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埃に思う

 朝、仏壇の前に座るとうっすらと白い埃が目についた。

 昨日の朝、拭き掃除をしたところなので、一晩でこれだけの埃が積もるということなのか。

 毎朝、線香をあげて般若心経を唱えているので、いつも目にしているはずの光景なのだが実はそんなに頻繁には掃除していない。だから仏壇にはうっすらと埃が積もっている状態が普通なのだ。

 昨日きれいに拭き掃除をした後だから、きれいにしたという意識があるから、今日積もっている埃は1日分なのだとわかるが、このまま拭かずに明日になっても、たぶん違いはわからないのだろう。
 それは明後日でも同じこと。

 しかし一週間経ち、一ヶ月経ち、となれば埃で白く覆いつくされてしまった仏壇に気づき、やっと掃除することになる。


 人生は日々の積み重ねだと言われるが、この埃と同じ様なものなのかも知れない。

 毎日、ただぼんやりと過ごしていてはなにも違わない。
 しかしある日、これまで過ごしてきた日々に白く覆いつくされてしまっている自分がそこにある。

 初めはその埃に気が付いている筈だ。それなのに見過ごしてしまえば後はそんなに気にならなくなる。

 毎日、黙っていても、何をしていても、埃は静かに積もっていく。

 それもまた自分の人生として受け止めていくのも良い。

 払って日々を顕かにしていくのも良い。

 どちらを選んでもそれが自分のの人生となる。


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