発達障害者が資料作成のポイントを解説してみた②
前回の①の続き。
前回は資料作成の全工程について説明したので各論について書いていきたい。
念のため全工程の流れをおさらいしておく。
1.ゴール設定について
ゴール設定とは端的に言えば、「その資料を作ることで、読み手にどのようなアクションをとってもらいたいのかを言語化し、そのアクションをとってもらうためのメッセージを設定する」と言うことだ。
資料とは辞書で引くと以下のような定義だ。
資料とは
あることをする上で、もととなる材料。特に、研究のためのデータ。
weblio辞書より引用
この定義からもわかるように、資料とは、読み手がアクションを行う時の判断基準となるものであるべきなのだ。
なので、作り手としては「相手にどのようなアクションをとってもらうのか」を念頭におかなくてはいけない。
例えば営業マンが提案資料を作る時のゴールは「取引先に自分の会社の製品を購入してもらう」ことが最終的なゴールとなる。
そして、相手にアクションをとってもらうために一番言いたいこと。要はサマリーや結論を作らなければいけない。
そして、アクションをとってもらうためのメッセージが作成する資料における一番言いたいこととなるのだ。
2.ロジック構築について
作成資料の一番言いたいこと(要は結論なんだけど)が決まったら次に行うことは、結論を補強するロジックを検討することだ。
基本的な資料の読み方として、①まず結論を確認②結論を成り立たせるロジックを確認③ロジックの根拠となるデータや出典元を確認すると言う3つのステップがある。
そのため、結論が決めたあとは、それを補強するロジックを構築する必要がある。
ロジック構築の方法については各自勉強して欲しいが基本的には逆算的に考えるのが良い。
例えば「ASDは会社員で働くべきでない」と言う結論を持った資料を作るとする。
ここで考えるべきは、結論の理由だ。例えばだが、ASDは○○と言う特性があり、●●と言う素養が必要となる会社勤めは向かないからと言う理由が考えられる。
ではその理由に対して、①なぜ、ASDは○○と言う特性があると言えるのかと言うことと、②なぜ、会社勤めは●●と言う素養が求められるのか、例外がないのか。と言うことを検討していくことが必要になる。
そして、これらの思考の流れを逆転させればそのまま、資料作成時のロジックが出来上がるのだ。上記の例で言うとこのようなロジックになる。
(1)ASDには○○と言う特性がある
(2)会社勤めでは●●と言う素養が求められる
(3)ASDは○○と言う特性があり、●●と言う素養が必要となる会社勤めは向かない
(4)よってASDは会社員として働くべきではない
このように、結論を導き出す理由を検討し、さらにその理由となるものの根拠となるものを考えていく。さらにその根拠となるもののデータやファクトを考えていけば自ずとロジックは構築されていく。
ちょうど下図の樹形図のような形態だ。
このように、ロジックを先に構築することで、どのようなデータや文献が必要になるかも事前にわかることとなる。
このことのメリットとして、「やり直しによる工数ロスが少ない」と言うものがある。
仮に、いきなりスライドを作り始める方法だと、作成途中にちょうどいいデータが見つからないと、最初から全てやり直しとなってしまう。しかし、この方法だと、ロジック構築の段階で根拠となるデータが見つからなかったとしても、さほどの工数をかけていないため、やり直しによる工数のロスが少ない。
3.構成作成について
構成作りとは要は「スライドの目次を設計する作業」だ。この作業は基本的に楽勝である。
と言うのも先ほどのロジック構築において設計したロジックがそのままスライドの目次となるからだ。
上のロジックツリーのカード1枚につきスライド1枚となる。もし、カード1枚につきスライドが複数枚となる場合は、ロジックをさらに細かく検討する余地があるということだ。
4.リードメッセージ作成について
リードメッセージとは「そのスライドで一番伝えたいことを表す文章」である。
ちょうどボストンコンサルティンググループが経産省に提出した資料が公開されていたのでこちらを例にすると、スライド上部の「シナリオプランニングにおいては”やや極端な”複数の未来像を想定」と言う文章だ。
リードメッセージを作る最大のメリットは「読み手に負担が少ない」と言うことである。
読み手は結論を読み、その後リードメッセージだけを読めば、スライド全てを読まなくても資料の言いたいことと、そのロジックが理解できる。
スライドのルールとして、「1スライド1メッセージ」に収めなければいけないのは読み手の読みやすさのためなのだ。
先ほど、ロジックツリーのカード1枚につき、スライドが複数枚必要なのはよくないと言ったのもこのルールが理由としてある。
5.デザイン下書きについて
リードメッセージまで検討してようやく各スライドのデザインを検討する作業に移る。
デザインに関しても様々な原則があるが2つだけ伝えておく。
①絶対にアニメーションは使わないこと
②色は少なければ少ないほどいい
これら2つを守らなければ目がチカチカしてしまい、相手に読みづらい印象を与えてしまう。
また、デザインに関してだが、以下にフレームワークの例をいくつか挙げておくので参考にして欲しい。
6.7.は省略
次に6、7についてだが、今回は省かせていただく。
理由としては6は常に発生する工程ではないこと。7については専門的な技能となるため別の記事でお伝えしたほうがいいことが挙げられる。
8.スライド作成について
デザインの下書きまでできたらようやくスライド作成ソフトを用いてスライドを作成していく。
予め、設計図が出来上がっているため、効率的に作成することができるのがわかるだろう。
なおスライド作成時ポイントは4つある。下表を見て欲しい。
この表も、4つのポイントを遵守して作成したものだ。より読みやすく、誤解を与えづらいものとなるため必ず守って欲しい。
ちなみにこのポイントを守らないとこのようになる。
見比べていただければ一目瞭然だが、非常に見づらいし、整理されていない印象を受ける。
まとめ:資料作成は感覚でなく全てロジックでできる
今回一番言いたいことは、資料作成において感覚やセンスはほとんど必要ないと言うことだ。
主張←理由←理由の根拠と言う構造をしっかり作りこめば、自ずとスライドの構成やデザインも固まってくる。
そして、この手順を身につけていけば資料作成について困ることはほとんどなくなるだろう。
これをもとにしてこの記事で紹介したアクションプランを是非実行していただければと思う。
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