年をとってからみても、スゴいアニメはスゴい ~ガンダム 水星の魔女の感想~

もう36間近で、アラフォーです。子育て開始や、年子子育てで時間が皆無になり、二年近く映像コンテンツに触れていませんでした。で、久しぶりに標題のアニメを見たら、すげぇ…となりました。興味ひかれた人は、是非見てください。戦争と兵器と平和と差別。親と子供と後継者、跡継ぎ、こんな感じの現代テーマを全て颯爽とさらっていく深いアニメです。脚本家と演出家がただただ凄い。まだ10話位しか見れていませんが…。



入りから考えられている

まずは学園モノとしてスタートします。田舎者の編入生が、いきなり学校一番のキャラを倒しちゃうという王道ながら、王道ゆえにとっかかりに最適で、間口を広く取って人を引き込みます。そして、魔女と花嫁というキーワードをもった二人がここで交錯して物語がスタートします。


兵器ではないガンダム 

ゴッドジーラ → ゴジラ(シンゴジラより)的に、ガントアーム → ガンダム こういう造語感覚も格好良いですよね。

本作では、ガンダムは兵器ではない。身体機能の拡張、宇宙への適応力向上として描かれていて、義手や義足の延長で、宇宙活動でも耐えうる身体を持つための医療技術の延長にあるものとしています。(ガントアーム)

戦争とはなにか、兵器とはなにか。前者はこれまでのガンダムの最初から何度も描かれているテーマで多種多様な作品があります。今作品も同様ですが、後者の視点まで描かれた作品は今作がはじめてではないでしょうか。しかし、医療技術です!!みんなブラボーとはなりません。この辺の描き方も戦争に向かう人間描写として面白いです。

具体的には、ガントアームがまだまだ技術が未熟ゆえにパイロットの生命が危険にさらされること。しかし、その未熟さをそのままに兵器運用するやからがいたり。その辺の理由で、魔女として開発チームやガンダム作りは全面停止されているというのが舞台設定です。

未熟で改良の余地があるならば改良すればよいだけなのに、徹底的に魔女(ガンダムに関わるもの)として魔女がりまでされた世界。そこに隠された深い歴史や本当の事実が気になりますね~。

なお勝手な推測ですが、ニュータイプとして突然生まれるもの、それへの差別(称賛)ではなく、ある技術を身体的レベルで利用できるか、出来ないがという技術による人間の分類、つまり、差別を作り出す悪魔の技術だからでしょう。壮大なネタバレだったらすいません。



魔女

本作の主人公(ダブルヒロイン?)は、田舎者の編入生にして、ガンダムのりのパイロットであり、魔女なんですよね。歴代初の女性主人公だとか。

この辺の価値観の転換もすごく面白いです。ニュータイプやそれに連なる称号で、ガンダムに乗るパイロットたちは、稀有な存在で、称賛の対象でした。しかし、本作では魔女として呪われてしまう。差別の対象になる。純真無垢な彼女は善行で良心的であるのに、その本質や本当はあるなのに、本音に蓋をして、唆されて良くないもののと決めつける、差別や偏見の生まれる様子を見ているようで面白いです。



花嫁

学園都市の運営母体で複合企業体のトップの娘が、本作のヒロイン?(ダブル主人公)です。彼女は父親の謎の命令で、学園トップのホルダーと卒業時に結婚するということになっており、編入早々にやっつけた主人公(女の子)の花嫁になります。

単に百合要素、オタク受けともとられますが、キャラ造形への深い背景や物語設計に貢献する、良い設定に思いました。ダブル主人公の通りで、魅力的なライバルや理解者としてのキャラではなく、主人公同士相互に補完するものとして描かれています。魔女は、呪われたに全く反して、明瞭で素直で純真無垢。まぁそれゆえに多くの人を魅了する魔女と言えば魔女かもしれません。

一方で、花嫁は現実的な実務や企画計画運用を一手に引き受ける頭脳派キャラに仕上がっています。頭と心、現実と理想、葛藤とは二つの間で揺れ動くことですが、それをあえて二人のキャラに分割して分かりやすさと物語演出の汎用性を確保(一人でうじうじ悩んでる姿の過去のガンダムパイロットはきつい人も多い。)しています。しかし二つであっても、花嫁と魔女として絶対に引き離せない絆を用意することで、二人で1つのダブル主人公として明確に物語を縦横無尽に動かします。



決闘

本作では学生同士の争いは、決闘で解決できる。機体同士で対決する!この設定が、話のテンポとリズムを格段によくしています。ものすごーく離れてみれば、力業での解決になりますが、物語の全部全部に計算と解決を入れ込むよりも、適度にアクションジーンと緊張感と軽快さがうまれて、話のテンポを良くします。

また、この設定のお陰で、話が広がりすぎながらも、学園モノとしてのしっかり軸足を残しつつ、詠み手を世界へひ引き込みながら、序盤は話が進んでいきます。

おそらく今後の中盤からは、学校での~よりも、ガンダム技術にかかわる連中(宇宙側への反旗をもとめる地球側、他の企業体、身内のライバル競争等々)との、ガンダム(ガンドアーム技術競争)開発合戦みたいな話になりつつあるので、決闘はラストまでみなくなっていくてしようけれど、序盤にはすごく有効でした。強制的に白黒つけるみたいなのは、良いシステムなんですね。



終わりに

ガンダムって、平和への物語なんだなぁと改めて痛感させられます。年を取ってから見て、深い部分には幼い頃は全然気づいていなかっとも痛感します。深く作り込まれたアニメ程、大人になってから視たほうが楽しいんだなと思いました。言い換えるならば、アニメという鏡を通して、そのときの自分の視野や視点をふりかええることができるともいえます。

おかだとしおのチャンネルでジブリとかの真偽不明の深い解説等がありますので、本当はジブリ等々にもいっぱい込められているみたいですよね。

終わりに、水星の魔女は差別がテーマだと思います。魔女やガンダム。それを封印する理由や、隠滅するなかったことにするという方法の是非。前の世代の後を継ぐという意味。

そして、本作の根幹の解になる、魅力的なライバルの金髪君がだす、差別をなくす、狭い世界を広くするための(全員が全員を許容できるようにする)理論を是非聞いてみたいものです。




追記

本当にすいません!!!完結しているモノだと思っていました。

まさか2023年4月からシーズン2が始まりまだまだ続いている作品だとか・・・。このスケールとテンポリズム感だと、完結までは12×3の速足(今のテンポリズムの)36話か、そこそこじっくりの4クール48話になりそうですね・・・・。

差別を失くす = これもいいんだありなんだっていう既成概念を壊す作業なわけで、養子、女性同士の花婿花嫁。他のいたるところでもちょこちょこ、あえて全て既定路線を外す感じが見えます。やっぱり差別がテーマなのかなと思います。

これまでの話も演出がうますぎると思ってみてましたが、(一話の中盤からラスト然り)本当に演出がうますぎるから止めて・・・、最終話では感情が揺さぶられすぎます。某キャラの無自覚の父親殺しのインパクト、相互理解の必要性を説いて、わだかまりを超えた主人公の二人。それをうけてのせられて空回りしながらも、ようやく一歩踏み出した覚悟と勇気、その結果の人命救助と死。で、人殺しの罵倒。これ全て1話で詰め込まれるとか、もう感情爆発暴動がとまりません。完結していないものを人に薦める無礼を失礼しましたが、本当に良い作品です。

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