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ディケンジング・ロンドン|TOUR DAY 6|ディケンズの書斎

day1_1_原文

 旅の終幕がとうとうやってきました。

 6日間に渡り巡ってきたディケンズの旅。最後に訪れるのは、本ツアーの出発点となった「ディケンズの書斎」です。物語のはじまりの場所、小説家の想像力が生まれる場所に敬愛を込めて、もう一度記憶に刻みましょう。

 画家・永井健一さまがディケンズの代理となって届けてくれた古封筒が数枚、書斎の机の上で私たちを待っていました——

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永井健一 | 画家 →HP
大阪大学文学部美学科卒業後に作家活動を開始。個展や企画展等で作品発表をしながら、イラストレーターとしても活動している。画中の人物は、夢現に漂う叢雲の中で願いや想いを折り重ねて結晶化する。book opusとして絵画に詩や写真を織り交ぜた作品も制作している。

00_ツアー案内_文

ディケンズからの手紙
 ディケンズは彼の自伝的小説『デイヴィッド・コパフィールド』の序文において、長い間の構想を完結させることができた満足感と、登場人物たちへの別れがたい気持ちとの間で揺れ動く複雑な心を、読者に率直に語っている。

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 ディケンズは彼が生み出す物語だけでなく、その登場人物たち一人一人に対しても強い愛着を感じるタイプの作家であった。同じ序文では、連載を終えてペンを置くことにも身を切られるような思いだが、脳裏に宿る登場人物たちが永遠に作家のもとを旅立つのは、自分の分身を忘却の世界へ追いやるようでたまらない気持ちだ、と痛切な思いを吐露している。

しかし、ディケンズは読者を信じた作家でもあった。彼のもとを旅立った愛着のある作品が、読者の心にきっと届くだろうことを疑っていなかった。そして時を超えた今も、作家の物語は、作家が命を吹き込んだ唯一無二の登場人物たちは、私たちのもとへ届けられている。

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本を開けば、そこにはディケンズの物語が広がっている。
彼のマジック・ランタンであるロンドンの光景がいつだって迎えてくれる。
それはディケンズから私たちに届く時を超えた手紙である。


 もしディケンズの世界が、彼の描く途方もないほど個性的な登場人物たちが少しでも恋しくなったなら、ただ本のページをめくってみればいい。
その瞬間に、あなたはディケンズのロンドンに立っているはずだから。

 ディケンジング・ロンドン・ツアーにお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

熊谷めぐみ | 立教大学大学院博士後期課程在籍・ヴィクトリア朝文学 →Blog
子供の頃『名探偵コナン』に夢中になり、その影響でシャーロック・ホームズ作品にたどり着く。そこからヴィクトリア朝に興味を持ち、大学の授業でディケンズの『互いの友』と運命的な出会い。会社員時代を経て、現在大学院でディケンズを研究する傍ら、その魅力を伝えるべく布教活動に励む。



00_通販対象作品

作家名|永井健一
作品名|from D *3種

鉛筆・古封筒
作品サイズ|10.2cm×15.4cm
制作年|2020年(新作)
*全3種の画像はオンラインショップに記載しています

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Text|KIRI to RIBBON

 ふたたび訪れたディケンズの書斎で私たちを待っていたのは、机の上に置かれた薄き三通の手紙。指先に伝わる、湿気と乾燥を繰り返してきた落ち着きある古封筒の質感。書棚色のオーガンジーリボンを解いて封を開けると、便箋は封入されておらず、封筒自体に繊細な素描が描かれていました。

 「from D」と題され届いた素描は、ディケンズのロンドンを旅する中ですれ違った物語の幻影たち。ロンドンの霧の中に浮遊する彼らは、まだ生まれていない人物だったり、既に書物から悠々と羽ばたいた登場人物だったりする。ディケンズがロンドンを歩きながら放った魅力あふれる幻影を、丁寧に捉えて描いた画家・永井健一さまからの贈り物。

 旅の中で出会ったたくさんの美術作品。ロンドンの霧をたっぷり吸い込んだ古封筒の中に思い出を詰め込んで、ヴィクトリア朝ロンドンから2020年代へ帰りましょう。

 「Dから貴方へ」——ディケンズの物語はこれからも生き続けます。

* 

★永井健一さまの他の作品★

00_MauveCabinet_ラスト共通



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|モーヴ街2番地|オンライン・ギャラリー《MAUVE CABINET》は、愛書家のための小間物ブランド「霧とリボン」直営SHOP & ギャラリー《Private Cabinet》(吉祥寺)の別館。文学・アート・モードを横断する展覧会を定期開催している実店舗と連動しています。