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俺にもわかるように説明してくれ/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.3.28-21.4.3)

たとえばミャンマー情勢を見ていると否応なく世界がつながっていることを思うわけですけれど。

2月16日、東京地裁。日本で難民認定を求めるミャンマー人男性Aさんの本人尋問で、発生したばかりの軍事クーデターが焦点となった。
...Aさんは軍事政権時代の2002年に韓国から日本に入国した。06年、不法在留容疑で逮捕され、執行猶予付き有罪判決を受けて入管に収容、退去強制令書が出された。その後、仮放免となり、軍政を批判する雑誌の編集や発行の活動などに関わった。これまでに4回、難民認定を申請したが、認められず、裁判では難民不認定とした国の処分取り消しなどを求めて争っている。

出入国在留管理庁が開示している報道資料には「難民として認定した事例について」というPDFがあって、全25ページの見どころは、なぜ認定しなかったか。の理由を具体的な事例に即して書いている19ページ目以降だと思います。例によってPDFに直接リンクするとサムネイルが

こんなことになっちゃうので、当該PDFへの入口ページにもリンクを貼っておきますが。

・申請者を迫害するのは特定地域の特定民族であって、本国政府当局がこうした違法行為を放置、助長するような特別な事情があるとは認められない
・本国では憲法により宗教の自由が認められている一方で、他人を改宗させたり他人の宗教を妨害する行為は禁止されており、本国政府当局が以下同文
・本国政府は宗派をめぐる人権状況の改善に取り組んでおり本国政府当局が以下同文
・本国では民族やカーストによる差別は憲法で禁止されており本国政府当局が以下同文

何が言いたいかというと、本国政府当局が立派な憲法を持っているから。を理由に「キミの言ってるようなヒドいことがまかり通るわけがない」って何回も読まされるんですけど、じゃあたとえばですけど、なぜ日本の法的な施設において、ひとがこんなふうに亡くなるんです?

本国政府当局、つまり日本政府がこうした違法行為を放置、助長するような特別な事情があった? そういうことを言ってる?
なお、当事者による別件-でもないけど-についてのコメントも記憶しておきたいので、引用しとくね。

我が国の出入国在留管理制度は,出入国管理及び難民認定法の定める適正な手続に基づき,適切に運用されています。そのような制度及び運用の下で行われた各事案における収容は,我が国が締結した人権諸条約に抵触せず,恣意的拘禁に該当しないと考えています。恣意的拘禁作業部会の意見は,我が国の出入国在留管理制度を正しく理解せず,明らかな事実誤認に基づくものであり,到底受け入れることができません。
法務大臣閣議後記者会見(21.3.30)

■我が国はそんなに立派な感じなのか問題

■技能実習より特定技能のほうがなんぼかマシ派の私ですが、上記引用記事最後の見出しにもある「使い勝手が悪い」と言われればそうですね。と思うものの、だからって技能実習制度を延命させるに足る理由になる? という思いは抜きがたい。

厚生労働省は31日、「特定技能」の資格で働く外国人の賃金が2020年6月時点で月額17万4600円だったと発表した。主に製造業に従事する人たちの金額で、外国人労働者全体の賃金(21万8100円)よりおよそ2割少なく、技能実習資格者の賃金(16万1700円)に近かった。低めの年齢で勤続年数も短いことが全体との賃金差に表れた可能性がある

日本人と同じ賃金体系で雇用しなければならない特定技能のほうが、技能移転のための「実習」をうたう技能実習制より賃金が高いはずのところ、わずかながらでも実際に高いのなら、まずは良いことだと思うの。あんまりこのニュース注目されてなかったけどね。

技能実習制度が本国における利権としてそのポジションを確立している、それが最大のネック。という私にとっておなじみの話がこうした記事になるのは珍しいことでした。

その意味で、今週登場した「外国人技能実習制度 違反企業マップ」には私も注目しています。

厚労省が公表している情報を、わざわざ見に行くような変態が私以外にいるとは思えないので(変態言うな!)みんなもっと知るといいと思うの。

■みんなもっと知るといい。という観点では、こんな記事が今週は公開されていましたね。

この文脈で、当欄で過去に紹介してきていたテキストは、こんな感じかな。

なんだ、親の都合で知らない国にやって来た子どもたちがグレて犯罪者になる、そんな話か、珍しくもない。って冷笑的な態度でいるとね、あんた近い将来しっぺ返しを食うんだからね。
……最近思うのは、功利的な軸でしか動かないひとには、彼らが分かることばや物語で伝えないと駄目なんだろうな、ということです。

■見なきゃ。と思ってそのままにしていた作品が間もなく配信に来るという朗報

周辺情報を先にたくさん目にしてしまうと、すっかり「見た気」になっちゃうので、劇場へ行くチャンスを逃してしまうと、こうして1年半近くも待つハメに。しかしようやく作品を見たうえで何かを言えるのはメデタイです。


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