ミスをする人の認識

毎日、大小のミスをして注意を受けている人を見て、思うことがある。

もしかしてこの人は「ミスをする」というのが当たり前のことだと思っていないか。

私は神経質なまでにミスをしないように注意している。
これは弱味を見せたくない、完璧な仕事をしたいという性格と、仕事の手戻りを嫌っていることから来る。
だから「何か間違えた」という部類のミスはもちろん、「伝え忘れていて上手くいかなかった」も改善の範囲だと認識している。
例えば忘れっぽいAさんに期日を伴う依頼がある時、期日当日になって「忘れていた」と言われて段取りが狂うのが嫌なので、期日の三日前にAさんにリマインドを連絡する、Aさんが記入ミスの多い人だと分かっているなら通常より期日に余裕をもって依頼するといった具合だ。
当然、自分が期日を守らないといけないものは漏れなく管理するようにしている。

だが、これを出来ない人は出来ないし、やらない人も多い。

忙しくてキャパを超えてしまっている場合は別として、時間があり、落ち着いて仕事に取り組んでもミスが改まらない人がいる。
ミスの防ぎ方を知らないからだと考えて、自分がやっている方法や、その人に向いてそうな方法を調べて指導するが、一向に改まらない。
と、いうより「そのミス」は解決するが、別のことでミスをする。

別段、注意欠陥的な特性があるようには思えない。
業務的ではないこと、例えば飲み会の手配などでは人数や日時を間違えることなくやってのけるし物事もよく覚えているが、業務になると先方へ伝える数字や時間を間違えると言ったケアレスミスや、提出物の締切を忘れる。
つまり仕事だけでミスを多発する。

それによって上司から注意を受けたり、先方から再確認が発生したり、場合によってはトラブルに発展している。

注意を受けているその人を見て思った。
もしかして、「仕事ではミスをして注意されるのが当たり前」と思っていないか。

注意を受けて、ある程度の真面目さがあれば改善しようと思うだろう。
仕事にやる気がなくとも、注意なんかされない方が気分がいい。
だが、改善しない。

うちの会社は叱責する人がいない。
注意の仕方も柔らかく、「この部分が間違えていたから修正してくれる?」とか、「今回この方法でやってくれたけど、次はこの方法で処理してほしい」とか、こういった具合だ。

これは言葉が柔らかいだけで、「自分がやったことが間違っていたので修正が必要」という情報だ。

毎日注意される人は、こういったことを日に何度か言われている。
少し横で聞いていれば、その人にミスが多いことが分かる。
入社して以来この調子で一年以上が経った。
流石にたまに厳しく言われるようになった。
だが、改善しない。

おそらくその人の中で「やったことの差し戻しをされる」というのが当たり前のことになってしまった。
その人は直接クレームを受ける立場ではないため、ミスの結果が自分に厳しく返ってくることはない。
危機感を持つ機会もない。
だから改善しない。

SNSで仕事のミスが多いと嘆いている人の投稿を見ても、危機感の程度はさておき大体が「毎日注意されるのは自分にとって当たり前の出来事」として受け取っているように見える。

「ミスはひとつもするべきでない」「ミスが出たら方法を改めねばならない」といった視点がない。

人間はミスをする生物なので、ミスが起こるのは当たり前だ。
だからミスをしないように仕組みや習慣でミスの頻度を減らしたり、ミスをしたとしても他愛のないもので済むようにすべきだと私は考えている。

だが、「人間はミスをする生物なので、ミスが起こるのは当たり前だ」、「自分は他人よりミスが多い」、この2点で終わっているとミスを減らす仕組みとかそういった視点に繋がらないのではないか。

こういった人にどうしたらいいのだろう。
短絡的に効果があるのは厳しく言うことだ。ミスが起きると自分に不都合なことが起きる体験を増やし、緊張感をもってもらう。
あるいは、ミスの出て困るような仕事をさせないことだ。

どちらも令和的ではない。
指導の域を超えたらパワハラになる。

結果、ミスに気付く仕組みを持つ者や、その人の仕事を受け取る立場にある人が、その人自身の代わりにチェック業務を担うことになっている。
そしてまたその人は優しく柔らかにミスを指摘され、差し戻しを受けている。
きっと気付くことは無いのだろう。

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