memo_ 【企業バリュー徹底解説】策定から浸透までのポイントを、組織・人事のプロ・金田さんが語る #SaaSTokyo


戦略からのつなぎこみが、バリュー設計の好手


では、「バリューをいかに策定するか」に話を移しましょう。

これから決める会社もあれば、すでに運用している会社もありますが、両者ともに策定までのプロセスについて考えていただく機会を持つのがいいと思います。みなさん、基本的にはビジョン、ミッション、バリューというフレームワークから考えることが多いはずです。

この軸で考えていくと、事業や世界観をもとにビジョンとミッションまではつなぎこみやすいと思うのですが、バリューが飛躍してしまうことがあるんですね。自分たちの価値基準や仕事の仕方、事業への想いをベースに定めていくのも悪くはないのですが、社員から「なぜこのバリューなんですか?」と聞かれたときにも、きちんと説明できることが必要です。

基本的には、バリューを体現すれば、ビジョンやミッションに貢献していく、事業がしっかりと成功していくことが前提にはなります。ですから、ミッションからバリューをつなぎこむよりは、その間に戦略をきっちり挟んで考えていけるといいでしょう。自分たちの勝ち筋を考え、そこからバリューへ引っ張っていくイメージです。戦略がクリアになっている会社ほど、勝ち筋のための価値観と行動基準がはっきりしていますから、実はバリューを作るのもそれほど大変ではないんですよね。

もう一つ、戦略から派生できるものが組織設計です。たとえば、SaaSビジネスの企業なら「THE MODEL」に基づいた流れを組織に組み込めますよね。ただ、前工程と後工程で認識をすり合わせにくいので、それをコミュニケーションで解決していくためにも、バリューが活きてきます。言い換えると、あるべき組織形態のために必要な価値基準は何か。ですから、SaaS系企業のバリューは、一定で似通う部分が出てくるのは無理もありません。

『WHO YOU ARE』には、「ビジネス環境が変化し、戦略も変わっていく中で、企業文化も環境に合わせて変わり続けなければならない」と書かれています。要するに、バリューは企業文化の一部であるため、環境や戦略に応じて変わっていくうえに、それらの企業によっても異なるということが言われています。「Appleの文化は、Amazonでは通用しない」という例は、とてもわかりやすいと思いますね。

本題のバリュー策定では、僕の定義である「抽象的な価値観」と「具体的な行動指針」という2つのレイヤーで、価値観から行動指針に落とし込んで考えることを勧めたいです。大まかに言うと、価値観は社外向け、行動指針は社内向けに役立ちます。特に価値観は採用にも効いてくるポイントです。

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