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今日一番の大仕事:睡眠

本日も残すところあとは寝るだけだ。

お風呂、ご飯と終えていき、薬も飲んだ。ラジオの実況や、座学的な勉強に割く時間がなかなか作れていない点は心惜しい。しかし、曲がりなりにも病人なので、適切に寝るに越したことはない。

しかし眠くない。私の眠りは、気絶とか、失神に近いものだと思う。入眠というよりは、薬の力で眠れるのだ。ただ、薬の力というのも効きすぎては良くないという配慮からか、弱めに設定されている。それ故に、好奇心が勝つのだ。

薬が弱すぎる。効能ではなく、戦う相手として格下であるという意味だ。対睡眠薬において、今なお「エッセイ書いとくか」と言う気持ちが勝っている。しかも、妻はもう寝ている。お医者さんから処方されている二種類の睡眠薬は、たしかに効果がある。多分このスマホを置いて、目を閉じ、10分もすれば寝る。つまり、私の服用している薬の効果が発揮されているのは、大して眠くもないのに眠いふりをして、茶番のように「ショートコント、寝る人」をやったときが一番寝られるのである。

しかしこれには問題がある。大して眠くもないのに横になり、天井を見るのは、暇なのだ。妻が隣で寝ているので、リラクゼーション音楽を流すのは控えたい。目を閉じていても楽しめて、しかも眠くなる。そんな物を探しているが、今のところ巡り会えていない。イヤホンをして眠ることも考えたが、イヤホンは耳にずっとつけていると耳が痛くなる。色々理由をつけて入るが、視覚以外の楽しみを見つければもう少し眠れるはずなのだ。

割と好きなのは横になったあと、布団と接地している体の部分に意識を集中させることだ。自分の体の大きさとか、布団の柔らかさは案外覚えていないもので再確認すると面白い。ただ、何日も連続でやるようなものではない。

ナイトルーティンというものもある。しかし、あれは挑戦している間が面白いのであって、何度がやって慣れてくるとナイトルーティンの片手間に遊ぶ余地ができてしまう。そして、スマホはその隙間にいともたやすく入ってくるのだ。ホットミルクを飲む、というルーティンを入れたとして、最初はレンジの中で回るカップが熱すぎていないか覗く。しかし、2日もすれば「別に冷ませばいいか」と結論付けられ、待っている間も飲んでいるときもスマホを見る。

スマホを置き、目を閉じる。何もワクワクしない。ワクワクする必要など無いのだろうが、私の体は「寝られる状態」なのであり「眠くはない」のだ。薬だって、寝入りを良くするものと、眠ったあと深く根付かせるものがある。ここに「二度寝するときくらい気持ちよく眠たくなる要素」がなにか欲しい。私が眠くなるのは全力で走ったあとか、お酒を飲んだあとだがいずれも「睡眠薬を飲んだあと」では絶対にやめたほうがいい。おそらく、命に関わる。

眠くないとき、父は「明日の楽しいことを考えるといいよ」と言っていた。確かに、明日の楽しいことを考えるといいかも知れない。しかし、私の体は現在、原因不明の不調に打ちのめされているため、その楽しみが達成されるかどうかには不信感があるのだ。なら、動ける今のうちにやってしまおうと思うのが合理的である。

ただ、こうして悩みながらも色々挑戦しているせいか、朝には目が覚める。ただ、目が覚めたときには「よし、じゃあ、ゴージャスに寝てやるか」と、最高の眠りを求めて布団の位置を整えて、枕を整え、体を毛布にくるんで寝る。それを夜にやればいいのではないかと思うのだが、暖かな日差しが差し込む中で、早起きした優越感の中眠るのが楽しいのであって、暗い部屋で寝るのはやはり楽しくない。

すると妻が「おくるみしよう」と言って、私をくるんでくれるようになった。赤子のおくるみから着想を得たらしく、布団に横たわる私にタオルケットと布団をかける。スマホを遠くに置き、ミイラのようにぐるぐる巻きにされた私。これはアトラクションとして楽しい。ただ、妻が先に寝るので退屈になるとスマホに手が伸びてしまう。おくるみから睡眠への導入率は五分五分だ。

また、せっかく目が覚めたのだから早起きしてみるのはどうかと思い、日がな早起きをしている友人にアドバイスを求めた。

「起きたら電気をつける。あと、ソシャゲの集会を回す」

電気は、妻が寝ていることもあるのですぐつけるには至らない。妻は睡眠を邪魔されるのが嫌なのだ。なので私は、自分の部屋へ行き、電気をつけてソファに横になる。ソファは寝るための形をしていないので、二度寝してしまう心配もない。ただ、ゲームがすぐ横にあり、本もすぐ横にあるのに電気をつけてなおやることが「横たわる」というのも覇気がない話である。一度、外に散歩にでかけたこともあるが、調子の良い日はできるものの、調子の悪い日はやはり睡眠欲が勝ってしまう。

寝る、というのは、もっと面白くならないものだろうか。面白くなくても、進んでやろうという気になるようなポイントが、夜に限って無い。それをよそに妻はグースカ寝ている。

ひとまず、私もこの文章を書き終えたらスマホを置いて目を閉じてみようと思う。全く気は進まないが、しかし事実としてこれが一番眠れるのだ。

体がストンと眠りに落ちる。しかしそれは、私の同意のうえで初めて成立するようだ。そこかしこで寝てしまうことは無いが、その一方で、薬側も私に対して「準備はできたが、寝るか?」と配慮してくれているのかもしれない。

寝る気はないが、目だけ閉じよう。するとなぜだか、朝は早く目が覚めて、一日が少し早く始まるのだから。

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