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テキトーな気持ちで生き生き暮らす環境をつくりたいの巻

このツイートがバズって、今色んな人の意見がバンバン飛んできてる。「北海道もやばいっす」、「いや東京もやばい」、「田舎はどこもやばい」と。前後のツイートを読まずに「資格をとって良い給料をもらえる人材になりなさい!」とか「私は車も洗濯機も持ってないけど幸せ」という意見ももらう。

どういう意図でツイートしたか、前後の呟きも読んで欲しい。

ここまでが一連の呟き。おれは鳥取の松崎という田舎の町で汽水空港という本屋をやってる。県内60万人の人口の中でも本が好きな少数の人、そして遠方からわざわざ来てくれる人々でどうにか成り立ってる。(実際には成り立ってない。建築現場、文章書くギャラ、色んなことで生きてる。)

文化というのは人と人が接触することで生まれる。ある程度の時間的余裕がないと本屋に足を運ぶ環境は作りづらいし、経済的余裕が無ければ朝から晩まで毎日働かなきゃいけない。周辺の人が生活にかかる固定費に追われて日々働かなくてはいけない状況から脱出することができれば、本屋を経営している自分も、他の商売をしている人も潤う。そうなるように日々望んでいる。

遠方から近所に引っ越したいと相談に来る人もいる。日本一人口の少ない鳥取県。空き家も多い。県として人口を増やしたいという方向性も示しているし、本屋をやっている身としては本好きや自分の店で企画するイベントに反応を示してくれそうな変わり者が近所に一人でも増えて欲しいといつも望んでいる。しかし、住むことのできる空き家が簡単には見つけられない。大家さん側にも色々な事情があることだろう。

自分の現状としては、ただ生きるだけなら余裕な状況をつくれている。9年間もかかったけど。以下は「単なる鳥取ディス」と勘違いされてそうだったから呟いた内容。

9年前に知り合いもいない状態で鳥取へ流れ着いた。当然車も持ってなかった。駅までは自転車で30分。当初は自分が車を所有するなんて考えられなかった。本屋の開業資金を貯める為にバイトの面接へも行ったが、「職場までどうやって通いますか?」という質問にチャリと汽車で通いますと当然のように答えるが、面接官は「No way!!そんなことできるわけないよ!」と言っておれは採用されることはなかった。

しばらく過ごすうち、神のように親切な地元のおっちゃんが無料で自動車を一定期間レンタルしてくれたおかげでおれは仕事に通えるようになった。そこから自分で車を買い、ちょっと家賃の高いシェアハウスに暮らし、でも給料が全て固定費に吸い取られていくから開業資金が一向に貯まらない。今の店の物件(当初は単なる車庫)を5000円で借り、自力でトイレとキッチンをつくり、そこに暮らし始めた。この状況をつくるまでに3年。ようやく家賃に苦しまず、安定した収入があり、車も所有するという生活レベルに達した。

しかし安定した収入とはいえ月~土まで朝7時から夕方5時まで働いても月に13万程度しか稼げない。生きていくことはできるが、こんな収入で開業資金はいつになったら貯められるだろうか。建築現場の仕事+お菓子工場のバイトも掛け持ちした。朝6時に起きて夜12時に帰る生活。それでも月に20万も稼げてなかった。建築現場の社長は超絶優しく、感謝しかない。県内の仕事の給料が安いというのも理解できる。みんな金ないのだから。だから既に生活ができていて余力があるのなら、その余力をまずは開放していくしかない。車を無償で貸してくれたおっちゃんのように、家賃激安で貸してくれてる汽水空港のゴッドマザーのように、畑貸してくれてる地主の人のように。それでおれは今借りてる畑を「食える公園」として実りを全て開放している。誰でも獲って食べていい。作業したければ一緒に作業もできる。食費のかからない、飢え死にしないワールドをつくろうとしている。

まだ始めていないが、大家さんの負担になっている空き家を安く買って直し、年間の固定資産税分しか家賃をとらない家をつくる「難しい権力」という不動産プロジェクトもやろうとしている。自分は安く家を貸してくれる優しき大家さんと出会う運があった。この運を他の人にも回したい。

このようにして、金はないが余力がちょっとできたおれは今、個人で公共について考えそれを実践しているわけでR。テキトーな気持ちでなんとなく移り住むことのできる環境つくれたら、儲かるようにはなりはしないがきっと色んな文化が蠢いていくことだろう。シェイクスピア&カンパニー書店やシティライツ書店みたいに汽水空港に様々な詩人や変人が訪れて...。うふふ。

だけど大多数の人は家を探すとなると不動産屋へ行って探すし(おれは不動産屋行ったことない)、仕事もハローワーク行って探すしかない。その条件の中で選択する。車が無ければわざわざ高い汽車代払ってハローワークまで通う日々だ。そういった人でも暮らしやすい環境をつくるのが政治。一人一人に固有の困りごとがあるが、どの困りごとに対して税金を使うかを決めるのが政治という仕事だ。政治家は政策として、自分がどの困りごとに関心を向けている人物であるかを表明しなければいけない。その状態になって始めて支持、不支持という意思をpeopleは示すことができる。そういう政治的な企画もおれはやってる。「whole crisis catalog」という企画。詳しくはリンクを見て欲しい。企画の主旨を転載する。

[ピンポンパンポン]

汽水空港緊急企画!
「WHOLE CRISIS CATALOGをつくる vol.1」
2019.7.11(木) 19:00~
参加費 無料
参加資格 無し

困っていることを解決するのが政治です。
税金はその為に払ってます。罰ゲームで払ってるわけではありませんよ、皆さま!
ということを、政治家はもちろん、僕たちもみんな忘れてる。
選挙期間始まったけど、みんな政治分からない、難しいと思ってませんか?ホントはとってもシンプルなこと。

「困ってることを解決する」

それが政治。「あなた/わたしが困っている」という状態が既に政治なんです。
その困りごとに対して、どういうリアクションをしてくれる人を選ぶか。それが選挙です。立派な意見が言えなきゃ、豊富な知識が無きゃ…って縮こまってませんか?
心配ない!Be happy!

自分が今何に困ってるか、どういう世界に暮らしたいか。それをイメージして、投票する人を選ぼう。それだけです。

さて、今回の企画は、そういったみんなの困っていること(CRISIS)をカタログにしようというモノです。じいちゃんばあちゃん世代が今何に困ってるか、若い世代が今何に困ってるか、お互いに知らない。世代とセンスを超えて、あらゆる人の困っていることをまずはお互いに知りたい。そしてリストアップしたら、まずはアナキズム的アプローチである相互扶助で解決を目指す。それでも解決できないことは、政治に求めていきましょう。その為のカタログを作ってみようという企画です。

毎回選挙の度に思うけど、立候補者をどうやって選びますか?
小さな選挙区だと、その立候補者が何を大切にして生きていこうとしている人なのかが全く見えてこないんですよ。毎回めちゃくちゃググって調べても、一切何も情報が出てこない。そして立候補者自身は自分の名前と所属政党しか言わない。これで一体どうやって投票しろと?
仕方がないから毎回顔のカタチとか所属政党とか名前の語呂の良さとかで投票するけど、そんなのは全く何の意味もない!笑 よくTVで見るからやっぱこの人かな。とかももう嫌笑 そういう選挙も終わりにして欲しい。ちゃんと理想を語って欲しいし、暮らしている人たちの声にどういうリアクションを取る人なのか知りたい。今回作ろうとしている『WHOLE CRISIS CATALOG』は、こういったシチュエーションの時に役に立つはず。カタログの中からみんなの困っていることをピックアップして、立候補者に投げかけてみよう。そこで返ってくる答えは投票するかしないかを決める良い判断材料として役立つはず。今回の企画、色々な人と関わって、そこのところまで持っていきたい。(いつかは)

そんなようなことを企画しました。
まずは今行なわれている参議院選挙のこと、みんなで考えると同時にカタログも作れたらいいなと思ってます。
選挙や政治の知識豊富でそして優しい、どんな質問もバカにしない賢者、中森圭二郎(通称カントク)さんを人間グーグル役として招待していますので、選挙の仕組みが分からない人、選挙に行ったことが無い人こそ来て欲しいと思ってます。心配ないです。
急ですが今週の木曜日、午後7時から汽水空港でゴニョゴニョやりますのでどなたも是非お気軽に!

※ちなみにWHOLE CRISIS CATALOGとは、伝説の雑誌WHOLE EARTH CATALOGのスピリットを引き継ぎたいと思いながら作るパクりカタログです。

“そのカタログは「60年代のまだパソコンもない時代、グーグル誕生の35年前に出されたグーグルの雑誌版のようなもので、理想に満ち、有益な道具や偉大な概念がページのはしばしから溢れていた」”(spectator vol.29付録より)

という雑誌がWHOLE EARTH CATALOGです。人々を受動的な消費者としてではなくDIY精神を喚起し「生きること」を自らの手に取り戻す。そのような雑誌であったそうです。

僕らのこれから作ろうとする『WHOLE CRISIS CATALOG』の目指すところは、「環境を変えていくのは自分たちだという実感をつくる」こと、「政治を自らの手に取り戻す」ことです。
そしてそこにリストアップされる人々の困りごとは、単なる悲痛な物事の羅列ではなく、これから全員で解決すべき課題のリストであり、共に解決する為に人々を結びつけるツールとすることを目的とします。そんなようなことを始めようという企画です。

汽水空港、これまでDIYやセルフビルドを通じ、失敗は付き物だということを学びました。そしてその失敗こそが大切だということも。失敗の数だけ、だんだんと出来ることが増えていくことを知っています。「家って自分で建てれるんだ!」ということを実感した時、蒔いた種が芽吹き、実を付けそれを食べた時の力強い喜びも知っています。ただ、それは自分の中だけの喜びだということも知りました。
これからはDIYやセルフビルドの喜びを人と分かち合いたいんです。お互いのCRISISを、自分たちの手で解決できるんだという実感をつくりたい。環境を変えるのは自分たちなんだという自信が欲しい。その為のツールが「お互いのCRISIS」なんです。困ってることがたくさんある時代で嬉しいね笑 その分だけ解決する喜びも多いぞ。

このような企画。しかし思い起こすと、建築現場とお菓子工場のバイトを掛け持ちしていた時期におれは選挙だとか政治だとかに関心を持つ余裕なんてなかった。何か文化的なスポット、本屋に行ったりミュージシャンのライブに行ったりもできなかった。そんな金も時間もなかった。冒頭のツイートに対して見られる全国あちこちの反応。これはもう鳥取に限った問題ではないし、地方だけの話しでもない。都市部でもみんな困窮してる。この時代に「こうすれば生きていける」というhow toみたいな方法もたくさん出回っているんだろう。詳しくは知らないがみんながやたら「起業起業」言ったり、貧乏人なのに心だけ経営者目線で、困窮してる人に「努力が足りないからだ」と自己責任を押し付ける風潮は「今はこんなだけどいつかは...。」という切実な希望の現れのようにも思える。やばいよ。罵り合ってる場合じゃないんだなとリプ欄眺めて本当に思う。全員困窮してる。

「自助、共助、公助」というが、自助も共助も当然やろう。そしてしっかりと公助を引っ張ってこよう。意見言って。全員ピンチだ。

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