機械書房/岸波龍

きかいしょぼう/水道橋の本屋 きしなみ りゅう/1985年生まれ

機械書房/岸波龍

きかいしょぼう/水道橋の本屋 きしなみ りゅう/1985年生まれ

最近の記事

拝啓 文學を好きな全人類様。わたしの最近の話。

拝啓 文學を好きな全人類様 お久しぶりです。機械書房の岸波です。いかがお過ごしでしょうか。気づいたらもう二月も終わりですね。最近、天候や気温の変化がすごくて大変じゃないですか。どうですか。お元気ですか。元気じゃないですか。 ところで、最近のわたしはというと、21日から表参道の青山ブックセンターのギャラリーで『夜にてマフラーを持っていく月が』刊行記念、「詩人の言葉につけた絵たち・岸波龍原画展」が開催しました。初日に双子のライオン堂の竹田さんと在廊しました

    • 読書遍歴

      読書というのはけっこうなところ圧がかかる行為である。自分の言葉ではない誰かの言葉を自身の身体のなかに入れるわけだから。わたしたちがなぜ読書をするのかといえば、知らない世界を書物によって知るという好奇心からくる。それでは再読は?と自分で書いててすぐ疑問が浮かぶが一度や二度で(いやもっと回数が増えたところで)、本のすべてを理解することなど到底できないし、やはり知識を得たいという好奇心はあるはずである。わたしにも昔、すんなり水を飲むようにスルスルと入ってくる読書時代があった

      • アマチュア創作の秘奥義(五)

        前回からまた少しあいてしまったので、これまでのまとめをしながら、いま考えていることを書いていきます。同じことを何度も書くというのは大事ですからね。同じ話を短期間のうちに何度も繰り返し話すのはいいかげんにしろと相手に言われてしまいますが、時間をあけてから書くのは問題ないと思います。いや、問題ないどころかやったほうがいい。小説でも村上春樹が長編で何度も同じテーマを繰り返しますが、書くということは読者以上に作者が自分自身の心の奥底に向かっていく行為なんじゃないでしょうか。そ

        • アマチュア創作の秘奥義(四)

          昨日は双子のライオン堂でトークイベントをやりました。本屋の話だけじゃなく創作の話にも多少なったのですが、最後にお店は続けられると思いますよ、と口にしました。ただ金銭面的なことよりも、継続するモチベーションを一体どこから持ってくるのかという精神面の話をせずに終わってしまったので忘れないうちにここに書いておくことにします。このへんのことは昨日のエッセイの流行りに対して思うところがある、という話とかかわってくるところでもあります。とにかく創作を続けるにしろ、お店をやるにしろ

        拝啓 文學を好きな全人類様。わたしの最近の話。

          アマチュア創作の秘奥義(三)

          二十代のころは小説しか読んでおらず、それも自分の年齢と近い主人公が出てくる男性国内作家の作品ばかりを好んで読んでいました。これはもう理由は明白で、いつか自分も小説を書いてみたい、それなら属性や年齢の近いものから刺激を受けた方が使えるものは多いと思っていたからです。それはそれで感覚が近いから読んでいて面白いし、どんどん自分に引き寄せることができるからすんなり入ってくるので、読書ペースもおのずと上がっていました。多い日だと芥川賞候補作六本を一日で読むなんてこともできてまし

          アマチュア創作の秘奥義(三)

          アマチュア創作の秘奥義(ニ)

          前回の執筆からだいぶあいてしまいました。理由があるとすればそれは僕がこの期間に本屋を開業したことでしょう。昨年の11月に物件を決めて、今年の5月27日に開業しました。場所は本郷で最寄りの駅は水道橋。本屋の名前は機械書房といいます。本屋の準備で忙しくて創作がなかなかできなかったというと、じつはそうではなくて、年明けからは絵本の絵をずっと描く仕事をしていました。ようやく出版の目処がたち、本屋の方も落ち着いてきたのでボチボチ続きを書きたいと思ったのでいま書いています。

          アマチュア創作の秘奥義(ニ)

          拝啓 文學を好きな全人類様

          拝啓 文學を好きな全人類様 機械書房という文学サロン兼アトリエ兼古書店をあしたから水道橋にオープンする岸波と申します。簡単にご紹介をさせていただきます。 機械書房とは何か、と一言でいえば「本屋」だとは思います。古本と、新本が販売されています。新本は商業出版されている本もありますが、自主制作されたリトルプレスやZINE、私家版詩集が並んでいます。先日、文学フリマ東京が大変なにぎわいをみせましたが、あの場で販売された作品も多く販売しています。4坪というとても小さなお店ですので、そ

          拝啓 文學を好きな全人類様

          アマチュア創作の秘奥義(一)

          一般的に創作をしている人が目指す先はプロになることだと思います。僕は大学の文学部で近代詩や現代詩の研究をやっていたんですが、現代小説の課外ゼミに入会していて、そこでは小説家を目指している学生がたくさんいました。そういう僕もまわりの真似をして初めて書いた推理小説をミステリの新人賞に応募してみたら一次通過し、すごくうれしくて、いつかこれは作家になれるかもしれないぞ、と少しは思ったものですが、他にやりたいこともあったので真剣に作家を目指そうとまではしませんでした。いまこうし

          アマチュア創作の秘奥義(一)