少女の聖域vol.2|後藤きき|ファンタスティック・ロマンティック
Text|Kayoko Takayanagi
回転木馬に観覧車、そしてジェットコースター。
遊園地の乗り物は少女に速度や高度を与えてくれる。
さらに速く、もっと高く、少女の聖域に到達するまで。
少女の戦闘服はロリィタだけではない。
Tシャツだって立派な正装だ。ビッグシルエットに決意を秘めて、フリルとレースで武装する。ほら瞬く間に少女に相応しいドレスになるではないか。
涼しげにワンピースのように着てもよいし、パンツにもスカートにもバランス良く合わせやすい。シンプルなTシャツではなく、一捻りあるところがまたかえってコーディネートの幅を広げてくれる。
昨年に続いて後藤ききは、少女の聖域を象徴するアイテムを創り出した。
菫色とアブサン色、2色それぞれのストライプを背景に、遠い記憶の中に佇む遊園地とカルーセルの木馬、そしてリボンや舞い上がる蝶といった夢のようにファンタスティックな世界が鮮やかに描かれている。
くっきりと色の対比が美しく爽やかなアブサン色。そしてより幻想的で儚く夢のような菫色。どちらもプリントの発色が良い上に、気兼ねなく着ることができる扱いやすい素材で作られている。お揃いのハンドタオルと共に出かけたくなることは間違いない。
置いておくだけで気分が上がるロマンティックな小物入れには何を入れようか。少女の象徴たるリボンが蓋に施された棺は、ドールのための棺とお揃い。ピンクとブラック、対照的な棺の内側はふかふかのクッションの総張りである。
後藤はここ数年にわたって危機裸裸商店の制作の他に、”大人ゴシックプロジェクト”と銘打った活動を続けている。その一環として開催された家具としての棺の制作は、吸血鬼のロマンを夢見る人たちのハートを射抜いた。
思い出を弔うために、または永遠に留めておくために、この美しい小さな棺を手元に置いて愛でてみよう。
ロマンとファンタジー。どちらも少女には欠かせない。
後藤ききは唯一無二の個性で、そのふたつを実用性の中に封じ込める。
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後藤きき|Gothic Art creator / kikirarashoten Designer →HP
帽子専門店CA4LAにて販売員を経験した後、一点ものの帽子製作を担当。帽子作りから縫製を独学で学び、2002年に独立、今は無き表参道同潤会アパートに『危機裸裸商店』をOPEN。危機裸裸→を英語にしたセレクトショップ『Dangerous nude』を大阪心斎橋にOPEN、新宿、池袋、原宿に店舗展開。店舗運営の最中様々な工場と付き合う事により、後継ぎ問題や、技術はあるがデザイナーが居らず、新しいアイテムを作れないと言う声を聞き、自分のデザインの可能性を追求する為、セレクトショップ展開を休止。地元である工業の町大田区にて、『工場×ゴシックデザイン』のコラボレーションアイテムを開発中。大田区南六郷の工場跡をリノベーションした『危機裸裸商店アトリエ秘密基地』から様々なアイテムを日々作り続けている。
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作家名|後藤きき
作品名|霧とリボンと夢の遊園地チュニックTシャツ(2種)
*受注生産・ご予約作品
ポリエステル100%・リバーシブルメッシュ
フリルレース・ポリエステル100%
作品サイズ|身丈74cm/身幅57cm/肩幅51cm/袖丈28cm(レース含む)
制作年|2021年(新作)
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作家名|後藤きき
作品名|霧とリボンと夢の遊園地ハンドタオル(2種)
*受注生産・ご予約作品
綿100%・30/2シャーリング・14g/枚(45匁)
作品サイズ|20cm×20cm
制作年|2021年(新作)
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作家名|後藤きき
作品名|リボンのコフィン小物入れ(2種)
樹脂
装飾(リボン):ポリエステル100%
作品サイズ|横約8cm/縦約13cm/高さ約5cm
制作年|2021年(新作)
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作家名|後藤きき
作品名|リボンのドールコフィン(2種)
木・樹脂
装飾(リボン):ポリエステル100%
作品サイズ|全長約46cm/横(一番幅の広い部分)18.5cm/高さ約15cm
制作年|2021年(新作)
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