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GIRL’S ZONE

恋は毒薬

恋をするってことは紛れもなくあの子の奴隷になるってことで、あたしの全部ほっぽりだしてワンワン!惨めったらしく這いつくばってあああたしの1から10までぐちゃぐちゃにして、全部もってっていいよお願い好きにして、だからこっちを見て、ちょっとでもいいから、睥睨して、ああその瞳の紅茶色を今夜溶かしてレモンティーにしてあなたのこと分かった気にならせて、わんわん、そんな気概と覚悟と馬鹿っぽさと色々必要で困ってしまう。恋には原材料が多すぎる。
色々な好きを忘れていく。あの子にしてもらったこと。あの人がしてくれたこと。あの刺繍の桃色。あの舞台の非現実感。色々な好きを忘れていく。だってあたし、アンドロイドになれないもん。真っ白なフリルのかわいさを着れなくなっても憶えていてね。


アナログ天使のルフラン

かわいいって呪い。私はもうかわいくしか生きられないから、こうやって音声入力の間違いもきちんとフリック入力で直す。生理しんどすぎで倒れてる写真も細くて私はかわいかった。私の可愛いは正義で、それってさいつよってことで、神聖不可侵で私だけにしか触れられない聖なる魂の絶対領域のはずなのに、弓矢みたいな鋭さがそんな私のコアを無遠慮に射ってくるととてつもなく惨めでとてつもなくしんどくなる。私が作ったかわいいを誰かが土足で踏み荒らしてくるのが嫌で嫌でたまらない。かわいいは私だけのものだから。お前らは黙ってみてろこのかわいい中毒人生を。
髪を撫でられるのが嫌い。押し倒されるのはもっと嫌い。巻きがとれるだろうが。海水をバシャってかけられるとか。二重取れたらどうすんの?私のかわいいを勝手に消費するな。いらないものができるような余裕あるかわいさじゃないから、消費されたら消えちゃうんだよ。私のかわいさってお前の興奮材料なのかな。それもかわいいけど私の目指してるかわいさとは違う。私のかわいいに触るな。かわいいを頑張ってるかわいいはずの私を惨めにしないで。愛なんか何の役にも立たないことだってあるんだよ。


更衣室ディストピア

AVをみてると涙がでてくる。最近の私はなんかおかしい。恋愛の果てにあるものが画面の先のこの行為と同じと思うと涙がでてくる。なにが究極の愛情表現。やることヤりたいだけだろ。
恋愛って霊と肉の合一化、らしい。好きな人とはえっちなことも共有出来て然るべき、らしい。ちがうちがうもっと純粋に高潔に悲しいくらいの好意をそっと寄り添わせて世界で一番不幸ですみたいな顔で魂を共有して肉体の分離を愛し合える陶酔が、幸福が、同盟が、きっとあるはず。私の好きは肉体を拒むほどピュアで、いとしくて、その程度。愛情表現に肉体が必要なら早く死んじゃいたい。好きだけど無理だもん。魂を交歓させるほうがきっとずっとたのしくてきもちよくってえっちだよ。はやくこんな檻脱ぎ捨ててあそぼ。更衣室で待ってる。


ロマンスの死神様

理想の「死」プレゼンをしたいと思います。好きな人とする入水です♡九州とか四国とか東北とか、関東住みの私とはちょっと縁遠い綺麗な海に行ってワンピース着て好きな人と夕陽のなかで入水する憧れが生きがい、たのしみです。未体験ゆえのロマンスへの恋焦は人生の延命治療なので、死がロマンチックな救いであるうちにパーッと生きてパーッと死んでしまいたい。
なくなってしまったから神様を作った。えいえん朽ちることのない少女の神様。そういう機構みたいにだらだらとお金と女の子を浪費するくたびれ儲けな最強カワイイ。現実逃避をしている間だけボブカットの彼女が降りてきて、真っ白なワンピースを翻して頭上を公転してゆく。だんだん頭が錆びてきて、ぜんぶ許せるようになっちゃう。任せてとか。ちっともロマンスじゃない21歳。だから私を捨てないで、お願い。私がこうして女になっても、私の魂は絶対少女。


不思議の国の採寸

人を好きになるってなんていうか変だなって思う。
恋人が誕生日を祝ってくれた。泊まりで素敵なホテルを用意して、大学生みたいな誕生日。数ヶ月前まで他人だったのに、ウチらなんだか変だね?変じゃない?わかんない。横浜の街はきらきら光って生活の匂いすらしなくて、ふわふわ浮ついた観光業がひらひら潮風で拐かすから私たちはそのまわりを蛾みたいにふらふらする。手なんか繋いでも海なんか見てもなんにもなんないよっ。でも惹かれる。惹かれる。横浜は抜け殻。ちょうどよく楽しくって、ちょうどよく詰まらない。ここで生かされたらどんなミイラになっちゃうんだろ。
キスして、ハグして、ふと気づいたら自分で拡げた女というドレスの裾がどこまでも伸びていて、そらおそろしくなる。あーあまた採寸間違えた。こんな服私にはおっきいよ、でも着ているのは間違いなく私で、もう制服じゃないけど似合う?似合わない?どっちでもどうかな。私っぽいかな。人の視線を咀嚼して完成する「私」にきちんと責任取りたいってお前は思わなくてもあたし思うよ。胸で輝くスワロフスキー。
人を好きになるってなんていうか変だなって思う。
数ヶ月前の他人は他のかわいい女の子たちを無視して私なんかに首ったけで本当に変だ。誰かを好きすぎるのも困りものだねって言ってた。分かるようで分からない。所詮他人にどうしてそんなに?分からない。だから愛なんだと思う。


21・cutting Dream

ポップに殺したつもりでした。
ドライヤーを置き置き確かめる髪の湿り気に何度溜息を吐いたら魔法少女の夢から醒めるのだろう。チープトリック。真冬のきみはあつくてあつくてあつくてあつくてあたしなつがきたときよりもくらくらしました。蜃気楼のうえでえいえんのグランギニョル。きみをあたしを半永久に閉じ込め合う残酷遊戯はいつしかそれらしい明朝体になって三番線のなかであのこの七番線をみないふり。36度5分のあわいにきみをさがす。ああ、さよなら。三白眼のインターネット・エンジェル。
うまれたときから海に立っていました。白波はフリルのかたちをしていて青くて脆い祝福だから夜に花火なんかできなくって朝はきみにキスされるからあたしピンク色の罰を受けて制服のなかみとおなじになるんです。私の裾野が延びてゆく。淡い赤色似合いなんかしないくせに萌える萌える朝焼けの拡張背伸びを背伸びとも言われずに。窮屈なローファーには気づくのにね。どいてよわたしまだまだ天使入門。すべてのさよならを飼い慣らして地獄にも海をつくるよ。お前も骨になるまで。あたしも骨になるから。繋がれて繋ぎ止めて、運命ってほんとは砂糖菓子みたいに脆くてざらざらした夢だった。

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