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公立病院改革1-16【税理士業務と診療報酬】〈2005年〉北陸350床 KN病院

前回、診療報酬分野におけるレセプトチェック業務のすごさと、必要性などを痛感したところだが。

その後、医療業界の仕事を続けてる中で、ナマのレセプト確認などは僕の分野ではない、とだんだん分かってきた。


何しろ病院に勤務したこともないし、レセプトに触れたこともないのだ。
会計事務所は、頑張ってやれても、レセプト計算の結果数値の取り纏めまでである。

この点、いまも医療専門の税理士ですというと、レセプトも分かるでしょ?
と言われることもあり、昔はそう言われると、何だか気恥ずかしい時期もあった。
でも、その分野の本物のプロたちと出会い、交わるようになってから、そんな半端な気恥ずかしさも霧散した。

そう、ずっと後に書くことになるが、この世界には、診療報酬の怪物のような、本当のプロたちがいる。
後年、そのプロたちと一緒に仕事をするようになって、長い時間をかけて、ようやく自分の持ち分野が明確になってきた。

僕らは。
病院を新築するとか。
億単位の経営改善を進めていくとか、拡張するとか、撤退するとか。
具体的に、経営上の財務を取扱い、その医療機関の行く方向を一緒に論じていく上で、診療報酬体系を知っておく必要がある。

例えば、1人が入院した時にどのくらい収入が入るかとか。
そのためにはどんな建物や、どんな人材が必要なのか、とか。
収入計算(診療報酬計算)のプロが持ってきた数字に対して、どのようなコストがかかるかの提案とか。

そういう役立ち方に特化する立場にあり、そこにこそ医療系税理士の本懐がある。
そのオペで何点取れるとか、入院単価をいくらに持っていくとか、そういうことはプロコンサルや、プロの病院職員に教えてもらえばいい。
その上で、それをするためにかけていい費用、金額、留意点を一緒に考えるのである。


因みに、いまは医療経営やレセプトに関する知識や、チェックシステムが広く普及してきた。
そのため、昔ほど「おっと、取り漏れた」という項目は、そんなに出てこない時代になった。
当時は全国的に、医療経営を本気で考えよう、という機運が出てきた時期だったので。
こうしたレセプトチェックの技術・コンサルというのが、医療界全体で注目されていたように思う。

当時は、例えば月100万円改善するレポートを書いたら、50万円の報酬を請求するコンサルなどもいたらしい。
それも、当時は破格に高いと感じたが、いまにして思うと、50万円払って毎月の収入が多少改善するなら、安いものかもしれない。

ともかく、僕も病院の歴史や財務分析のレポートを必死に作ったが。
やはり、診療報酬の分析やレセプトへの言及など、医療現場への専門的見解があると、成果品も格段に華のある内容になると痛感した。

そのため、その後いくつも作成した成果品レポートでは自力なり他力なりで、診療報酬や施設基準(報酬を得るために必要なハード・ソフト上の要件)の項目を入れるようにしてきた。


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