

1、無関心無気力部下

1の重要度で、やる気がないことが発覚した部下です。他のことに気を取られている為に、意欲はなく、責任も取りたくないし、それと重なって力も出さない、ナイナイ部下です。親の介護や育児等、気を取られている内容が具体的で解消できる見込みがあれば、もう少し改善するかも知れませんが、期待は薄いと思います。

あるいは、仕事や作業で受け取ったり、貰えているものが割に合わない場合も無気力になっていきます。要は、今の仕事に満足していない場合です。給料が低すぎる。10年近く働いていて惰性(新刺激が乏しい)になっている等。1管理職が簡単に解消できる領域ではないですが、もし問題を解消できれば、改善できるかもしれません。

このタイプの部下は、上述の通り、やる気がないので、できるだけ楽をしようとします。彼らの行動は”楽をすること””サボること””手を抜くこと”ありきです。なので、質を落とす。誰かに代わりにやってもらおうとする。できないフリをします。その舐めた態度に、腹を立て、だったら私がやる!と彼らから仕事を取り上げると、相手の思うツボです。貴方の仕事の負担だけが増え、相手は楽できたことにほくそえみます。

このタイプの部下への正しい対処法は、絶対にしり込みしない強気な姿勢で、これは部下の仕事であると強調し説得し、”なんとかやってみます”の一言を引き出すことです。

重要なポイントとしては、具体的な問題解決までの示唆を与えて、それぐらいならできそうだと思わせることと、部下の仕事だと思わせる説得材料を探しておくことです。他の全員も仕事を抱えていて、追加で任せられる人がいない。皆手が離せない、あなたは自由が利くよね。このタスクは5時間程度で終わるから頑張ろう。ここだけ乗り切ろう。今回だけは頑張って欲しい。あなたの経験になる。まぁ、なんでもいいのですが、相手になんとかやってみますの言葉を引き出すと割り切って、クレーマーに対峙する根負けさせる気持ちでのりきりましょう。そもそもやる気がない人と話し合いは成立しません。そして1回やらせて経験を積ませれば、次に同じことを振っても、処理できるようになっています。なし崩しです。




2、関心はあるが……問題あり部下タイプ

2-1 リスク回避、面倒事回避タイプ

それなりに自分の見解を話し、それなりに論理的な正論を言うので、仕事へのやる気や責任感はあるように見えます。しかし、結局は、やらない方が唯一にして最善としか語れない、代替案や次案がない考えなしタイプです。

このタイプの部下は、自分では真面目に仕事に取り組んでいる気になっていて、熟慮して、思慮深い、正しい人間であると自負しています。この点が非常に厄介です。わかりやすく言えば、横断歩道を絶対渡ろうとか。廊下は走っちゃいけないを繰り返す感じでしょうか。本質的には、歩行者同士や車との安全確保ができていればいいだけの話なので、ルールというかその本質を外さなければ、多少違った行動をしても問題にはならないはずです。

しかし、耳当たりのいい正論を振りかざして、様々な具体案を簡単に棄却し、彼らは検討することをしません。なので、いかにプランを具体的に、メリットデメリットを詳細に話したとしても、説得できません。相手の頭には入っていってないからです。ここで重要なポイントは、1のタイプの部下と同じ対応をしてはいけないということです。根負け作戦は、彼らの正義や正論の前には、効果はありません。彼らにも通じるだけの大義名分や正論を用意する必要があります。

具体的には、社長命令やもっと上からの命令であるから何とかやってほしいとか。多数決で可決される等。こういう理由で、あなたが一番適している等。相手よりわかりやすく強い正論を根回しして準備して伝えることで説得できます。そして、説得してそれを1度やってしまえば、1と同様に、次からの似たタスクも、なし崩しで処理できます。




2-2 無能力タイプ 要はおバカタイプ

それなりに自分の見解を話し、それなりにやる気のある態度を見せるので、仕事へのやる気や責任感はあるように見えます。しかし、肝心要の能力がないタイプです。提案されたプランの問題点や、提案したプランの脆弱な点を指摘しても、的を得た返答や論理的な返答がかえってこないタイプです。

このタイプの部下は、なんで俺の頑張りが認められないんだ。しっかりやっているのにと自負していることが厄介です。確かに、人よりも進んでなにかをしてくれたり、問題に対処してくれようと動いてくれるために、要所要所では、タスクをこなしてくれて助かり頼りになる存在です。

しかし、能力のキャパを超えたことをやりたがり暴走すると厄介です。安易に独走を認めると、後々大きな問題に繋がるケースがでてくるので、トラブルメーカーにもなりえます。

対処における重要なポイントは、相手のレベルに合わせて説得するということです。論理的にそのプランが実現できない問題点や、それを乗り越えるための条件や要点を述べたとしても、なんとかやれる!やるべき!の気になっている相手の頭にはなんら届いていません。とにかく、なんとか、とりあえず、こういう言葉が多用されて押し切ろうとしてきます。能力に差がありすぎると話し合いは成立しません。

なので、正論タイプの上と近いものがありますが、君の頑張りは認めるが、多数決で棄却された。上でストップがかかった。現場の○○が上には伝わらない等。相手のやる気をそがないように、理解があるふりをしつつ、相手にわかりやすい、惜しいけどダメだった結末脚本の落としどころを作り出して、伝えましょう。




2-3 頼りになるが、自らと行動指針が違いかみ合わないタイプ

プランに対する論理的な指摘に返答でき、わからないことには解らないと言える、”ちゃんとした”打ち合わせができる部下タイプです。このタイプは、頼んだ仕事もそつなくこなし、ほうれんそうもでき、そこそこの結果を出し、使える部下だと思います。ただし、プランを聞くと自らと行動指針が違いすぎることが時折見えてくる場合があります。この点の扱いをどうするのかが、このタイプの厄介な問題です。

少し掘り下げた話になりますが、人間のトラブルの大半は、生産的活動における行動傾向(価値観)の違いに由来します。わかりやすく言えば、早い方が良い結果になると、丁寧な方が良い結果になるという対立が根本であるという話です。与えられた問題にたいして、その人なりの丸々が大事を信仰して、丸々を意識して最善の行動をして解決しようとします。人によって、最善が異なるということです。言い換えれば、誰かのここがたまに傷だとあなたが思う内容は、そのまま反転した意味合いで、あなたのここが傷だとその誰かに思われているともいえます。

この行動傾向の違いからくるトラブルの厄介な点は、その二人の考えの差が論理力や能力によるものではなく信念や信仰によるものなので、解消しにくいことです。

不満が許容範囲であれば、部下の愚痴レベルですみますが、度をこすと謀反や空中分解の可能性が高まり、チーム壊滅の危機に繋がります。なぜならぱ、仕事ができるということは、頼りになるということであり、頼りになるということは、その部下を信頼しついていく人もでてくるということです。上司と部下代表Aとのチーム全体を巻き込んだ対立図式に発展してしまう可能性を秘めています。

このタイプの部下に対処するには、二つの方法があります。一つ目は、その場しのぎの関係であることを明確にして、相手の我慢の許容範囲を広げてもらい、不満を抱きながらも、ゴールまで凌ぐことを了解してもらう方法です。納得は行かないと思うが、一年間だからこれで頼むみたいな言い方になるでしょう。

二つ目は、相互の行動傾向の差を明確に言語化して相互に共有し、そして、どちらの視点も成功には必要であり、思ったことは全部言ってもらえる関係性を構築することです。我慢させたり、意見を封殺することほど謀反に繋がります。あなたの見方も大事であると尊重し、自分の見方にも悪いところがあるから、二人の意見を足し算すればもっと上手くいくという言い方になるでしょう。






おわりに

冒頭で述べた通り、町内会長なので仕事とは異なります。仕事以上に無関心さんがおおくて進行が大変です。とはいえ、この分析と分類と対処は仕事でも一緒だと思いました。子供会とか。老人会とか。なんにでもあてはまると思います。

話は少し変わりますが、自分の弱いところを自分で愛せないと、あなたを愛してくれる本当の相手とは出会えないという言葉があります。

自分がせっかちなところとか、ちょっとケチ臭いところとか。そういう弱みを自分で弱い部分だと受け入れられないままだと、相手からその点を指摘された時、弱いところをつかれたと怒ってしまいます。あるいは、無意識に相手にその規範を強要して我慢させ萎縮させます。あるいは、こんないやなやつと一緒にいる相手も嫌だろうなという気持ちになって、相手に辛くあたり自ら人を遠ざけることになるとおもいます。

何がいいたいかというと、部下に慕われるとか管理職として上手くいく根幹には、この考え方が大事だということです。

上司になったといって偉ぶるんではなくて、俺は時間にはなぜか無駄にうるさいから、気をつけろよおまえら。いきすぎてたら、クォーツ時計!とか冗談めかして言ってくれよな!

相手との違いを互いに指摘できるような関係性を築く。二人で足し算で上手くやろう。良い結果になるには互いの視点がどちらも大事だという上の話を実践する根幹には、こんな風に、自分から弱さ(行動傾向)をさらけだし、みんな違ってみんないいと心から信じられるように、考え方を変える必要があると思います。これは、仕事だけではなく家庭でも友人でも、良好な人間関係を築く極意でもあると思います。


あ、補足です。関連しそうな記事もあげときます。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?