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Event Report: 業界横断のスタートアップ共創によるカーボンニュートラルへの挑戦 in 積水化学工業

日本は脱炭素社会の実現に挑戦し続けており、政府は「温暖化対策『ビヨンド・ゼロ』実現までのロードマップを策定しています。2020年10月26日、菅義偉元首相は、日本が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを呼びかけました。この大胆な公約により、日本は30年後にカーボンニュートラルになるための道を歩むことになります。経済産業省によるとロードマップの重要なポイントは、「経済界とともに『経済と環境の好循環』を実現するために、資源を最大限に活用する」ことです。

今月開催されたCOP26では、国連加盟国が集まり「パリ協定」と​​「気候変動に関する国際連合枠組条約」の目標達成に向けた進捗をいかに加速させるかを議論しました。その中で、全ての国連加盟国の力、そして企業や個人の力を合わせ、気候変動対策に取り組むことの重要性が強調されました。

しかし、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、日本の大手企業はどのような役割を担っているのでしょうか?これは、11月8日にPlug and Play Japanが積水化学工業と実施したイベント「業界横断のスタートアップ共創によるカーボンニュートラルの取り組み」で問われた問題です。

Opening Remarks | 脱炭素社会を実現するには、業界横断的な協力が必要

最初に登壇したのは、Plug and Play Japan Partner Success Managerの黒田雄太。イベントの趣旨であるカーボンニュートラルのテーマを紹介し、脱炭素社会を実現するためにスタートアップと企業が業界横断で協力することの必要性を話しました。

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Opening Remarks(開会の言葉)では、積水化学工業 経営企画部長の紺野俊雄氏と開発研究所所長の柏原 久彦氏が登壇。紺野氏は積水化学工業の環境への取り組みやESG経営の概念についてご紹介され、SEKISUI環境サステナブルビジョン2050とその課題解決に関するKPI(重要業績評価指標)を発表しました。

柏原氏からは、イノベーションと事業・技術の多様性といった強みをどのように活かして気候変動対策に貢献できるか、についてお話をいただきました。積水化学工業の歴史をを振り返りながら将来に向かう柏原氏のお話はとても魅力的でした。

Keynote Presentations | 大手企業とスタートアップの連携の可能性と事例

今回のイベントの大きなテーマである、大手企業とスタートアップの協業の可能性と脱炭素社会の実現に必要となる業界間の連携について、Plug and Play Japanのメンバー2名が現状を紹介し、協業事例を紹介しました。

当社New MaterialsプログラムのDirectorである新井成実からは、Plug and Playの概要と積水化学工業も参画されているNew Materialsプログラムについて紹介し、脱炭素に関わる国際的なマクロ動向、そして日本の産業世界全体としての対応の重要性についてお話しました。

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Plug and Playの投資部門であるPlug and Play Venturesの大岩晴矩からは、脱炭素の文脈における企業とスタートアップの協業事例を3件発表しました。二酸化炭素由来原料による自動車部品の製造、低炭素コンクリートの開発、使用済みのプラスチックの再資源化の事業に取り組んだプロジェクトに関し、国内外の事例を紹介しました。

Startup Pitches | 気候変動の改善に貢献するスタートアップ

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大岩の事例紹介に続いて、脱炭素や気候変動の改善に関する取り組みを商業化したスタートアップ3社によりピッチセッションを実施しました。ピッチされたのは以下の3社となります。

エレファンテック株式会社:インクジェット印刷と銅めっきを用いた環境に優しい製法でフレキシブル基板を製造
ジカンテクノ株式会社:植物を中心としたバイオマス材料を素材化
Green Earth Institute:国内外の企業との連携により、非可食バイオマスを原料としたバイオリファイナリーを通じて化学品を製造

Panel Discussion | Why Do We Exist? 大手企業の「パーパス」を改めて考える

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Panel Discussion 登壇者:
水落 隆司氏(三菱電機株式会社)
柳田 章氏(スズキ株式会社)
小野島 一氏(株式会社大林組)
吉岡 忠彦氏(積水化学工業株式会社)

最後のセッションでは積水化学工業、三菱電機、スズキ、大林組の大手企業4社の代表者によるパネルディスカッション。ディスカッションの冒頭では各社のサステナビリティ・ビジョンや取り組みが紹介され、環境問題の改善に関する取り組みの事業化、リスク・コストとメリットの比較などの話題が取り上げられました。環境破壊が深刻な問題となっている現代において、企業は機能的な価値だけでなく「社会への価値」を提供し続ける重要性が示唆されました。また、「社会への価値」を生み出すためには、大手企業が単独で取り組むのではなく、他の大手企業やスタートアップとオープンイノベーションを通じて新たな技術・ソリューションを開発することによって脱炭素社会が実現可能となる、という結論に達しました。

最後に:企業が社会に提供すべき価値とは何か?

今回のイベントでは、環境破壊が重大な問題となっている現代における企業の「パーパス」、そして企業が社会に提供すべき価値とは何かが問われました。カーボンニュートラル社会に向けて変革を起こすために、企業やスタートアップが重要な役割を担っていることがハイライトされたと感じられたイベントでした。

<Plug and Play Japan株式会社 Partner Success Manager 黒田雄太のコメント>

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Partner Success Managerとは?
企業とスタートアップ間の取引の調整やパートナー企業に寄り添ったプログラム運営を通じて、企業パートナーとスタートアップの協業をサポートします。

「脱炭素は化学メーカー1社だけではなく、最新の技術を持つStartupと化学メーカーの顧客となる最終製品メーカーなどサプライチェーン全体で協力していく必要のあるテーマです。今回はその第一歩を踏み出す象徴的なイベントとなりました。これを単発のイベントで終わらせず、具体的な取り組みに落とし込むために、積水化学工業や今回ご登壇いただいた各企業と継続的なディスカッションを続け、脱炭素文脈におけるオープンイノベーションを支援してまいります。」

[ Plug and Play Japanでは業界トレンドやスタートアップインタビュー、Case Studyなどを日々アップデートしています。公式Websiteはこちら: ]

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