見出し画像

セレッソ大阪U-23を2年間見てきて思ったこと

各クラブが始動し、それぞれのクラブの選手ラインナップが出揃いはじめた今日この頃です。
今年の移籍市場ではセレッソ大阪U-23枠の選手の移籍が活発に行われ、レンタル(延長)・完全移籍での退団が7人、昇格など加入は6人となりました。

セレッソ大阪U-23が発足した当初、若手にJ3で出場機会を与えつつ選手を自前で育てあげて、トップの選手層を厚くしていくものだと私は思っていました。
しかし、2年間U-23の試合を見てきて今年の移籍市場の動向を見てみると、U-23は選手を自前で育てるためだけのものではないと考えるようになりました。

セレッソ大阪U-23を見てきて

U-23にはクラブとしての昇格・降格がありません。(そもそもJ3に降格はありませんが)
そのことに対して、昇格や残留争いをする他クラブと比べると試合に対しての真剣度合いが劣り、出場機会は確保できるものの選手育成には万全の環境ではないのではないかというお話も聞こえてきます。
たしかに、同じ公式戦と言えども結果がクラブの行く末に直結する他クラブに比べるとU-23チームは(見る側からしても)気楽な立場にあるでしょう。

そして、U-23が戦っているカテゴリーは3部リーグであるということ。J1J2に比べればプレーレベルは劣り、相手のミスに助けられる場面も多々あるなかで、J3で戦うことが選手の成長にどこまで寄与するのかは未知数です。

トップチームに絡む選手がなかなか出てこない日々、U-23の試合を観に行く中でU-23を保有するメリットはどこにあるのだろうと考えるようになりました。「育成」の場としてU-23を見るとサテライトや練習試合でも事足りるのではないかとも思えてきます。

セレッソ大阪U-23を見る目が変わった

そんな中でU-23を見る目を変えた事柄が出てきます。U-23に出場していた選手の移籍です。
セレッソで言えば、U-23から初めて他クラブへ移籍したのはOA枠での出場だった小谷の熊本への移籍でした。
大卒加入後、トップでの出場がほぼなかった小谷はU-23がJ3に参入した初年からOA枠として試合に出場し続けました。J3で出場機会を重ねる中で、シーズン途中で熊本への期限付き移籍が発表され、小谷は新天地でレギュラーとして活躍することになります。
「J3」の選手が「J2」へ「個人昇格」を果たす形となりました。

U-23のJ3参入2年目を迎えると、高卒新人からも移籍が出てきます。
米澤が山口へ、庄司が金沢へ、丸岡が長崎へと期限付き移籍。「J3」から「J2」への「個人昇格」です。(丸岡は経歴的に個人昇格と言えるか微妙なところもありますが…)
残留争い昇格争いをしているクラブへ移籍しポジション争いをしながら結果が問われる試合に出場するということは選手の成長に好影響を与えるでしょう。
それはもちろん、U-23ではできない経験です。セカンドチームでJ3に出るよりも断然良いでしょう。

他クラブからも必要とされる選手を育てること、これも育成型クラブにとって大切なことの一つだと思います。
そして、U-23が果たす役割のひとつは他クラブから評価される実績を選手に作らせてあげることにあると考えるようになりました。

セレッソ大阪U-23は見本市である

U-23があることで公式戦でのゴール数やアシスト数、パス成功数、空中戦勝率、失点数などなど目に見える数字を選手に与えることができます。
それは練習試合ではできないことです。
もしもU-23が無ければ、他クラブから目をつけられずに今年もセレッソの一員として練習する日々が続いていたのではないかと思えるのです。

そして、その数字はきっと新卒の選手に今までになかった緊張感も与えます。
U-23が無ければ良くも悪くも実戦での数字は「0」。将来性という名の期待値で選手は評価されます。
しかし、U-23で出場数を重ねると露骨に数字がその選手の価値を物語ります。
現に、今年セレッソから移籍したなかでも、「完全移籍」した者と「期限付き移籍」した者とに別れました。
セレッソから見ても他クラブから見ても、U-23での実績は試金石となるのかもしれません。

セレッソ大阪U-23には価値がある

セレッソ大阪U-23ができたことでセレッソ大阪はトップとU-23の2チームがいる大所帯となりました。
チームの選手サイクルも2つ持つことができます。
トップがアジアを戦うためのチーム編成を整えるなかで、U-23は下部組織と連携を取りながらトップへの選手配給を目指してチームを運用します。
どんどん下部組織から選手が上がってくる様は楽しみ以外に言い表しようがありません。

今年もセレッソ大阪U-23は才能溢れる選手がより上を目指して切磋琢磨する場となるでしょう。
そんな可能性あふれる選手の躍動する姿を早く見たい、シーズン開幕が待ち遠しくなる今日この頃です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?