時間をかける

　時間をかけることの意義はなんだろうか？
　今は「手っ取り早く」が求められる。そんな環境において、長い時間かけてやることは敬遠されがちだ。けれど、僕はやり続けることの重要性を強く感じている。

　それはなぜなのかと問われると、言葉にしづらい。

　ただ、予想外の出来事が起きるのは１つ大きな要因だ。自分が原因で壁にぶつかることもあれば、今の感染症や災害のように個人ではどうしようもない出来事もある。

　想定を超えるものに、何度も出会い、向き合っていく。その過程で、自分の存在が変化せざるを得ない。その変化は好ましいものもあれば、避けたい変化もあるだろう。けれど、前進後退を繰り返しながら最適な形に近づいているのだと思う。

　予想外の出来事に、混乱して、諦め、辞めてしまったらその変化を止めてしまう。

　かつて味噌作りをしたのだけど、慣れないのもあって、２割くらいがカビが生えて腐ってしまった。それから、置く場所を変えたり、小まめに様子を見たりしたら、残りはなんとか食べられた。初めて自分の味噌を食べた時はとても感動したのを覚えている。

　すぐに完成するものは、それだけ味わいも浅くなってしまう。深く浸透させ、根本から変わっていく。そのために時間をかけることを大切にしていきたい。