空に散った花

 先週末に今年2度目の花火を見た。

 たまたま日程があって、気の置けない人達と見に行った。その日、僕はとんでもなく寝不足で、そのくせ考え事や身体を動かしていたせいで、夜の帳に花が咲く頃にはもう頭がまともに働いていなかった。

 それでも、色とりどりの花火が空に散るのは美しかった。そして、巨大な破裂音がなる度に僕はビクッと身体を震わせていた。

 往来には人がひしめき合い、道端に座り込む集団もいる。みんなが笑顔で、同じ空を見ている。不思議な光景だった。

 もし、僕は1人だったらなんとも言えない気分になっていただろう。でも、談笑しながら隣を歩く人々がいたことで、純粋に楽しむことができた。

 思い出は1人で作るもんじゃないなと思った。
 なぜなら、後で語ることが面白いからだ。1人で作った思い出はだれとも共有できない。それは寂しいんだ。

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