見出し画像

週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(20.11.22-20.11.28)

ベトナム人の摘発がんばりすぎやろ群馬県警。
って感じた数週間前の私が何をしたかといいますと、自宅本棚からの横山秀夫警察小説発掘作業でした(横山秀夫は群馬の地方紙、上毛新聞で事件記者を10年以上務めていたのです、という言わずもがなの注釈)。
十年以上読み返してこなかった作品も少なくなく、13タイトル再読はそれなりに楽しめましたが(やっぱり『64』おもしろいな)作中の20世紀末の、群馬県警をモデルにした警察内部の姿を踏まえて2020年のニュースを眺めると、なにかしら違う感想も出るのでは-って仮説がどうなったかというと、D県警F県警L県警W県警R県警N県警、あと「海があるG県の隣」三ツ鐘署。って作家が意図的に匿名化をおこなった事実がいみじくも示す通り、別に群馬ならではの特別な要素は見出せませんでした。
ま、ごくろうだったな。とあたかも県警幹部が夜討ちの新聞記者をいなすかのように、自分で自分をねぎらうしかなかったという今週のイントロダクション、相変わらず長い。……失礼しました。さて。

毎日新聞のこの連載記事、よくまとまっていますが、引用するなら(下)の次の一節だと思ったのは、そういうわけで、必然と申せましょう。

技能の伝達という理念の下で、海を越えて日本にやってきたベトナム人技能実習生たち。その多くは真面目に仕事に取り組んでいる。一方で、単なる労働力として使われ、意思疎通もできないまま孤立を深め、逃げ出し、経済的に困窮し、同じような境遇の者同士で身を寄せ合ってひっそりと暮らしている実習生たちがいる。
群馬県警の捜査幹部はこう警鐘を鳴らす。「国内で彼らを孤立させないよう対策を急ぐ必要がある。そうでなければ、今後も若い実習生が関わる事件が増えかねない」

■その群馬県の下記の対応は自治体として良いやつでは。という感想

「群馬県多文化共生・共創推進条例(仮称)素案」には、こんな描写があります。

群馬県は、古代の昔から外国の技術や知見を学び、それらを群馬の風土と融合させることで、多くの歴史的な成果や変革を生み出してきた。例えば、大陸から伝播した稲作、養蚕などは、渡来人と協力しつつ、改良が重ねられてきた。上野三碑のような古碑や古墳、埴輪といった群馬の誇るべき文化も、同じプロセスを経て創造されたものだ。
上記の多文化融合を強みとする群馬のDNAは、近代にも引き継がれた。世界遺産である富岡製糸場の建設と蚕糸業の振興は、最も分かりやすい例と言える。群馬県は、歴史的に見ても、外からの文化や技術を積極的に受け入れる寛容さと、多様な考え方を融合させる柔軟な思考を通じて、新たな価値の創造を積み重ねてきた。

それたいていの都道府県で言えるやつ。
と思いはしますが、それだけに、先に言ったもの勝ちだな。とも思うし、上記引用に続く
「そして今、群馬県には、多様な文化と価値観を持つ多くの外国人県民が暮らしている。諸般の情勢を考え合わせると、その数はさらに増えていく可能性が高い。そう考えると、日本人県民と外国人県民が共に社会のルールを守りつつ、新しい群馬の実現に協力して取り組むことが、群馬を発展させていくための重要な鍵となる」
って、キレイゴト視されそうな宣言も、いまこそ必要な気がするわけです。

■なぜならたとえば11月24日の長野放送だよ

見出しは
“「家族への土産のため」シャインマスカット盗む 31房・4万2000円相当 新潟の69歳男に有罪判決”
ってなってますけどね、これ9月の逮捕タイミングでは、須坂市で、ひとりで31房盗んだこの日本人男性の報道ではなく、中野市で、ふたりで5房盗んだベトナム人女性とセットで報道されたんですよ。いわく、「長野で果物どろぼう相次ぐ」「またベトナム人」。
まーそのとき尻馬に乗っていろいろ言うひとの多かったこと……。

■報道の姿勢、てなことをよく考える最近

これなんか、ただ出頭したというだけの小さなニュースですけど、良い見出しだと思うんです。

■こういう見出しとの比較において。という意味ですけど。

(ちなみに上の3つとも記事としてはちゃんとしてるんですよ)
(下のふたつがちゃんとしてないとは言ってませんよ)

真摯に社会に訴えたい。って各執筆者の思いに疑問を抱く余地はないと思う者ですが、手法が扇情的なPV稼ぎ系と同一なのは、長い目で見れば社会を棄損しかねない行為では。そう思わない?

■今週の特定技能&技能実習

本当に徐々にではありますが、この2制度の類似性に言及される機会が増えてきました。
技能実習制度の没義道な犠牲者たちのエピソードを伝える記事に、最近「自分は何が出来るんだろう」ってコメントを見かけますが(そこにも変化の兆しを見出したくなる私)まずは特定技能という、技能実習制度を置換すべく作られた制度のことを、そういうひとたちには知ってもらうといいのでは。個人的には、そう思います。

■本連載のいつメンこと、今週の入管

いつメン! 仮放免! いつまた収容されるか分かりまめーん(そんなラップは無い)。仮放免といえば法務大臣の閣議後記者会見、今週のおすすめは11月24日分です。記者の問いに対する回答、法相のAnswerノーカットでご紹介。

【記者】
退去強制手続の在り方そのものが,正に朝鮮戦争時の1951年に公布・施行された出入国管理令とほとんど変わっていないという状況があります。(略)世界中で難民の移動が激しくなっている時代に,国際人権法を尊重するという,そういった観点がやはり新たに必要だと思うのですが,そういった点については,今回の入管法改正,特に退去強制手続に反映する必要があると大臣はお考えでしょうか。
【大臣】
先ほども申し上げたところでありますが,退去強制手続の対象となった外国人の収容等につきましては,入管法に基づいて適切に実施されているということでありまして,個別の事情を考慮して相当である場合には,一時的に収容を解除する仮放免の措置を執るなどしているところでございます。
我が国におきましては,人権に十分に配慮しつつ,適正な手続のもとで適切に運用するということで,収容等を行っているところですので,その意味で,これからも適切に対応してまいりたいと思っております。
また,先ほど申し上げたとおり,出入国在留管理庁におきまして,「収容・送還に関する専門部会」からの御提言をいただきました。入管法改正に当たりましては,この御提言にしっかりと検討を加えながら,また,様々な御意見に耳を傾けながら,これからの日本の国にふさわしい形で出入国在留管理制度の実現に向けて取り組んでまいりたいということを改めて申し上げたいと思います。

■最後、公開を楽しみにしている映画の情報アップデート。

ポレポレ東中野なー。結局めったに行かないんだよなー、沿線住民じゃないし。配信してくれないかなー(軟弱)



いいなと思ったら応援しよう!