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切妻の屋根裏より ~その7~

あくまで私の肌感覚なんですけど
現今の服のデザインは
かなりベーシックな物の方に傾いていると思います。

各種メディアで目にする有名人の方々は
以前と左程変わらずデザイン性の高い服をお召しですが
これが一般市場になりますと話が変わります。

あまり「特徴的なデザイン」が
歓迎されないような風潮にあるように思います。
おそらく営業職や小売りの立場からは

  「売りづらい商品」

と、言う事になってしまうんでしょうね。


30年くらい前からでしょうか。
「リアルクローズ」と言うある種の流行が
日本でも一般的になったと思うのですが
その頃からか海外のショーでも
過剰にデコラティブな服を見ることは
少なくなったように記憶しています。

そのような流行を経て現在の市場での
「ベーシック」と言うトレンドがあると思うのですが
私個人は、この風潮には別の要因もあると思っています。

はっきり申しますと

  「服の低価格化」

です。

勿論、一部高級ブランドの服の値段が下がったわけではなく
長年にわたるデフレ傾向の中
いわゆるファストファッションの登場で
「マス」の部分での服の相場観が
劇的に下がってしまったんじゃないかと言う感があります。

有名量販メーカーの服の値段を見ていますと
率直に申しまして

  「どうやったらこの値段でこの服が作れるんだ!?」

と、言う感想を抱いてしまいます。

私も20年以上この世界に棲んでおりますので
その理由を知らないわけではありませんけどね。

そう言った背景もあって
いわゆる一般アパレルブランドが「服」を作るにあたって
過剰に価格を抑えようとする傾向が
作り手側の心理として生まれることになった気がします。

「服の価格を抑える」となりますと
当然そのデザイン性も抑え気味にならざるを得ません。
特徴的なデザインの服を作ろうとしますと
生地にしろ型紙作成のコストにしろ
縫製工賃にしろ、すべてが高くついてしまいます。

そういう意味で現在のタウンウェアにおいて
ベーシックなデザインが主流と言う事に
なっているんじゃないでしょうか。
私自身はそう感じています。
ただそのことはファッション業界にとって
決して喜ばしいことではないとも思っていますが。

「つけられた値段に耐えうる付加価値」を持つ服を
作っていかなければ、と
一パタンナーとして思っている次第です。

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